百五生目 炎銛
バローくんが地面に向かって杖の頭を振り下ろし軽く弾く。
そこから植物が一気に生えると……
緑のイバラが一気に何本も飛び出していく。
巨大なテリアンコウだがどんどん成長するイバラのおかげでその長さも太さも対抗出来るほどに。
当然激しくしなりをつけて振り込んでいく。
水の体表を殴り……
「それっ!」
そのまま鱗まで広く打つ!
さらにジャグナーに背負われていたフォウが同時進行で道具を創作していた。
凄まじい温度を発揮する蒸発石と言われる石と……
漁師が使う太く大きな返し付きの銛。
魔王の能力は聞いていたからある程度雑多に持ってきたけれど本当に使われるとは。
融合させ出来上がった品は灼熱を放つ不思議な銛。
それをフォウがジャグナーに手渡して……
[持ち手を持たないと火傷するよ]
「うわあっつ! あそこにぶん投げればいいんだなっ……と!」
ジャグナーはイバラがちょうど暴れているらへんにぶん投げる。
銛は水に阻まれることはなくそのまま刺さり……
光と共に激しく出火した!
「グガッ……! 何を!」
「まだ終わりませんよ!」
「こちらもだ、おら!」
泳ぎ回る段階で高度が下がることは多い。
そもそも私たちに攻め入るために身体を当ててきたり食おうとしてくるしね。
そこをジャグナーが飛びかかる。
そのままでは当たらないので……
左拳をジャグナーが固め。
どんどんと光が集い岩として固まり巨大化していく。
最終的に岩塊となったその拳を……
光と共にテリアンコウの横顎へ殴りつける!
相手は相変わらず避けることをしない。
纏った水は一部弾け重い音ともに拳が叩きつけられ……
さらに砕け散る。
岩石が相手に鋭く刺さって追加の痛みを与えたようだ。
さらには反対の拳を岩で固めつつ殴り飛ばしている。
鱗が厚い分殴打や熱など内部への攻撃は有効打だろう。
ただもちろん相手も痛みに反応しないだけでカカシじゃない。
[離れて]
「うあっと!」
フォウの警告でジャグナーは後ろへ跳ぶ。
しかしそこへ強烈顎の振りが重なる。
大きく後ろへジャグナーが飛ばされ……
なんとか着地。
凄まじくふっとばされたな……
けれど下がったのと受け身の関係それに……
「この鎧を砕けると思うなよ!」
ジャグナーが纏うように生えている岩鎧。
それが強固な硬さにつながっていて今のを喰らっても生命力にまだ余裕がある。
背負っているフォウも無事だ。
「よそ見をするな!」
「喰うゥ……!!」
剣ゼロエネミーが長剣化して刃を高速でスピン。
大きく移動をしながら刃で的確に鱗の境目を切り裂いていく。
水の中でもなんのその"無敵"をあわせつつ血を出させていく。
私は空を飛び回りながらアヅキと共にターゲット分散に勤しむ。
相手が空を狙っている時地上はだいたい安全だからね。
「……わっ! 水柱!?」
だがテリアンコウも単に暴れるだけではないらしい。
地面から空まで何か複数の箇所が危険なものが来る……と思ったら。
急に水柱がたち私達を全員狙ってくる。
たくさんあって単純に移動が困難だ。
当然水柱にマトモに触れれば凄まじ位水圧で大打撃を受ける。
アヅキや私はなんとかカスる程度で痛みを抑えつつ飛行。
地上組は翻弄されつつもなんとか無事らしい。
「な、なんだこの音?」
「何かが壊れそうな……?」
「あっ、まずい!」
相手の攻撃によりじわじわとこっちの空間が削られているのはわかっていたし自然修復させていたが……
今度は水柱が空間を潰しにかかってきている!?
水柱が水を外から呼び込んで空間を押し込んてきている……それがきしんでいる音だ。
ミシミシ響く音が末恐ろしい。
崩れたら向こうの独壇場になる。
だから急いで水柱に近づき神力開放。
外界との接続部分を中和しつつ……
こちらの領内に神力を補充。
とにかく壊れそうなところに飛びまわらないと。
「ごめん、しばらく防衛に回る!」
「主、こちらはおまかせください。コイツは切り刻んでやりますとも」
「腹が減ったァ!! 力、力を食わせろ!」
アヅキが風の扇を持ちつつ飛び去り上空から風の魔法を打っていく。
ってまたテリアンコウはゼロエネミーを狙って食べようと!
意識がそれるのはいいけれどうっかり飲み込まれたくない。
とにかくゼロエネミーには逃れるように指示を出しつつ私はひたすら中和。
細かい操作はドライにおまかせ。
飛行はアインスが制御。
とにかくこちら側の神域を中和しないと!




