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八十六生目 植物

 泡の廊下をボヨンボヨンしながら休息がてら渡る。

 そうして次の建物へとついた。


「すごい緑っぽいな……」

「ローズさん、この部屋は?」

「ええと……緑の植物園かな」


 植物園という言葉がまったく似つかわしくない光景が目の前に広がっていた。

 何せ言っちゃえばさっきいた赤の部屋緑版だし。

 もちろん内装や雰囲気は違うが建物の材質が大きく変わったわけではない。


 木だなんて見る限り生えてはいないが……

 ここが植物園と言われている理由はえる。


「何に気をつけたら良いとかあるか?」

「うーん……実はこの建物はほとんどない。縦にあまり繋がりがないから下や上にはいけないくらいかな」


 緑の植物園にいる魔物たちはみなおとなしい。

 というより赤の部屋が過激すぎるのだが。

 長年の棲み分けによりこういう縄張りになったと推測されている。


「……うわっ!? びっくりした」

「ちょっと、通るよー」

「こちらから仕掛けない限り、おとなしい魔物のはず」


 いつの間にやらゆっくり歩んでいた青いトカゲがいた。

 私のロゼハリー時くらいあるから気づいたらバローくんみたいにちょっとドッキリする。

 しかし何事もなく通り過ぎていく。


 そんな魔物たちが何度も移動する間みかけて……

 さすがにみんな肩の力を抜いた。

 あんまり臨戦態勢をとると向こうもやらざるおえなくなって無駄だしね。


 ここで先程戦った疲れを癒やしておきたい。

 傷は大丈夫でも疲れというのは本当に難しい……

 全員隊列をそこまで気にせず軽く駆けながら移動を続ける。


 進んでいくと思うが結構な広さがある。

 赤の部屋はかなり夢中になっていたうえ実際のところ緑の植物園よりは狭いだろう。

 多くの部屋がつながりたまに廊下がある。


 階層がないものの広々としていて奇襲の不安も少ない。

 景色も良くて散歩気分で歩ける。

 そして緑の植物園最大とも言える特徴。


「……うん? あれってなんです?」

「ふむ?」

[へえ。植物金属。これ模型ではなく本当に生きている]

「なっ! 像じゃないのか!?」


 とある部屋に入ったところそれが見つかる。

 壁や地面に精巧に造られているように見える像たち……草や葉それに花や身。

 しかしこれは確かに合金のようだが単にそうじゃない。


 植物のかおりがする。

 そしてこれの葉を通りがかった丸い身体を持つ岩みたいなアルマジロ魔物が切り取って食べていた。

 ……本当に金属が植物になっている。


 これが分裂や代謝をする金属ということか。

 言ってしまえば生きている金属。

 有機的無機物。


「なあ、それってうまいのか……?」

「うん? 言葉がわかる? まあいいや、食べてみればわかるよ。そこにあるきのみなら、中身は誰でも食べられるんじゃないかなぁ」

「ふむ、これか」


 アノニマルースへの勧誘関係で普段ジャグナーたちにも受信機による翻訳を通して積極的に話しかけに行くのは推奨している。

 ただ今回は質問するだけになったけれど。

 アヅキがアルマジロの言った金属で出来たまあるい実を指の爪先で持つ。


 サイズはリンゴくらいで形は球体。

 見た目的に割るのにもすこし大変そうだが……


「ふむ、こうか」


 しかしアヅキには関係なかった。

 何度か縦に爪を走らせるとある時1本のひもみたいな金属が球体から落ちる。

 そうして紐を引っ張れば……


 真ん中から球体が割れた!

 中身がバラバラと落ちていくのでみんなで拾う。

 今のは……食材を見極めたのか。


 落ちてきた中身はまるで液体。

 しかし持てる。

 近いのはスライムか。


 非常にネトネトしていて油気が多い。

 これ食べられるのかな……


「と、とりあえず回収しておくね……」

「ふむ……そのままでは……しかしこれは……良質な油に……主よ、もしかしたら良い具材になるかもしれません。どんどん回収しましょう」

「わ、わかった」


 アヅキがなんとなく輝いて見える。

 まさにイキイキとした表情。

 こういう時はプロに従う。


 見るにあちこち採取できそうなものはある。

 金属植物というものも育ててみたいな……








 泡の廊下を渡り次の建物へ。

 相変わらず跳ねる移動は大変だが少し慣れてきた。

 それよりもずっと外の海が恐い。


 大きい魔物が突撃してきて破れたらどうするのだ……と思ってしまうし。

 そもそもこの泡廊下自体が頻繁に道が変わるらしい。

あまりに不安定すぎる……


[うん、これは]

「どうした?」

[この感じ、宝石剣があるかもしれない]


 廊下で飛び跳ねているときに突如その言葉をログに書き込んできた。

 私達は飛び跳ねつつも魔王(フォウ)が集中しているのを待つ。


「そういえば、フォウさんは探しものが見つけられるんですっけ」

[うん。ただしなんでもではないけれど]

「……なるほど」


 ものすごい魔王(フォウ)の目が泳いているがバローくんにはバレていない……

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