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三十四生目 肉食

 超大型トカゲは洞窟内にふさわしくないほど大きかった。

 もはや恐竜。

 いや恐竜は小さいのもいるんだけれど。


 私達を丸呑みできそうなサイズのこいつは……食欲がメイン。

 "無敵"でどれだけ敵愾心(てきがいしん)を削れるか……

 今私は神力開放しているので変に戦闘したくない。


「グルアァ!!」

「それっ」


 相手の(エフェクト)をまとった攻撃を出来得る限り弾くように凌ぐしかない。

 まずは純粋な大顎振りかざし。

 (エフェクト)の見た目からして武技ではない。


 後ろにはメープルがいる。

 抱きかかえ……

 跳んだ。


 そして外した相手の頭に乗って駆けつつ"無敵"!

 足から直に流し込む。

 少しは意味があれよ……!


「グゥオ!? ど、どこ……腹減った……!」

「うーむむ」

「そ、そこだぁっ!!」


 ダメだ敵愾心はすごく下がったものの空腹が捕食させるための心を再度取り戻してしまう。

 背中の私達を追い払うために勢いよく壁に背を向けタックル!

 跳んで着地し避ける。


 ただ今ならチャンスがあるかも。

 空魔法"ストレージ"から……肉の保存食を取り出す。

 あんまり貯蓄はないんだけれど……


「それっそれほれッ!」


 ぶん投げる!

 当然のように目の前にきたものを確かめもせず彼はかぶりつき……

 何回か噛むだけで飲み込む。


 すると。


「お……おお……!? に、肉だ!! お前!! いいやつなのか!!」

「もっとあるよ。ここを通してくれたら渡すけれど……」

「よ、よこしてくれえええ!!」


 よしよし"無敵"が効いてて話が通る……って!?

 突っこんできた!?

 食事による興奮のあまりめちゃくちゃな!?


 ふたたびメープルを抱きかかえて跳ぶ。

 メープルはもはや半ばなされるがまま。

 跳ぶたびに目が死んでいるが少し我慢してもらおう。


「だからおとなしくしてって!」


 亜空間から肉の保存食を取り出し。

 投げる!

 投げる!!


 それらの肉をどんどんとくわえてゆく。

 あー……備蓄つきてしまった。

 どうしてくれようか。


 まあさすがに少しは腹に入ったのか良く飲み込んだあと舌なめずりしてその場にとどまる。


「あ~……少しだけ腹が落ち着いた……」

「じゃあね、あんまり手当り次第暴れないでね〜」

「はぁ〜……腹減った……」


 ……あれだけ食べておいてどこかに食事探しに行ったな……

 まあ肉体が大きいもんなあ。


「メープルさん、大丈夫だった?」

「は、はい……ただ、少し気持ちが……う……う……」

「うん、少しずつ治しながら行こうね……」


 顔が青いのはもうあれだけ揺さぶられていたしね。

 とにかく気分を魔法や道具で癒やしながら行こう……








 洞窟ではいくつもの危険はあったものの基本的に枝分かれせず奥へ続く道がひとつのみ。

 あちこち調べられる道はあるがどれもすぐに行き止まり。

 このまま進んでいく。


 道中はいくつもの障害や悪路が阻むが先に進むしか無い。

 なにせ進んでいくにつれたしかににおいがするのだ。

 外からのにおいが。


 松明のにおいもどことなく残っていたのが少しずつ強まっていく。

 かぎなれないニンゲンらしきにおいはジンコーだろうし……

 結構歩いてきたしにおい的にも結構近くまで来ている。


「足の方は大丈夫?」

「はい……その……本当にお強いんですね……一体、どうやってそこまでの力を……?」

「うーん……たまに聞かれるけれど、まだそんなに強くは……それはともかく、私も最初はすごく弱かったんだよ。小魚1匹にも苦戦するぐらい」

「ええっ!? ちょっと想像できません……一体どうしちゃったんですか!?」

「それはね……そうだね、多分まず、仲間たちに恵まれていたね――」


 私は語る。

 これまでのことを少し変えて。

 何せニンゲンだと思ってもらっているんだし。


 それが少しでも彼女の気を紛らわせればと思って。

 そうしてしばらく進んでいくとやっと雰囲気が違う場所に出る。

 先程までは全体的に湿っていたのに今度は非常に乾いた土質。


 そしてなによりニンゲンの手が多く入っている。

 匂いはこの先に。

 ということは……


「そろそろ、つくかもしれない」

「本当ですか!」

「気をつけてね、何があるかわからない……!」


 ニンゲンの手が入っている割に長く使われた形跡はない。

 こういう場所は自然が支配しやすいが……

 独特な気配がある。


 なんというか神聖というか……

 むしろ寄せ付けないような。

 別に魔物よけではないと思うんだけれど。


 "ライト"と共に歩み続ければやがてたどり着く。

 ひとつの扉前に……

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