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五十五生目 恩恵

 冒険者ギルドの担当さんに灰の説明を受けている。

 白灰がいわゆる普通の灰。

 黒灰はエネルギー豊富な畑の肥料用。


 そして赤灰はガラスレンガが出来る。


「そしてここからなんですが……黄灰です。これもレンガの材料なのですが、非常に頑丈でこれは火砕流に飲まれても無事になるほどなんです。大事なところに使いますが、加工もしにくく見つかることも少ないので色々と玄人好みですね」

「あれ? でも確かここの建物の入口に……」

「ええ、あれこそみなさまのおかげですね。入り口に使うのは、金を招くとか幸せを招くと言われますが、1番はあそこを盾にしながらこもれるのがいいのです。物騒ですからね……」

「あ、あはは……」


 やっぱりあるんだ……ドンパチ……!

 政府にピヤアと対立していればそれはまま必然か……

 単純に見た目としもきれいだ。


 小瓶に入った加工前黄灰も含まれる力からかどこかしら輝いてみえる。


「そして……これです。サンプル用ですら少ないのですが……金灰。これが非常に貴重なのです」

「これ……見た目は黄灰のようですが……確かに何かおかしい……?」

「ちょっと失礼」


 私の目では色としては黄灰だ。

 しかしその含まれている力が……なんというかおかしい。

 言葉では濁したがこれは神力がそっくりそのまま残っていないか?


 彼は中身を取り出すと1つのスクロール上に置く。

 あ……これすごい簡易的に[熱する]を表現しているな。

 ここまで簡易にするのすごい大変だろうに歴史的にずっと精錬された結果なのかな。


 そのスクロール上に巻かれた金灰はスクロールの魔法を起動すると熱でフワフワ浮き出し……

 えっ!?


「黄金に輝き出した!?」

「これが金灰です。他の灰たちも多岐に渡って資源やエネルギーとして先程は言っていない使い方も多くできるのですが……この金灰はあまりに特別なのです。取れる量も希少、かつ見分けがなかなかつかず、なのに使用範囲はあまりに広大」

「これが……! 灰なのに」


 私が灰として考えるのってどうしても単なる燃えカス……

 しかし向こうは違うらしく言葉に熱がこもっていく。


「魔力触媒、特殊魔法化合、魔法の純粋な高エネルギーにもなり、そして美しさと高価さそれに不変レベルで長年劣化も傷もつかない硬度を誇るものもつくれれば、畑に埋めればその野菜は隣国との戦争を止めるほどうまいといわれ、不治の病もこれを利用した薬ならば治るとも、何よりこれは朱竜様を崇めるためのものそれそのものでもあるため、コレはこの国では……いえ朱の大地では最重要の品です!」

「は、はい……!」


 圧倒された。

 というか金灰あまりにも万能すぎないか。

 本物の金よりも範囲が広い気がする……


 まあここまでしっかり神力がこもっている灰は確かに珍しいからなあ……

 これを作ったのは間違いなく朱竜だろう。

 意識して作ったものではないだろうが。


 ただここの5種類……白灰を除けば4種類が大きくここの生活を支えているのは間違いないのはわかった。

 これは共和国側としては保護したいし外の国は欲しがるわけだ。

 朱竜は自然の恵みと無慈悲さを表裏一体そのまま表現したかのような存在だな……


「オホン、主な灰はこの5つで、特に黄灰や金灰は常に求められているものです。これらはエネルギーとしても消費しつづけるので、どうしても不足すると困りますからね」

「なるほど……冒険途中でも見つければ位置を知らせたほうが良いと」

「ええ、だからこそ冒険者たちも装備が良くなるというものです」


 発見すればそれが売れて……そのお金で身支度整え……さらに強くなって危険な奥地まで探索すると。

 ルーティンが出来上がっているわけだ。

 依頼に依存しない資金源が大きいのは冒険者としてはかなり心強いだろう。


「とまあ、わたくし共としてはあとはひたすら手こずっているところに向かいつつ、ゆっくりとこの国や朱の大地を知っていって欲しいところですね。本当にすぐ情報を渡せないのは心苦しいのですけれど」

「いえ! そこは大丈夫です。私も冒険者のはしくれ、旅をして冒険するのは望むところですから。あ、あと宿は良いところありますか?」

「宿ですか? しかし……あ、なるほど偽装用ですね」


 私はうなずく。

 私が冒険者である以上どこかしらの拠点は必要でそれがないとおかしい。

 ただでさえ無駄に目立ってしまったからこれ以上不信感を巻きたくない。


 それに……


「もちろん身分を隠したいのもありますが、何より現地での生活を送ってみたいじゃないですか」

「その心得は何より! では、こちらで安全な場所を用意します。その、いささかサービスが過ぎる(・・・・・・・・)ところもありますからね……」

「ああ……なるほど」


 向こうの苦笑いで察した。

 いつの間にか借りていた部屋の中身が持ち去られるサービスつきの宿もやっぱりあるのか。

 今の所どこの国もそこは変わらないなあ。

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