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六十七生目 防護

 ソンドレラというゴーレム魔物が飛んできた。

 見て聴く限り……全身内部に機械が組み込まれている……?

 いや……さすがにオーバーテクノロジーでは?


 ガラスに覆われた下半身と閉じられているように作られた目。

 髪の毛らしい巻き髪(ふう)繊維の上にちょこんとちいさな帽子。

 見た目上半身だけなら生物ぽさすらあるのに……!


「こ、このゴーレムは……!?」

「アタシたちも深くは知っているわけじゃないんだけどね、あの変なキカイを挿し込んでおくと来てくれて、街へ灰を持ち帰ってくれるの」

「ただうっかり魔物に破壊されたらかえが利かないらしくてな……ずうっと昔から使ってはいるんだけれど、まだ謎が多くて、けどすごく重要なやつなんだ。たまに出土するから、それを使いまわしているってわけ」

「な、なるほど……」


 ロストテクノロジー……!

 前世の地球でもそういうことはあった。

 ものすごい技術を保有していた国がたまたま滅んでそのまま技術だけが失われた例。


 または1世代の天才たちが切り拓いた道ながらも誰も続けず広まらず閉じた技術。

 そういうものは往々にして生まれる。

 このソンドレラもその類か。


「――します、繰り返します。赤灰を感知。自動運転モードを開始します」

「たまにこうやって、何か言葉らしきことは言うんだよなあ」


 私が今言葉を覚えただけでこのゴーレムの言うことは現地の人々には伝わっていないらしい。

 雰囲気で理解しているようだけれど。

 ソンドレラもきっと相手が何を言っているかは理解していないが問題なく作業を始める。


 まずビーコンとよばれる杭を回収した。

 それを体に取り付けるようにしまったあと……

 赤灰へと近づき。


 ぐるりとひっくり返った。


「えっ!?」


 するとどうでしょう。

 顔の閉じているように見えた目はニコニコな表情に。

 さらにガラス部分が上になったことでより不可思議さが増し……


 グルグルと回転をしだす。

 激しく回転が生まれだし(エフェクト)も発生。

 そして……強風がうまれた。


「わっ! すごい!」

「近くにいると危ないから、離れてね」


 思ったよりも風の範囲は狭そうだが……

 赤灰の塊たちを次々巻き上げ切り刻み……

 どうやら中へと吸い取っている?


 あのガラスの内側へ次々たまっていっているのか中身がはっきり見えないものの赤みがかかりだしている。

 凄い回収の仕方だ。

 少しすると急に動きが止まる。


 そうしてまた体の上下をひっくり返し……

 中から急激に炎の魔力が高まる。

 何か機械が回転……モーターのような音がしたかと思うと。


 ピー。


 思いっきり電子音が鳴り響く。


「お、あの音がなったら水の補給ができるぞ」

「灰の脱水が終わりました。浄化水の提供が可能です」

「ローズ、水筒出して!」

「う、うん」


 すごい。浄化水をだす機能もあるのか。

 全員水筒を差し出すと順にソンドレラが指を向ける。

 そうして指先から水が飛び出てきた。


 うん。

 見るからにちゃんとろ過されている水だ。

 毒素などの心配もなさそう。


 あっという間に注ぎ終わると水筒を返してくれた。


「水の補充が終わりました」

「ここらへんではキレイな水は希少になりやすいんだ。こいつらから手に入れておくにこしたことはないよ」

「雨水をきれいにしてくれるんですね」

「あ、そういうことなんだ、なんでなんだろうと不思議には思っていたけれど……」


 フラウは合点がいったといった様子で水をひと口飲む。

 なるほどきれいな水は希少か……

 確かに海までそこまで距離がないのに河山がない。


 いやたとえあっても朱の大地では結局灰まみれなのか。

 本当にすごい土地だ……

 伝聞だけでは地獄しか想像できないだろう。


 そそくさとソンドレラはふわふわ飛んでいってしまう。

 まだ赤灰はたくさんあるのだがどうするのだろう……


「お、きたきた」

「ん……? うわ、たくさん!」

「ああやってだいたいの量がわかったら必要な数呼んでくれるんだ。さ、ふたりとも気を抜いて木に潰されるなよ」

「もちろん!」「はい」


 空からたくさんやってくる影。

 ソンドレラたちだ。

 別にうようよといるわけではないが遠くから次々やってきているのでこの調子なら時期回収が終わるだろう。


 壊されないように警戒しておこう。

 フワフワしていてちょっかい出しやすそうだしね。








 ソンドレラたちを守った後。

 そのまま次のポイントを探して歩く。

 雨は降ったり止んだりを繰り返し……


 そのたび大木たちの動きが変わるし魔物たちも表にいるのが変わるから結構慣れるのが大変だ。

 そして……夕日が朱の大地を染め上げるころ。


「よし! 今日はここまでだな!」

「お疲れ様、帰ろうか」

「うーん、疲れたー! でも良かった!」


 私達は帰路につくことにした。

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