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百十五生目 純水

 ミフソホ槍という古代神のものを回収できた。

 伝説の真実はこの槍が封じられた一端であり……

 魔王の力である宝石剣とは違うようだ。


 フォウが一時的に取り込めたのは驚いたもののあれはほんの僅かな同化にすぎなかったようだ。

 本人の力ではないから私が神力を渡さないと何もできないと。

 ならば問題は少ないだろう。


 久々に迷宮から出れた。

 いや実時間はそんなに経ってないはずなんだけれど……

 あまりに濃縮された時間だった。


 特にテリアンコウとの戦いだなんて何分もあったかわからないのに激しすぎて何時間も戦っていたかのように思える。

 神力解放状態での戦い……素直にキツイね。


 神力はちゃんと自分のを封じて"神魔行進"も終えた。

 みんなどっと疲れが押し寄せていた様子だったからゆっくり休んで欲しい。

 そしてこのミフソホ槍は……










「せーのっ」


 ミフソホ槍が荒野の迷宮にて地面へ挿し込まれる。

 前々から龍脈のせいで大量の植物たちが生えていたところだ。


 見た目はいくつも枝分かれしたフシがあるのに面白いほど簡単に刺さる。

 一瞬だけ神力を開放して流し込みすぐ止める。

 そして……引っこぬくと。


「「水だ!」」


 周りを囲んでいたここで暮らす魔物たちが喜び飛んでくる。

 森の環境そのものが多くの魔物たちに好評で単なる家よりもこっちに住むというものも跡をたたなかったのだが……

 唯一地表の水が恐ろしく少ないというのが不評だった。


 一応上下水道はいくつかは通したものの『そういうことじゃない』らしい。

 そして『そういうこと』なのが今やっていること。

 水は事前に作られていた穴にたまり……


 更にはそこから道を伝って流れていく。

 しずかで澄んでいて速さもそこまでなく良い水だ。

 急いで離れるとどんどん溢れ出てくる。


 泥が浮き上がり押し流され濁った部分もどんどんきれいに。


 いやあ……立地計算できる人ちゃんと呼んできて良かった。

 高さや流れが作れないところだと全部溢れかえったりしそうだったしね。

 水流もおかしいほど生まれなくて良かった。


 やがてここが自然の川になっていくのだろう。

 ちなみに荒野の迷宮に海はないためこのままでは垂れ流しになるが……

 ここで作っておいた下水が効いてちゃんとした場所へ送られるようされている。


 ここの大木たち植物も川が流れ出して満足していそうだ。

 ミフソホ槍はこのあとちゃんと私が保管することになる。

 というより神力の関係でそこらへんにあると危ない。


 それにもしもの時に……

 あのフォウが見せたちから。

 アレが使えるのなら持っておいたほうが良いという判断だ。


 一応委細はニンゲンたちにも共有するけどね。

 これは渡さない……というか渡せない。

 ニンゲンたちを破滅させるような品だしね。


 単なるパワーが強い刃なら良かったのだけれどねえ……

 まあ今までの感じからすると厄を封じる役割はこちらだ。

 おそらくこの槍がニンゲンたちの手を離れあの水底に放棄されるようになった理由も似たような経緯があったんだろうな……


 川はどんどん溢れるように満たされていく。

 流れが一気に形成されていくのはなかなか気持ちが良い。

 この槍を乱用されないように良く管理して……


 あとはいたわりの気持ちも込めつつ点検もしなくちゃね。

 さて……と。

 おもむろに取り出したるは剣ゼロエネミー。


 実はゼロエネミー自体は本来手入れも不要で私とのエネルギー管理のみが必要なのだが……

 唯一清らかな水によってのみより良い状態にできる。

 簡単に言うと強化だ。


 水はゼロエネミーが求めるものでなければならない。

 この水はゼロエネミーが呼んでいる。

 さらに言えばこの水にはわずかながら龍脈や神力が混ざり込んでおり非常に豊か。


 おそらくは今しかできない。

 このゼロエネミーの新たな血として取り入れられる時はわずかしかない。

 まずゼロエネミーを剣状にしてから良く浸す。


 そっと源流近くに浸し……

 少し揺らしながらただ待つ。

 この時間が大事。


 やがて水が剣ゼロエネミーに馴染みだす。

 こうなれば後少し……

 剣全体がきらめきだし……


 確かな振動と共に新たな力が今目覚める!

 一気に引き抜き……

 空の輝きに透かすように掲げた!


 より私とのシンクロ率が増して剣の威力が増した!

 さらにこれは……!


「よっ」


 剣ゼロエネミーを持ち腕と直線に構え気持ちを込めれば。

 剣から(エフェクト)の水が射出された。

 剣の形をした弾として放たれ水は地面に吸い込まれる。

 おお……出るとは思ったけれど思ったよりもガッツリでた。


「え!? 今のは?」

「ああ、ごめん大丈夫、なんでもない!」

「そ、そうなの……?」

「うん、ちょっとこの剣が新しく力を使えたみたいで、試しにね、ごめん」


 一応なんにもいない方に撃ったものの魔物たちに驚かれた。

 まあそりゃそうよね……


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