百十七生目 労災
魔法講座を始めた。
夜の中少しの明かりだけで行われるこれは怪しい集まりではない。
みんなの起床関係や魔法に関する良さを選ぶとやはり夜になった。
「まず魔法というのは、大きくわけて2種類あります。1つはまずスキルで得たスキル魔法。そして魔法本で覚えた学習魔法。今回は前者であるスキル魔法について説明しますね」
「「はーい」」
光神術"ライト"で照らされた黒板に文字を書いていく。
魔物たちはだいぶ言語に慣れたもののどうしても理解が浅い部分がまだまだある。
だからアイコンの絵も表記して……と。
「このスキル魔法を私のように、できうるかぎりやれるようにします。何が、どうこうした、どうするかというものを組んでいきます」
つまり入力そして出力だ。
ここではできうるかぎり平坦な言葉を使う。
わかりにくいからね。
黒板に[始まり][途中][終わり]と書く。
それを矢印でつないで……
下に走る絵でも足しておこうか。
「はぁ、すげぇな魔法使うやつは頭の中にこういうのがあるのか」
「いやジャグナー、軍のために来てくれているのはわかるけれど魔法使えるだけで、これがあるわけじゃないんだよ」
「お、そういうもんなのか」
多分これは自身強化武技にも応用できそうなんだけれどな……
「多分みんなの中にも、こういうのはないとは思う。私も最初からあったわけじゃなくて後々身につけていったから。だからみんなも順番にやっていこう!」
「「はーい!」」
「お姉ちゃん、それはお姉ちゃんしかできない技って……わけではないんだよね?」
「そこは大丈夫、魔法学分野では既存技術だから」
ハックの質問はかなり大事で私が神力やらなんやらで使えるだけなのなら意味がない。
そして魔法学では既存技術だったからこそ……
思ったよりみんな活用してなくてびっくりしたわけで。
そういえばなんか難しいみたいなの書かれてたっけな……
そもそもそこまでやる戦いとかあんまするなみたいな面含めて。
「わたしにもできるかな?」
「やろうやろう!」
「よし、良いかな? じゃあこれなんだけれど、基本的に頭の中に存在するんじゃなくて、身体に覚えさせる技術なんだ。そう、やり方を覚えて、鍛える!」
学ぶ絵と鍛える絵となんだか強そうに見えるオーラ……というか強調枠をまとった絵。
正直もっと絵の勉学してから挑むべきだったかなあと思っている。
「えっ、大変なんですか!?」
「うーん、多分今言った大変は、しんどいかどうかだけれどそこは大丈夫。体力勝負ではなく、日常的に組み込めるかどうかだからね」
「なるほど……それならできそう、かな」
一般の方にも優しくを意識した講座となっております。
さて……まずは。
「それじゃあ、この3つをちゃんと頭の中で意識してね。2つの箱が繋がるイメージで。まずは終わりの箱から。ここには発動するものを選びます。基本的に私は魔法ですが、武技でも良いかも知れません。ここでは試しに自身が使える強化系の魔法か武技を当てはめてみてね」
「ん、魔法じゃなくても良いのか?」
「そうだねイタ吉。身についている技術なら問題はないと思うよ」
私自身スキルが多いほうだから意識しなくてもちゃんとできるように意識的か無意識かどちらかで組んでいるときが多い。
(というか、わたしがせーりせーとんしてくみこんであるのだー!)
うん……アインスにはホント頭が上がらない。
自分自身だけれど。
「なるほど……ワタクシのように、自身が魔法を使えなくとーぅも、部下に教ぃえーるだけじゃなく、ワタクシ自身にも使える、と」
「そ、そうですね。そうなります」
「イイコトききまーぁした!」
あの魔物は……確か軍部のトップクラスの方だったか。
こんなに濃い口調をニコニコしながら……
まあいいけれど。
「それで、ここからが本番! この始まりに、この魔法を発動するさいの条件を決めておくの。例えば簡単なのは――」
黒板に文字を書く。
一瞬『バフエフェクトオフ』と書きそうになったが今日はそういう講座じゃないことを思い出す。
危ない危ない。
「――こう。効果がなくなったらというものがあります。よく、自分をサポートする効果が途中で切れていやになる時はありませんか? 細かい時間配分だなんて、戦いのときにしていられないし……戦いじゃなくても日常でもそう。早く動けるようにして仕事を片付けていたのに、効果が切れてキツくなったとか」
「あー、あるある。オレは力仕事なんだが、重いものでも持てる力が運んでいる途中に切れてよ、危うくロウドーサイガイだったぜ」
「それは本当に危ないので気をつけてください……」
労災は命に関わるからね……!