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九十六生目 眠毒

 新たなエリアについた。

 このまま素早くかけぬけて出来る限り早く把握してしまう。


「ローズ、コイツを」

「うん? うん」


 ペンダントがジャグナーから手渡されたのでイバラで1つ私の首に下げる。

 ジャグナーもひとつ持ったままだ。


「集団でいても見つかるだけだ。二手に分かれて、効率よく探索しよう」

「わかった。最悪警備ごと眠らせちゃえば良いからね」

「ふふ、言うねえ!」


 最悪もうアノニマルースに話は通しているのだ。

 アノニマルースから素早く関係各所に連絡が行くように構築してある。

 信頼できる筋にね。


 なので結果的に大捕物はこのあとやる。

 遅いか早いかの違いだけだ。

 とりあえずメンバーわけをあれこれ話し合ったところ。


[じゃあね、みんな]

「任せた」


「行ってきますー」

「主、私がこいつらを見張るのでご安心を」

「俺もかよ! いいから行くぞ」


 魔王(フォウ)と私……

 そしてジャグナーにバローそしてアヅキ。

 このチーム分けになった。


 ジャグナーたちは颯爽と立ち去り早速私と魔王(フォウ)ふたり残された。

 ……いざふたりにされると。

 何を話したら良いかわからなくなる。


「……行こうか」

[わかった]


 なぜこういうときだけ真顔なのだ。









 私と魔王(フォウ)は進んで行く。

 互いになんとなく気まずいまま。

 何せあんまり勇者グレンくんを介してでしか話したことないし。


 敵がいれば隠れてやりすごし……

 魔物が見張っていればやりすごす。

 前も思ったけれどピヤアやカエリラスは割と魔物たちと共同戦線張っているよね。


 会話は出来ないはずだから魔物使いあたりがちゃんといるのだろう。

 たまに会話出来る種もいるがその場合は特に理念においての共同化しているだろうし……

 ピヤアからの引き抜きは難しい。


 割と魔物側も事情をわかってその上で協力していることが多いのだ。


「この先、奥に行くためにはあいつをどうにかしないと……」

[そうだ。さっき相談したこと使えないかな。アイテムクリエイションを使って眠らせたりできないかな]


 眠らせるか……

 何か材料を揃えれば出来るんだっけか。

 けれどそんなもの……


「あいにくそんなもの……あっ」


 ……思い出した。

 ホルヴィロスには毒に関して色々と習ったのだが……

 自身が毒を作るさいに色々変質させて作ってみようというもの。


 神経毒……発火毒……催眠毒。

 これだ。

 毒の使い方はかなり教わりコツをつかめば色々作る模索が出来る。


 ただゼロからじゃあ私は難しいからええと……

 (くう)魔法"ストレージ"。

 まだここにしまってあったはず……あった!


[それは木片かな。何に使用をするんだい]

「ちょっと集中させてね」


 同時に小瓶も取り出す。

 首元にロゼハリー時の赤い花のような棘を意識して咲かせ……

 思考を巡らす。


(良し。催眠毒だったな。同時に臭いなしがいい)

(よーくかんがえよう!)


 体の中にある多数の毒成分……

 "疲れ知らずの魔毒獣"で毒の力をより正確にコントロール。

 欲しい毒の成分をうまくイメージするんだ。


 相手を傷つけず眠らすための配合は教わっている。

 そしてイメージに使うのがこの香木のかけら。

 木片を口に咥えればにおいが大きく広がっていく。


 私には効かないが眠りの力が多量にあるかおり。

 ただしこれを材料にしてもおそらく睡眠導入剤くらいにしかならないので……

 私がここからイメージを膨らませ力強く正確に自分の中から毒を抽出……!


 呼吸器官から侵入し一瞬で昏睡状態に近づき気絶に近い熟睡状態へ陥らせる……


 やがて赤い棘の先に毒がしたたる。

 こぼれないように瓶に入れて……と。

 これで完成だ。


「これを使って」

[もしや、眠る毒なのかな。使わせてもらおう]

「うん、その通り」


 疑問形の場合頭に大きなはてなが浮かぶかのように目から体まで困らせてくるからわかりやすいね。

 魔王(フォウ)の素材混合はほぼ無音だし目立つ光もない。

 先程の毒と小麦粉のようなものの小袋をひとつにすると……


 色が変わった粉袋になった。


[投げるよ]

「あ、私が」

[じゃあどうぞ]


魔王(フォウ)からイバラで受け取ってと。

 程よく回転させてから……

 ぶん投げた!


 相手の頭上にある天井にぶつかり破れた。


「んあ? 何の音……?」


 気が抜けていた魔獣は今更耳と目をあちこちにやっているが……まるで気づかない。

 予想通り。

 魔物であっても頭上の音だとすぐ察知するのはだいたい困難で哺乳類系統はぜんぜん気づけない。


 やがて粉が彼を包みだしたころに。


「あ……? うん……? 何……これ………」


 ひっくり返って眠りだした。

 起きた頃には何も覚えていないだろう。

 粉だけ軽く掃き集め素早く次へ移動をした。

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― 新着の感想 ―
[一言] そして彼が目覚める事は永遠に無かったのだった(大嘘)
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