百二十二生目 家守
私は落ちてきた1羽を治療。
上で今度は今までと違って近接戦闘が行われている。
コロロもいろんな戦いを経験したいからちょうど良さそう。
近くでくちばしを使い突いてくる2羽をうまくドラーグがブロッキングしてコロロに通さない。
一方コロロはそのスキマを縫って2羽へと的確に突く。
腕と肩のスキマ。
爪の間。
膝から回り込んで。
1撃1撃はまだ明らかに軽い。
だが……槍は猛毒を付与されている。
彼らは少しずつ血に羽根が染まるものの……
まるで致命的ではない段階でふらつき落ちていく。
毒が回って瀕死になったのだ。
早く受け取って治療しないとね。
「今度からは、戦う相手は選ぶようにねー!」
「「うるせー!! 次あったら覚えてろよー!!」」
「……パパ、どんとまいんど」
「えっ!? なんか僕フラれたみたいなことになっている?」
3羽とも治療は終わりお別れ。
私の毒なので私は治せる!
にしてもあの毒攻撃は本当にえげつないな……
コロロ自体はまだまだ力不足なのにドラーグに騎乗することで大幅に強くなれている。
それだけではなく毒付与でそんなに戦わなくとも勝てる。
もっと鍛えていけばそのうち……
さらにいえばコロロが非常に活発に動けるのも良かった。
自発的に考え動くというのは彼女の精神面に良さをもたらす。
さて……あのドラーグにはりつけていた理由だが。
「いやーそれにしても本当にすごいよね、そのヤモリの足っていうの」
「うん、僕の体のどこにでもくっつけるだなんて!」
「……うん。パパのからだ、くっつきほうだい」
コロロはグローブと靴が特別性なものを履いていた。
私が前々からコロロみたいた騎乗者のために安全帯のようなものがほしいと言っていてバローくんやキュウビ博士に話していたところ……
急にいくらか魔物を見たいからと言われ何名かのトカゲやカエルの魔物たちに行ってもらい……
彼らが帰ってきてしばらくしたらこれが出てきた。
安全帯とは何だったのかとは思ったが結果オーライだ。
ドラーグのザラザラしたりつるつるしたりするウロコに対して容赦なくくっつける。
そのため騎乗時は安全にあちこち行き来ができるのだ。
なにせドラーグは大きいからね。
「……つぎ、行こう」
「休まなくて大丈夫?」
「コロロ、強い子。まだいける」
「そう、じゃあまた探そうか」
私も付き合おうかな。
この後コロロはクタクタになるまで試合をしていた。
すごく積極的でありがたい。
この調子で精神の方の治療も進めていけたらいいなあ。
こんにちは私です
なんとなく魔王ことフォウと共に行動を共にすることも増えた。
もちろん監視をかねているものよ単純にフォウのことが最近興味もある。
彼がはるか天上の存在ではなく……
親しい隣人になるのならなおさらだ。
今日は食事を一緒にとることにした。
「フォウ、わりとちゃんと食べるんだね」
[もちろん。一匙ずつだけれども]
フォウに盛られた食事は全て一匙分。
それもそうだ。
フォウは実際に食べるわけではない。
フォウは差し出されたスプーンを一つ一つじっくり眺め……満足。
食事はできないが食事を真似ることによって力を吸収するらしい。
幽霊は水気のみを食べるという話を思い出すな……
食べ終わったのは私へ自然に流れてきた。
まあ食べるけれど。
今日はフォウの住む集合住宅のひと部屋だから私達だけなんだよね。
この部屋内は結構質素な中にごちゃっとした雑貨が積まれている。
まるでおもちゃ箱だ。
中身はそんなにおもちゃっぽくはなく雑貨食べ物カード武具色々だが。
[あれらはみな、なんだかんだと貰ったり、買うということをしてみたりしてな。大事なものだ]
「そうなんだ……ただ積まれているように見えるけれど」
[ああ。式典の配置などにはこだわらないタイプだ。たまに数センチズレただけで怒り狂うヤツもいるが、あの神経質さはどうかと思う。貰った時点でその価値は我々に捧げられて変わらないというのに]
完全に神として崇められる側の姿勢だ……
まあもともとそれでただしいのだろうけれど。
それに思ったよりもうまく生活が回っているようでなによりだ。
「なるほど……よかったら整理するよ?」
[それは助かる]
ただずぼらなだけな気がしてきた。
[そういえば。最近ここのみなを観測していて気づいたことが有る]
「うん? 昔と何かが違うということ?」
[ああ。みな……特にニンゲンたち、なぜ職業の力量を持っていない?]
職業力量……?
また聞いたことのないものがでてきた。




