百十一生目 牙砕
テリアンコウが神の槍ミフソホを吐き出したが……
それでも暴れだす。
「おい、落ち着け!」
「うう……身体が勝手に……!」
『飲み込め……全てを……』
[その装置に操られている。完全に切り離さないと]
「装置? なるほど槍……うわっ!?」
今度は突然突進してきた!
なんとか風圧で吹き飛ばされ転がるだけで済んだが……
ミフソホ槍ごと水神域へとにげられてしまった。
でもこれでハッキリした。
繋がっている肉の線を断てばテリアンコウは自由になる!
[聞いてほしい。あの槍をどうにかして剥がしてくれ。そのあと処置を施して鎮める]
「えっ!? 大丈夫なの、それは……」
[問題ない。ただし、無事に剥がせればだが]
フォウがジャグナーから降りて私の横に並び立つ。
フォウの言うことは不安だが……
"同調化"では確かな自信が伝わってくる。
また強い責任感。
あの槍に何を思い馳せたのだろうか……
そこまで探る前にテリアンコウが動きだす。
口から筋肉かなにかの肉紐を出しながらその先に槍が浮いている。
なんであんな繋がり方をしているんだ。
間違いなくあのミフソホ槍がロクなことをしていない。
ミフソホ槍はもはやテリアンコウを無理やり泳がしつつ暗闇のなかに消え……
キラリと暗闇の中で輝くとこちらへと猛突進!
全員間一髪で避け……
さらに暗闇の中で輝く。
無理やりもう一回か!?
「「わあっ!」」
全員喰われるのだけは必死に避け光の余波は甘んじて受ける。
あまりに範囲が広いし連続はキツイ!
「た、助けて〜!」
そしてむしろ悲鳴を上げているのはテリアンコウ。
それはそうだろう。
肉体を限界まで酷使されているはずだ。
まだ全員生命力のほうは無事。
ならば私が取る手は回復より攻撃!
テリアンコウがさらにキラリと光ったあたりで……
武技"地魔牙砕"!
向こうが猛突進してくる中こちらも加速する。
私の足が踏む岩盤から土が一部飛び出て離れると消えることを繰り返す。
それは私の纏う土の力が恐ろしく高まっているから。
地面が変質するほどのエネルギー。
これでほぼ正面からぶつかる。
そのままでは質量やミフソホ槍による強引な加速に負ける。
ただこちらの方が素早い。
わずかに身体を正面からずらし……
そのまま衝突!
光がぶつかりあって正面からバチバチと弾けあい……
私は大きく口を開く。
「はあぁー!!」
牙と口をかたどるように光が展開してゆき……
私の顎が相手の横顔を抉っていく。
私の足はまさに地面へ吸い付くようにブレない。
そのまま押し切り跳ね飛ばす!
私のせいで大きくズレた起動は私の力ではなくテリアンコウの勢いによってさらなる悪化をする。
テリアンコウは……きりもみ回転するように吹き飛んだ。
つまりは激しい横転だ。
そのまま転がって行き。
体のあちこちをぶつけながら岩の上を転がりそのまま水中へ。
「目……目が回る……!」
『グッ……ウグッ……!』
ミフソホ槍も念話でうめく。
どうやら繋がっている影響でダメージが槍にも入るらしい。
まあ槍自体も何度がぶつかった影響もあるかもだが。
急いで暗闇に隠れた後……
すぐに天井方面へと現れる。
そして高い位置から大きく海水を飲み込ませて。
「また大量の水だ!」
「防ぐよッ」
ゼロエネミーを大盾化し……
全員で急いで隅へ。
その間にも大きく水が放たれ。
さらに地面へ辿り着く前にジャグナーが滑り込んで大盾の内側へ。
地面だけではなくあちこちに大量の光をまとった水の極太ビームが撒き散らされる。
「「うあっ!」」
盾越しに凄まじい衝撃。
やがて荒波が生まれ……
少し落ち着く。
もはや時間をあけてあれこれするのは危険だ。
すぐに大盾を解除して波に濡れながらゼロエネミーと共に空を舞う。
空から泳いでくるテリアンコウとミフソホ槍に向かって空魔法"ディメーションスラッシュ"!
束ねられた光の束を口にくわえ大きくふるとどんどん大きく伸びる。
そのまま大きくふれば空中に光が固定され。
空間が斬れる音と共にテリアンコウとミフソホ槍をつなぐ肉ごと空間がズレる。
そして空間がすぐにもどって……
強烈な切り裂きのみが結果として残り肉が裂かれ……
「えっ!?」
少しは裂かれたはずの肉に強く弾かれた!?
超常の力により防がれた……!
なんというか恐ろしく硬い。
ならばゼロエネミー!
長剣モードで加速し光を纏って切り裂く!




