百九生目 感電
テリアンコウを電気魔法"エレクトロトラップ"で感電させた。
この"エレクトロトラップ"は設置型で難しい分……
常に電圧が高い。
「グ…………ッ!」
テリアンコウも思わず身をひねる。
電気は痛みをそんなに感じない身体でも……
肉体が感電して異常な動きにならざるおえない。
もちろん生命力も少しずつ減るから急いで脱出をされるが……
さらに電気魔法"エレクトロトラップ"!
3箇所に雷撃が走るようになり逃れようとするテリアンコウをはめていく。
「……ガッ、ガッ!」
「わっと!」
さらに唱えて……と思っていたけれどここで変化。
水柱が下からあちこちたくさん吹き出してきた!
避けるのに集中するためにトラップ設置を中断……している間に抜けられてしまった。
さらに出てくる水柱を避けつつ……
また神域境界を壊されないように水柱を壊さなきゃ。
前よりも簡単に中立化してはがせるはず。
あくまで境界はダメージを受けた瞬間硬化するので……
ずっとは持たない。
そもそもそんなに長く硬くするには私の神力が持たない。
胸の石に力を込めながら駆ける。
輝きを水柱の根に意識して伸ばして行き……
そのまま少したてば水柱が浮いて壊れる。
それを連続で繰り返して行く。
とにかく足を止めずに!
全部壊し……ている途中で電気魔法"エレキシュート"!
ジグザグな軌道をとりながら光の雷弾丸が跳ぶ。
そのままテリアンコウにヒット!
水をまとっていない額を狙ったがうまく当たって感電してよかった。
先端威力の高い魔法だからピンポイントに急所狙いしたほうが効果的だからね。
よしこの水柱も中和!
「うわっ! 水吐いてきました!」
「足場が狭まるから気をつけろ。おらっ、そろそろくたばれ!」
「神の力とやらを飲み込んでいるといっていたな。今はどこにある……?」
「融合しかけちゃっているから、私が精神面から剥がしてみる!」
バローくんが慌てて避けた水ブレスで一部地面が海の世界に変化してしまった。
すぐに向かい修復を試みて……
ジャグナーが岩の爪でどんどん殴り込みアヅキは雷の剣を生み出して投げつけている。
"無敵"はゆっくり確実に効いている。
生命力が半分を切り出したあたりから確実に通りが良い。
また回復されないようにしないと。
「ぐぐ、ガッ、力、力で全てを飲み込み……なぜ? 力を飲んで手に入れる? 手に入れる! 手に入れる!!」
「さっきよりも何言っているかさっぱりだな!」
「自意識と神力でしのぎあっているのかも」
みんな一斉に集中攻撃をしかける。
そうしたらなんだか意識にブレがみられだしている。
相手の血が流れウロコが砕かれるたびに少しずつ正気に戻るとはなんだか皮肉だ。
それに神の力により過剰な動きをしているのならばおそらく結構体力面は不安があるはずだ。
傷は癒せても疲れる……
正直魚が疲労しているかどうかなんて見分けがつかないが。
それはともかくとして"無敵"が通っていることは確実。
このままどんどん疲れさせていこう。
そのためにも電撃は有効。
ゼロエネミーにも帯電させたいけれど電気を吸収する性質がこういうときは邪魔するのよね……
だからこそみんなに……電気魔法"スパースエンチャント"を放つ。
みんなの武器になる部分へ電撃が付属される。
あれは使用者自体は感電させない。
帯電すればより疲れさせられるはずだ。
「おっ、良いねえ」
「杖では殴らないですが、これを魔法に転換すれば……!」
「ありがたいです! さあ、痺れろ!」
ちなみに魔王だけ何も起こっていない。
武器……無いからね。
拳ですらないからね。
それはともかくアヅキが飛散してくる水弾を避けつつ高空から降下。
身体を捻りギリギリで避け羽根が散る。
そうしてガントレットをハメた拳で……
テリアンコウの額にある石に殴りかかった!
落下の重みが乗った1撃が音と共に響き……
光が高いエネルギーと共に広がる。
「はあぁっ!!」
アヅキは手を休まず殴り込む。
殴るたびに光が瞬いてちょっと見づらい。
それはともかくとして。
「ウゴオォ!? ゴ……何……助け……て……!」
「こいつ、正気が?」
「アヅキありがとう! そうれっ」
アヅキは大きく振りかぶってトドメの1発を加え……
私と交代するように天へ舞う。
私はゼロエネミーの代わりにイバラに雷撃を纏う。
ゼロエネミー自体は別の部分で切り裂きつつウロコを出来得る限り剥ぎ取るよう動き。
私はイバラを石含む頭へ伸ばし……
縛りかかる!




