百三生目 地響
全員を治療したり疲れを癒やしたり。
今のうちに水を飲んだりしつつ。
さっきのテリアンコウについてアイツに聴かないと。
『おーい』
……応答待ち。
念話での応答は相手が受けてくれないと始まらない。
みんな常に暇というわけでもなければ思考をわけられるわけでもないからね。
『もしもしー』
ふむ……まだかな……
出来得る限り早く返事がほしいんだけれど。
返答次第でやれることが変わる。
『もしも――』
『ほいほい、なんだい!』
よし蒼竜につながった!
これでやっとやりたいことがやれるかもしれない。
『蒼竜、少し聞きたいんだけど神力を持つ魔物って何が考えられる?』
『神使じゃないのかい?』
『違う……そもそもその魔物、なんだか様子がおかしかった。理性がなかばなかったというか……なのに神力も、そもそも古代神クラスの質がある神力なんだよね』
『うん!? 古代神!? なんなんだそれ……あっ、でも理性を失いかけていたのなら……!』
いま脳内に指パッチン音が鳴り響いた。
念話で小技使ってくるな……
『何?』
『古代神のかけらを取り込んでしまったのかもしれない。それも、武具のように形になっているもの。ああ、武具そのもというより、彼らの肉体を形成するポイントのひとつってことだね!』
肉体の一部……!?
もしや古代神の切り離された何か……
まさしく宝石剣あたりが取り込まれているかもれないということが?
『えっ、それでもしかして膨大な力を支えきれず暴走している……?』
『古代神クラスの品が単なる魔物ごときに後れをとるわけもないからね。取り込んだ魔物を利用して暴れさせたり、姿かたちを変えちゃったりするんじゃない? 何せ切り離された一部なんて知性はないからね!』
『いや、面白いことじゃないよ!? だいたいわかったけど、このままじゃまずいのもわかった。吐き出させて分離させるために、神力解放は許可される?』
正直これが1番聞きたかった。
神力が使えないといくら振り回されているだけとは言え神力持ち相手にしんどい。
神力ってどんな状況からも簡単にひっくり返せる可能性があってズルいんだよね……
『もちろん! 別に世界をみだりに壊すような乱用しなきゃ、何したって大丈夫だよ』
『うん……ありがとう。蒼竜を見ていると、確かに何したって大丈夫そうだなって思えるよ』
『えっ、どういうこと?』
どういうことはいわないで良いか。
念話を切ってと。
よし……これから。
鱗と宝石で出来たアクセサリーを私の胸にかざし……
胸の宝石と光がリンクしてゆき……
光が私を包む!
風が吹き抜け私の毛並みを流していく。
光が落ち着いたころには……
私は力の解放を終えていた。
[やる気だね]
「うん。最大強化をするよ、みんな!」
「まさか……あいつと戦うのか!?」
「ええ!? 水の中ですよね、どうするんですか?」
「そもそも……アイツが本当に目的なのか? 宝石剣を持っているようには見えなかったが……」
「落ち着け、主が順に話してくれる」
アヅキが壁にもちたれかかりながら注意を促してくれた。
よし……今のうちに。
「みんな、水の中で戦う方法は私に任せて欲しいけれど、とりあえず近接でも戦えるようにする。そしてあの魔物は……宝石剣をとりんでいる可能性が高い。ぜひ吐き出して押収したいんだ」
「なるほど……さらに私達が陸に来られる今ならこちらの勝ちに持ち込めますが……どうなんでしょうね。テリアンコウをどう調理するか……」
よし……やるか。
胸の石に前足を重ね。
強い神力の輝きを放つ。
みんなにはまだ見えてないだろうけれど……
これを"神魔行進"でみんなに光をつなげる。
神力を纏ってその力を発揮だ!
「わっ!」「おお」「うんっ!?」
[なるほど。これが個体ローズオーラの力]
「ううん、これがみんなとの力!」
みんなが光をまとい凄まじいオーラのように輝きをまとう。
神力付与は次元の底上げ。
戦闘がかなり優位に運べるはず……
……うっ?
「な……なんだ?」
唐突な地響き。
不可思議な揺れ。
やがてそれは大きくなってゆき……
……収まった。
「な、何があったんでしょう……まさか、さっきのテリアンコウが……?」
「なっ!? ワープしたのに追ってきたかもしれないっていうのか!」
「どちらにせよここはヤツにとって狭すぎる。来たところで詰まったのを返り討ちにするだけだ」
「よし、準備は終え――」
――突如世界が変化した。
周囲に水が覆われ壁の輪郭が曖昧になり。
世界が水中になる。
間に合え!
「お、おわー! 水だ! あがが!?」
「わぁー!」
「……む? 息ができるぞ?」
みんなの周囲にだけ光と共に神域が中和された。
危ない……水圧によって1撃でやられるところだった。




