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十四生目 暑寒

 酷暑エリアと極寒エリアを作った。

 酷暑エリアにとりあえず様子を見てきていて……

 各地の気温が想定通りになるかの視察だ。


「……どう?」

「計測終了まであと少し……」

「…………どう?」

「133度……問題なし……」

「あっっつい……!」


 ユウレンは汗が筆記用具の上に垂れないようにしつつ刻んでいく。

 覚悟はしてきたものの魔法を使っていても常識範囲内で暑い!

 通常範囲は熱い(・・)のでコレ以上の贅沢は言えないが。


「ローズ君! ついに始動なんだね!!」

「あ、うん……?」

「うん? ああ、そうだよデラフキ」


 遠くから歩んできたひとつの大きな魔物。

 それは私達が見上げなければならないほどに大きな……虫だった。

 彼はデラフキ。まさしく熱くなければ生きにくい魔物の一体だ。


 大型の虫……というなんだか矛盾した存在だが見た目としてはそうとしか言えない。

 昆虫で比較的スリムで背中に黄色と赤色の模様がある。

 高い脚のせいでより大きく見える。


 そしておとなしそうな見た目に反して攻撃時はあらゆる危険ガスを放ち溶岩を撃ち炎を吐く。

 まさに竜よりも強い……ということで二つ名がつき"越竜"とついている。

 まあなんやかんやあってアノニマルースにきている今は平気だ。


「というか、もう来たんだね。まだ調整中なのに……!」

「それはもうね! テスト日の噂をききつけ、ずっっと待ち望んでいたからね! 誘われたからには、やはり来てみたかったのさ、もう我が古巣は小さすぎる!」

「あはは、ここもちゃんと拡張していかなくちゃね……」


 デラフキは満足そうに触覚を揺らしている。

 触覚だけで私が乗れそうなくらいあるんだけれどね大きさ……

 だからとりあえず確保してある酷暑エリアもまだまだ小さく感じられてしまう。


『こちらはデータ収集終わりました』

『ありがとう!』

「おっと、仕事しなくちゃ〜」

「そうよ……早く終わらせましょう……酷暑より極寒のほうが着込めばいいぶんマシよ〜……」

「ああ、引き止めて悪かったね! ローズ君とあなたも、快適な場所づくり頑張ってくれ!」


 違う場所で計測していた仲間たちから念話連絡が来た。

 私たちも早く移動しようっと。


「それじゃあ、また! 何か不具合あったら連絡をー!」

「ああ!」


 別れを告げて移動再開だ。








「さっっ……!!」

「着ても着ても寒い……」


 ユウレンたちと共に今度は極寒地域に調査へ来た。

 もちろん事前に着込んでなおかつ魔法も行いつつ。

 火魔法"ヒートストロング"で身体をあっためているのに……


 まあそれもそのはず。

 現在の気温は……と。

 こちらはもちろん極寒仕様にした気温計だ。


「うわぁ……マイナス24度……」

「それ壊れているんじゃないの……?」

「残念ながら正常だし、理想値だから……」


 あまりに寒すぎて互いの会話が沈む。

 まるで言葉も凍りついているかのようだ。


 とりあえずまたグループでわかれここのエリアもはかることに。

 どんどんはかってサクッと終わらせよう。





 ここは寒すぎて地面はほぼ凍結している。

 建物たちは凍てつき氷の植物たちが枝を揺らしている。

 場所によっては雪もふる予定だ。


 近くに大きな川も通すらしい。

 氷河を人工的に作るのだろうか……

 ちゃんと一般に安全策を講じておかないとなあ。


「ん……マイナス15度……」

「ああ〜……寒い」


 ユウレンが震える手を抑えながら記録とっているのを横目でみつつ額にある目に割り当ててある"鷹目"に見知った顔をとらえた。

 アレはたしか……


「おーい! ホーンラビー!!」

「やや? おお! ローズ殿!」


 遠くに見えたのはホーンラビ。

 氷河の迷宮を一族で管理している。

 彼らは鹿のような角を持つモコモコなウサギだ。


 彼はそのなかの群長だ。

 近くまで駆けてきた。


「ちょうど遊びに来ていたんだね」

「アノニマルース支部として、是非来なくてはと思っていたでござる。いやあ実に快適でござるね! これなら安心して仲間を送れそう!」

「そう……よかったわね……」


 実に朗らかなホーンラビと違ってユウレンは仮面もキッチリかぶって小声でつぶやいている。

 まあ私もどちらかといえばそっちのほうが気分わかる……!

 寒いもんなあ……


「うん……私達は……寒いから、もうそろそろ次のところ測りにいくね……!」

「はははは! ローズ殿たちもこの気候に慣れれば快適ですぞ! では!」


 ホーンラビはピョンピョン跳んでいった。

 なんというか……元気だなあ……

 きっと私も色々頑張ればこのぐらいの気温でも平然とできるのだろうけれど……


 さすがに冒険するわけじゃないからなあ。


「ップスンッ!」


 クシャミが出てしまった。

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