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三十九生目 大神

 地獄から帰ってきたらスイセンとハックが舞台の上で見合っていた。

 しかも間に蒼竜をはさみ。

 正直状況的にはさっぱり何がなんだかわからわない。


「お姉ちゃんも、アレを見ちゃったんだね……」

「うん、まあ……」

「ニンゲンだからよくわからないけれど、自分と同じ種族がああなっていたらと思ったら……末恐ろしかったです」


 たぬ吉は震え上がるポーズをとった。

 今彼らに"神魔行進"しているから神力でわかってしまったのかもしれない。

 魂なき抜け殻を凍てつかせた永遠と時間ごと閉じさせたもの。


 あれがミューズのなれはて……


「だから僕たちは〜断固としてスイセンに対立したんどけれど、聞く耳持たなくて〜」

「当たり前だ! なぜ誰かのために自分の美を変えなくてはならない? そもそもミューズが成立するその時生まれる力を権能で人間たちには望む金品をわたしてやっている。よくやっていると言われるならともかく、怒られるのは納得いかない、そうだったろう?」

「いや、ミューズを断った家へのかなりせせっこましい嫌がらせのせいでかなり大変なことになっていたよ……確かに大半は勝手に村人がやったことだし、村人たちはキミの移動に合わせて動く信者たち……けれど、キミは何もそういうの止めないどころか、良かれと思って利用している!」


 きっかけは明らかにスイセンでスイセンがちゃんとやっていれば起こらない不幸はたくさんあった。

 そもそも人柱の時点でかなりどうかとおもう。

 しかしスイセンはその顔の花を大きくトゲトゲ花びらかせる。


「ハァ!? ブスが何ほざいているっ! 嫌な気持ちにさせられたやつを恨んだり、怒ったりするのが悪いと? あと信者の利用だの生き死にって話とかだと、ボクなんかより戦場でバンバン首を刎ねる神とか、一生を操って集団ごと自身の下僕にしたあと喰う神とか、火山の化身で地上をガンガン破壊する神とかいるじゃん? なんでボクみたいに円満な信仰環境になんでケチつけてくるかね」

「うわぁ」

「ス……スイセン……」


 私も引いているしメープルもかなり引いている。

 流れるように自分より犠牲を出す神を出してくる……

 というかいるのかなそんなやつらも。


「ま、ともかくとして僕としては、ローズたちがちゃんとやっているかなと思ったらなんだか、小神と揉めているみたいに見えてね、少し様子を見に来たんだ」

「僕やたぬ吉くんでスイセンにあれこれ言ったものの、全然通じあえなくてね〜」

「一触即発みたいな空気になっていたときに、いきなりこの方が入られてきて……」


 蒼竜は本当に何をしにきているんだ。

 ハックやたぬ吉は温和だからああいうのでかなりいきり立ちそうなのはわかる。

 単なる加工品なら悩みはする程度だったろうが……あれは生者への冒涜にもなりかねない。


「この方も何も、こいつ蒼竜大神(ソウリュウサマ)だよ。分神だケドね」

「え、ええ!?」

「蒼竜って、あの5大竜神の〜!?」

「そういえば言ってなかったな……」


 蒼竜本人の希望で蒼竜が蒼竜だということは言いふらしていない。


「みんなにナイショだよ!」

「は、はぁ……」

「わかった〜!」


 それはともかくとして。


「それで、これは一体何がどうなったの?」

「まあ、まず直接的な戦闘をするとなると……」

「絶対嫌だぞ、そもそもこちらとしては、出ていってもらいたいだけだからな。なんでボクがこの美しい身体を危険に晒して――」

「とまあ、こうなっていたので、代わりの戦闘、つまり攻撃しない戦いを少し昔からの神としてのやり方で戦ってもらおうかなって」

「なるほど……? それがその奇妙な舞台?」


 舞台にはやはり花々や像や壺なんかが立ち並び混沌とした様相を見せている。

 この上で戦闘はできないなと思ったがなるほど……

 違うやり方らしい。


「そうだよ〜、この上で自身の作品鑑賞を審査員に解説するんだってさ」

「そう、それでより良い評価を得られた方の勝ち、スイセンくんは直接何か美術品作り上げるよりそっちのほうが良い(・・)もんね?」

「ま、まあ、そうだな! ボクにかかれば究極の美を分からず屋共に分からせることくらいは余裕だ」


 蒼竜の目は彼の顔を……花を鋭く見抜いている。

 当然のように認識阻害を突破しているな……

 当然スイセンが美の神なんかではないのも見抜いているだろう。


 おそらく多様性を否定して自身の美のみを追求し美を騙る神なのだろう。

 しゃべらせるのなら向いているということか……

 ただ……ハックはそういう解説なんてできるのかな?


「そういえば、こっちが勝ったらどうなるの?」

「んん? そちらが勝つことなどこの分野において万に1つもないだろうが……」

「それは、こんな人柱をやめてくれるというのが――」

「止められるか! ボクのアイデンティティだぞ? そもそも信者たちにそれを言ってこいっての、ボクは割と頻繁に移動しているのに、向こうがついてくるし増えるんだぞ?」


 残念ながらそこは事実なんだよね……

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