百二十七生目 来訪
神域スキルを新たに習得しようと考えている。
その中身は……どうしようか。
神域スキルはこれからどんどん必要になりそうだからちゃんと手に入れていきたいんだよね。
[大地の神域 神力を消費して自身の神域である大地を生み出す。場では自身が有利に働く他関連スキル能力を得る]
これで!
このスキル能力を得るというのは別個で細くスキルがわけられるわけじゃなくて大地の神域を作り出すためのスキルが自動的に身につくわけだ。
結界作成や自己内拡張それと空間侵略と異界確立そして異界に取り込んだり出す力……
色々面白そうなことができそうなのが揃っている。
前回苦戦した要因を埋め合わせる力になるから大事だ。
整理を終えて少し待ち。
知らせが届くのを待つ。
来れば兵たちが光弾を空に打ち上げる予定だ。
「今夜も来るのかあ?」
「ねどこが近い関係と、夜には周囲を探索するっていう習性から、スドラウグはいつか来るよ」
「僕が眠くなってきちゃった」
「パパ」
「お、起きてるよ!」
イタ吉にドラーグそしてコロロ。
ゴウは別の屋内で待機中。
正直国境の関係ですぐに行き来出来ず私達は共和国側で待機してゴウが反対側で待機だ。
私なら魔法で相手の場所までワープできるからね。
そのまましばらく待ち……
月が天に登る頃。
「来た!」
空へ向かって1つの光弾が上がり……
次々と別の所からも光弾が上がる。
国境がいきなり騒がしくなり兵たちが飛び出してきた。
赤纏のスドラウグだ!
「ああっ、向こうですね!」
「すぐ飛ぶよ、集まって!」
最初に光弾が飛んだのは共和国ではなく向こう側。
ゴウが担当している方だ。
空魔法"サモネッド"を唱える!
全員近くによびよせ……
ゴウから承認がおりる。
魔法発動!
一瞬にして私達はゴウのすぐ近くへと移動。
ここはもう外か。
ならばスドラウグは……
「来ますよ」
ゴウが弓を張り詰めしずかな声でつぶやく。
周りの兵たちが見る方向に巨大な影があった。
……空高くか!
首を上げればそこにいたのは赤き竜。
全身にきらびやかな装飾品が見られ……
何よりも額に埋まっているそれは真っ赤に輝いた宝石。
異様な雰囲気に包まれているそのドラゴンは生気を感じられないのに赤々と輝き筋肉はたくましく。
全身はドラーグほどではないけれど驚くほど巨大。
なおかつ引き締まったシルエットで細身の印象も受ける。
その目だけは妖しく輝いていた。
「さあ、今宵も我が力、試させてもらおう!」
「スドラウグ! ここは攻撃しないでほしい!」
「見慣れぬ顔に理解できる言語……しかし! それは好機。そなたらでこの力をぶつけさせてもうのみ!」
「あー、やっぱりそうなる!」
一応無駄だとは思いつつ呼びかけたがやはり無駄だった。
致し方ない理由とか何か引き換えに出来そうとかの雰囲気がなかったからね。 ドラゴンだいたいそう!
全員身構えるとスドラウグは急速に落下してくる。
そこにゴウが溜めていた力で空飛ぶ相手をはたき落とす1撃を放つ。
しかし……急降下に光を発生させそれで防ぎ……
矢とかちあって少しズレ。
そのままこちらへ向かってきた。
全員転がるように場から離れると同時に激しい着地。
土煙が大きく上がって周囲の物を余波で吹き飛ばす。
確かにこの強さは兵たちではかなりやりづらいだろうな……!
「みんな! 補助をまわすから頼んだ!」
「「ああ!」」
「つーかもう行ってるぜ!」「スキだらけだな!」
イタ吉たちは3体に別れたイタチのような魔物。
尾が刃となっている大きめのが1体と小柄な2体。
まずは小柄な1体が土煙も収まらな位まま飛び込む。
"見透す眼"で透視して中をチェック。
横から接近され出会い頭に反射的にスドラウグが背の翼で切り裂く。
もともと巨大を支えるための筋力と風を切るための構造をそのまま攻撃に転換しているのだろう。
しかしそこにはイタ吉はいない。
下をくぐっていた。
空振ったところを尾刃イタ吉が脚へと尾刃を斬り込んでいく。
鋭く脚のウロコを削り込み……
すぐに離脱。
最後のイタ吉が痛みの鈍化させるスキルで処置。
一瞬の出来事ながらちゃんと1撃が入った。
戦えない相手ではない。
「かってえ! ちゃんとやるには強化いるぞこれ!」
「うん、どんどん固める」
「なんだ? 蚊ほども感じない……軽すぎるぞ」
スドラウグは再び翼を広げ飛行体勢に入る。
ただそれを見逃すゴウではない。
速攻空へと弓をつがえ……
スドラウグが羽ばたいて浮くと空から大きな光と共に矢が落ちてくる!




