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八十三生目 赤屋

 泡の道を飛び跳ねながら進む。

 本当に歩めばボヨンと跳ね返り……

 その跳ね返りで高くとびあがったおかげで次も高く跳ねる!


「アハハハ!」

「飛ぶにしては、狭いですねっ」

「うわあああおあ! 誰か、助けてくれー!」


 ジャグナーが悲鳴を上げながら転がるようにはねているが私も助けて欲しい。

 海に囲まれたところを泡で囲んでいるから平気と歩んでいくのはかなり正気じゃない。

 やっとの思いで向こう側の扉までたどり着き中になだれ込む。


「よっ」

「っふう」

「おおっ」

「ぐえっ」


 魔王も着地した。

 気に入ったらしくニコニコだ。

 言葉周りが硬いけれど割といつも子ども心あるリアクションするんだよね。


 さて新たな遺跡は先程とはまた違う雰囲気を纏っていた。

 特に色が違う。

 この赤い絨毯のような部屋は確かドストレートに……


「あー、ここ赤の遺跡だ。いきなりここに来ちゃうかぁ」

「ローズ、感じるか? この気配……」

「粘りつくような視線を感じるな……」


 そう。

 赤の遺跡はまさにレッドゾーン。

 建物同士がどうつながるかは頻繁に変わるため予測がつきにくい。


 あらゆる影から私達を歓迎するかのような気配を感じる。

 明らかに探ってきていた。

 ここは他の部屋と比べても非常に手荒な輩が多い。


 全員身構え先程までの遊び心地が消える。

 けれど余裕が崩れていない。

 さすがに歴戦戦っている面々なだけある。


「さあ、やるならこいよ……!」

「まあ、待ち構えるならこちらから行かせてもらう」

[任せたよ、みんな]

「き、強化備えます!」

「私も……」


 確か草系統に自然回復力の向上や非物理攻撃耐性……

 風に速度上昇や回避命中力向上があったはず。

 私は私で火魔法"ヒートストロング"で筋力や"フレイムエンチャント"で攻撃に炎付与それに光魔法"シールド"あたりもガンガンかけていこう。


 精霊達にお願いしつつ周りに目を配る。

 みな軽く承諾の姿勢を見せ……

 そのままひとかたまりで動く。


 正直やりすぎかもしれないとは思いつつも魔王がいるしそのぐらいはね。

 ただ……魔王は死なない。

 魔王というのは現在恐ろしく弱いがそのかわり保険がある。


 それがけして死なないというもの。

 その例外を生み出したのが勇者の力だ。

 つまり勇者の力はないここの者たちは魔王を倒せないが……


 1度生命力が底をついてしまうと復活まで1時間ほどかかってしまうらしい。

 あんまりにも探索が遅くなるのは困るものね……


 隊形を組み臨戦態勢を維持しつつ歩む。

 駆けないのは補助魔法をかけつつ移動したいがため。

 このまま通れれば良しだが……気配が明らかに好戦的。


「……来たぞ」


 ジャグナーのつぶやきと共にあちこちに潜んでいた存在が這い出てくる。

 階段の上に旧来で言う妖精……つまりは悪魔じみたピンクの魔物が下卑た笑いを浮かべ。

 とってつけたような顔が張り付いた綿毛みたいなのがいくつも転がって……


 飾られていた西洋甲冑が突如目にあたる部分が輝き動きだす。

 赤の部屋はこういうのが厄介だ……

 種族ごとに完全な対立したりするわけではなくなんなら潜んでいる。


 互いに共闘するわけでもなく共にこちらへ対立しに来るだけだが……

 冒険者の基本である連戦回避や数で劣らない戦術が取れないため苦しめられているらしい。

 非常に好戦的な魔物の集いだ。


 全員に補助魔法を回しているこちらの強さは"観察"する限り勝てる程度に上回っている。

 補助効果も大きいし手練ばかりだしね。

 だが向こうもそれでもやめる気はないらしい。


 言語を学習終えて……と。


「ガギッ!」

「良さそうな奴らが来たぞ!」

「弱そうだ!」


「ワ……」

「ヨブ……タクサン」

「タオ……ス?」


「激闘せよ」

「切り裂かれよ」

「刮目せよ」


 本当にもりもりと出てきたなあ!

 とりあえずみんなの爪やガントレットに炎がまとい……

 相手と同時に駆け出した!


 相手は互いに広く陣形を取っているがまずは綿毛みたいなものから接敵。

 彼らは数が多くなおかつ見るからにスライムタイプ。

 とってつけたかのような特徴的な顔がやはり目立つ。


「彼らは毒系統の魔法が強いみたい!」

「なるほどなあ、来てみろ! 1体1体潰してやる」


 ジャグナーは仁王立ちすると全身から(エフェクト)をオーラのようにたちのぼらせる。

 あれは武技か。

 "同調化"でジャグナーがしたいことを汲み取りつつ全員に私をハブにして共有。


 とにかく私が前に出なくては。

 何せ相手が毒だ。

 他はともかくそれは受けられる。


 綿毛たちは一斉に魔法を発動し空中からヘドロの塊のような物を生み出し放ってきた!

 イバラ展開!

 

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