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七十生目 豪華

「いきなり災難でしたね、ムーの群れに大木たち、それにムウロスにまで出くわすとは。ムウロスを見て生きて帰れた者は、共和国においては誉れ高い勲章なのですよ」

「本当に危なかったですよ……」

「まあ、貴方様ならなんとか逃げられるとは思っていますから。外界程度の危険で、止められるはずもないでしょう?」


 冒険者ギルド2階個室。

 閉じられた防音環境でカエリラス……ではなくピヤア担当のギルド員は目の前でニコニコと話していた。

 すごく疲れたけど面白い世界だ……朱の大地。


 外界なのにこんなに危険で冒険に溢れているとは。

 ちょっとした気分だったから大やけど負いかねないな。

 ムーたち……うまくさばけてよかった。


「いや……はは……それよりも何か、新しい情報は……」

「うーん……なかなか新情報は……」

「そうですか……いえ、ゆっくりでも大丈夫です。私も探してみますから」


 申し訳無さそうな声がとにかく申し訳無さそうなのでこちらもそう強くは出られない。

 とはいえ強く言う必要もないけれど。

 何せ時間に追われているわけではなく将来的なものも見越して動かなくちゃというものだ。


「ええ、そうしてくれると本当に助かります。それで……こちらがホテルの券になります」

「ありがとうございます、わざわざ」

「いえいえ。これぐらいはさせてください。道は――」


 ホテルまでの道のりを聞く。

 そんなに遠くはない。

 すぐ行けそうだ。


「――というわけです。わからなくなったら、また下の者にお聞きください」

「なるほど、ありがとうございます。あのホテルならチラリと見ました」

「それは良かった。それではまた、翌日会いましょう」


 私と担当さん両方立ち上がり担当さんが今度は扉を開ける。

 ……うんまあ。

 さすがに今度は壁に耳を当ててなかったらしい。


「聴こえないでしょう?」

「ぶっちゃけ悔しいほど聴こえないですね」

「アタシも同じ依頼受けたから一緒に入れると思ったのに!」


 そこにはビースターチとフラウがいたし……

 なんならモノ好きな冒険者たちが背後からゾロゾロのぞいていた。

 うん。こんだけ野次馬がいるとそりゃあ対策バッチリにならざるおえなくなる


「ふたりともごめん、依頼のことじゃなくてちょっと別のことを話していたから……」

「ああ、いいのローズ。アタシ、こういうところで話すって経験してみたいなー! って思っただけだから!」

「そういうこと、じゃあ報告も終わったし、打ち上げでもする?」


 冒険者たちは各々解散してゆきフラウやビースターチは私の近くへと回り込んてきた。

 すっかりもう仲間という感じだ。

 まあまったく悪い感じはしないけれどね!


「とりあえず、泊まるところを借りてからかな」

「あ、付き合うよ」

「オレたちはもうすでにとっているけれど、ローズは?」


 ええと私が借りるところは……








「マジか……」

「ここを借りる人ってどんな人なんだろうって思ったけれど、ローズがそうだったんだ……」

「わぁ、どうしてこうなった」


 私達の目の前にあるもの。

 私がチラリと見た時は未完の建物で少し立派そうだなと思っていた建物。

 今では見上げてさらに上へと続くあまりに高い建物。


 グランドでスイートなホテル……!

 すごいもったいないんだけれど!

 ここまでする必要ある?


「と、とりあえず中に入ろうか」


 あまりにフリーズしてしまったため全員慌てて扉から中へと入る。

 灰を落と……


「いらっしゃいませお客様、どうぞ気を楽にしてください」

「え?」「あっ」「わっ」


 パッとニンゲン……つまりホテルマンがやってきて挨拶したかと思うと……

 さらに複数名やってきて私達の灰を素早く落としていく。

 丁寧に早くそしてなんだか気持ちよくもあるほどに。


「お、おお……きれいになっちゃった」

「お客様、事前におうかがいしましたローズ様ですね?」

「あ、はい。これです」


 懐から紙をひとつ差し出す。

 こういう券で紙……しかも上品質なものを使うだなんて前世では普通でもこの世界ではとんでもない良待遇だよなあ。

 ありがたいことだ。


「確かに承りました。お連れの方はどうなさいましょう?」

「あ、オレたちは単なる付添いというか……」

「そうそう、アタシたちはそろそろこのへんで……!」


 ホテルマンが券を受け取るとスッと下がる。

 2人は慌てて帰ろうとするが……


「ぜひ当ホテルでの食事を堪能されますか? ローズ様がご希望になられれば、宿泊以外のサービスをお連れ様に提供可能なコースとなっておりますが」

「「えっ!?」」

「ろ、ローズ!」


 なんだその豪勢なコース。

 あの担当さん……普通に見えて本当にすごい人だったんだな……

 現場の格好しているんだもの。

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