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九十一生目 手段

 食事を終えた。

 5名であれこれと話し合いつつ今後の動きを固めていく。

 特に戦闘時の動きだ。


 "同調化"でシンクロした動きが可能なのとそれ以上に互いの動きを踏まえて作戦をたてるのとはまた違う。

 こういうこまめな話は重要だ。


「結局、どういうのならあの混ぜるやつで作れるんだ?」

[うーん。多分、火薬なら爆弾、回復薬なら大回復薬、武器なら投げ武器みたいなのはわかる。違うもの同士は、どうなるのだろう]

「自分でもわからねえのか……例えばだが、ローズの毒素が入った筒と、火薬ならどうなるんだ?」

[試験しないとわからないけれど、ポイズンボムみたいなのが出来るか、不完全品になるか]


 私の毒素……そういうやり方もあるのか。

 私の素材に価値があるのはさすがにわかっているがだからこそというか。

 率先してルールを破るわけにもいかず自身の物理的な安売りをしていない。


 ただまあ自分で使う分にはバンバン回していいよね……そりゃあ。

 考えたことはあんまりなかったが私の素材をふんだんに使った毒武器なんかもできちゃったりするのだろうか。

 ちょっと想像が膨らんでしまうがまあ置いといて。


 戦闘面はやはりジャグナー中心に会話が進む。

 ちなみに今適当に組み合わせをするのはさすがに素材がもったいないということで却下。

 そこらへんの石と石だとつぶて石にしかならないのでよりダメ。


 そもそもこれには魔王(フォウ)の行動力を消費する。

 そんなに多く使わないとは言えそもそも魔王(フォウ)のレベルが低すぎる。

 行動力ももちろん少ない。


 あれこれ話し合われたがやはり戦闘は基本4名で進めることにした。









 みんなが仮眠をとっている間。

 私は見張りがてらやりたいことをやっていた。


「うぐぐ……無理か!」


 魔力6種合成。

 それによる"進化"。

 光聖火空土地または電を合わせての魔法なのだが……


 難しい。

 いやもっと正確に言おう。


「これ無理だー……」


 少なくとも私の知識や能力駆使程度ではどうにもならない。

 神力とか知識とかそういうレベルじゃないね。

 5種混合による"進化"も狙ってみたが……不発。


 エネルギーはかなり多く発生するので無駄ではないし強固なパワーを纏える。

 ただ"進化"する起爆剤にはなりえない。

 私はいつも"進化"で戦ってきたからどうにも不安になってしまう。


[何が無理何だい]

「フォウ」


 休んでいたはずのフォウに聞かれたらしく近くに歩んできた。

 隣に座りこちらをとってつけたような目が覗いてくる。


[個体ローズオーラに出来ないことがあるだなんて、珍しいと記憶するが]

「いや、出来ないこと自体はたくさんあるよ……ただ、今"進化"を試したくて。今までよりも大きい6種の魔力を混合して爆発的エネルギーを得ようとしたんだけれど……」


 魔王(フォウ)が信じられないと言った目つきでこちらを見てきた。

 言葉よりも雄弁に目が語っている……


[一体何を考えているのか。自殺したいのか、はたまた自爆か。割と正気ではないが。そもそも"進化"は一種の抜け道じゃないか]

「そ……そこまで言う? 私今まで"進化"に頼って生きてきたから、いざってときにまたちゃんと手札切れるようにしたいだけで……」

[そもそも6種の魔力混合だなんて神でもよほどの長けたものしか無理だろう。しかも複数でだ。きっと5種ですら個体ローズオーラは、何らかの補助を大きく使っているだろう]

「うっ……まあ、龍脈の力を少々」


 完全に引かれている目をされた。

 そこまで。


「龍脈。それを個体に使ってさらに神力あたりで保っていたのか。まさに奇跡上のバランスだったのだろうな。それこそ神の一手といったところで」


 完全に見抜かれている……

 さすが世界の仕組みを知っている側はどう攻略されたかを調べるのが早い。


「うんまあ……蒼竜が助けていてくれたらしい」

[無茶をする。"進化"に至るにはいくつも道があるが、その身体を"進化"させるほどのエネルギーは無謀でしかない。もし外部的な要因で補えても現状ではただ負荷に耐えれず死ぬ。"進化"は基本、強化手段ではなく構造の隙間に残された、バグ利用だと思って欲しい。止める権限はないが、使うものじゃない]

「そ、そこまで……というか、バグ利用って……」

[済まない、分かりづらい言い回しだった。感覚を合わせた言葉回しだと、本来我々すら想定されていない動きのため、安全性がまるでないということだ]


 いや……バグ利用の意味合いはわかったけれど魔王(フォウ)ってたまにそういう言い回しするよなあと思っただけで。

 まあ安全性だなんてないのはわかりきっているよね。

 あれほど身体に負担をかける時点で。


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