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十六生目 魔法

 こんばんは私です。

 今私はたくさんの書物を前にして唸っていた。


「うーん……どう魔法をつくるか……」


 私が暇な時間を見つけてはスキマ時間にちょくちょくやっていた魔法の研究。

 ニンゲンよりもずっと読む速度も記憶範囲も違って脳内で読み返せるのだからそれを利用してどんどん読み増やし理解していっている。

 利用しない手はないからね。


 そこでそろそろ興味を持ったのが魔法の制作だ。

 イチから魔法系列を作って……とかそういうのじゃなくて。

 ようは既存の魔法を1から組んで作ろうということなのだが……


 逆に困っている。

 何を作るか……そもそもどこから始めるべきか。

 やり方や手をいっぱい知っていると逆に困るな……


「うーん……」

「お姉ちゃーん?」

「うん? あ、はいはいいるよハック!」

「おじゃましまーす!」


 今の声はハックマナイト。

 私の同年代弟で私と似た姿のケンハリマ。

 額の瞳が特徴的な種族でなにより彼はキュートな方向で顔がととのっている印象だ。


 私の家にやってきたのは何なのだろうか?


「ほらお姉ちゃん、見てこれ、新作!」

「なにこの……三日月?」

「フルーツ置き場〜!」


 ハックがなにやら運んできた……と思ったら。

 まるで三日月のようなかたちをして底面が平らで上側が細く伸びていた結構大きい像。

 いい感じのインテリアだと思ったら実用品だった。


「え……これそんな風に使えるの?」

「そうだよ! お姉ちゃんよくパイロン実を買うでしょ? そういうのも置けるよ! 床に置くとそこからダメになりやすいけど……上から吊るして置くことで、長持ち! もちろん見た目にもこだわっているよ!」

「はぁー、なるほどなぁ……そういうやり方があるだなんて……あれなんでパイロンの実よく買うことを」


 パイロンの実とはホエハリ1族などが酔えるきのみだ。

 私はまあ……結構ストックはしてある……アルコールより安全だし……

 あと毒の耐性に左右されるので意図的に受け入れる必要はあるんだけれどね。


 そしてこのオブジェはパイロンの実を吊るしておく像と。

 なるほどなあ……相変わらずハックのセンスは独特すぎてよくわからないが……

 実用性に関して実はハックかなり力を入れている。


 昔からツボだの皿だの作っていた時代からハックの制作品が1番頑丈で使いやすかった。

 単なるインテリア道具かと思ったら動き出してサポートしてくれるというものも多い。

 芸術家ではあるが同時に製造者でもあるんだろうなあ。


「そういえばお姉ちゃんはこの本たち何?」

「ああこれ? ちょっと魔法でも作ってみようかかと思ったんだけれど、いざ魔法をつくろうと思うと、どう何を組んだら良いか悩んでて……そもそも何をつくろう」

「へぇー! 魔法を!? どんな風に作るの!? 僕だったらそうだなあ、ほら、前お姉ちゃんと一緒にやったハロウィン、あの時みたいなお菓子で色々作っちゃう魔法がいいなあ……」

「それは食べたいだけ……あっ」


 ただハックがまたお菓子を食べたいだけなんじゃあと言いかけて……ひらめいた。

 魔法という概念的に私が忘れかけていたもの。

 王道ゆえに困難でそれゆえ挑みがいがあるもの。


「どうしたの?」

「お菓子の家をつくろう!」

「お菓子の家!? なんだか、すごそう!」







 それからの私は様々な稼業をこなしながら合間にお菓子の家造りをすることとなった。

 やろう! とは言ったがお菓子の家を食べれるように作り上げるには……

 多くの事柄をこなさなくてはならない。


 何せ食べれる菓子を材料から生み出し……

 腐らせずかつ食べられるように……

 同時に建築も行って……ととにかくシンプルに見えてやることがめちゃくちゃ多い。


 材料準備から魔法陣筆記それに魔導書の作成による現実化工程など……

 趣味の時間に費やすのだが完成はまだまだ先の話。








「ほんと、ローズさんはどうなってもいつもめちゃくちゃかんわいいなああぁはあぁ!! モフらせてー!! 胸の石触らせて!!」

「セクハラは犯罪ですよ」


 こんにちは私です。

 セクハラおじさんもとい鍛冶師のカンタのもとに訪れていた。

 アノニマルースですでに自身の工房を構えていて立派な店構えををしている。


 なんで私がここに訪れたかと言うと……


「まあ冗談はともかく、『素材』の状態を見るなら触るのが確実なんですよ」

「それにしては手付きがおかしいのが困っているんですよ?」

「いやあ、これはつい」


 つい。ではない。


「私の胸の石、本当に磨けるんですよね?」

「もちろん!」


 私の胸の石変化に気づいたのは先日のこと。

 私自身であるこの石が……

 まさか単に洗った程度ではどうにもならないほど曇りだすとは思わなかった。


 それになんとなくではなくほぼ確実に大きくなっている……

 つまり成長している。

 爪みたいに。


 そして爪と同じようにこの石も私自身が磨きたい研ぎたいという意識が強く働くようになった……のはいいのだが。

 私にその技術はない……

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