章プレゼンター・バリンティ 七十三生目 贈呈
こんばんは私です。
先日かなり共和国の方がきな臭い感じだったのだが……
今日はそこから離れてアノニマルース。
ビースターチやフラウたちとはなんども冒険に出た。
多くの魔物たちに出会い戦いこっそり後でアノニマルースにスカウトしたり。
朱の大地もあっちこっち走り回って近隣都市までも行った。
ふたりはふたりで他の面々と組んだりして普段はやっているらしいので今日は私を含まない別パーティーで仕事。
迷宮も少しだけ行ったから本格的な散策を今後していきたいな。
それはそれとして。
今日アノニマルースにいるのは休みだからというのは多少あるのだが……
実はアノニマルース自体が祝日ムード。
アノニマルースではとりあえずこまめにイベントやキャンペーンをするということで今月もイベントがされる。
ただ私的にはこのイベント季節はずれじゃないかな……ってなってしまう。
前世の記憶のせいで。
そもそも荒野の迷宮で気温もある程度ととのえている今季節はずれもなにもないが。
私が企画したわけではなく色々とアンケートをとり文化の調査をした結果編み出されたイベント。
プレゼンター・バリンティ。
大切な相手に贈り物をする日だ。
プレゼンター・バリンティの飾り付けを見るために外を歩いているがすごく派手だ。
大きなリボンが店舗ごとに工夫して彩られカラフルな世界になっている。
今回は主に店舗の飾り付けがメインとなっていて住宅街や会社なんかはあまりやっていない。
個人間のやりとりなのでという意味で色々買える場所だけ特別だ。
さらに魔物たちも多くはリボンを身に着けている。
プレゼンター・バリンティは贈り物を包むもの…… 主にリボンなんかを押して行き雰囲気の統一なんかにひと役かってもらっている。
みんなでつけて出歩こう! というお知らせが回ってきたもんなあ。
回覧板は意外に読まれているんだね。
もちろん私もつけている。
姿は普段どおりケンハリマ風の獣型。
リボンを髪の毛と尾に結んである。 我ながらファンシーだなあとなったもののいざこういう場に来たらむしろ目立たない。
胸毛に小さいのをありったけ結んでいる魔物。
服飾からリボンコーデしている魔物。
自分がリボンにくるまれちゃっている魔物。
若干ハロウィン並の仮装大会じみている魔物もいるがそれも含めて個性か……
もうちょっと腕にリボンまくとかしてくればよかったかな……?
イベントの時は外にも多く情報をだすことを心がけているため冒険者を含むニンゲンたちもモリモリ来ている。
もちろん商人もだ。
いつもお世話になっている商隊とのタイアップのほか多くの商売相手との契約を結んでいるらしく店が多数立ち並んでいる。
アノニマルースはまだまだニンゲンたちの都市に比べたら少数だが万匹はいるところを同数以上のニンゲンが来る。
なので商売関係地区は激しくごった返す。
アノニマルース自体どんどん観光地のような環境に半ば勝手になりつつあるしね。
ニンゲンと魔物たちでは暮らしやすい環境がだいぶ違うから……
なのでついで見て回って泊まったりしようみたいなノリのニンゲンも多い。
そのような増加への対応も土地だけはまだまだ余っているので整地さえすればどんどん建築物増やせるからね。
実際今も増やしていっている。
ええと残り買うものは……うん?
「おーい、ローズー!」
「ああ、イタ吉……ぶっ!?」
「いきなり俺を見て吹き出すやつがいるかよ」
「そうだぞ俺の言うとおりだ」
声をかけられたとおもったらイタ吉たちだった。
イタ吉は1つの魂に3つの身体を持つイタチ魔物。
ひとりは尾に刃を持ちもう2人は小柄。
それはいいのだが……
格好に不意打ち喰らった。
まずリボンをおでこに巻いている。
巻くと言ってもラッピングみたいな感じやかわいらしい感じじゃない。
後ろに結び目をキツく雑にやっておでこに一直線……つまり鉢巻結び。
それだけならともかく尾刃イタ吉は自身の尻尾刃に青いリボンを巻き付けている。
野生味のワイルドさを抑えきれぬかのように荒い包帯巻きしてあってファンシーのフの字もない。
もうハロウィンのハロあたりまで字が出ている。
「いやごめん、イタ吉らしいなって……」
もうイタ吉たちはこれでいいや。
「ま、それは良いけどさ、リボンなかなか似合ってんじゃん」
「へぇー、褒めてる?」
「まあな、ええとあれだ」
「馬子にも衣装だな」
「そうそう」
「イタ吉!?」
イタ吉たちの中で会話回しているがひどい例えをされた。
もちろん皇国での例えだが……
そこらへんはスッと脳内変換された。
とりあえずイタ吉は訓練中とかにいつもより強くはたいておこう……




