十二生目 猛毒
私の毒はイバラ全体も濡らす。
敵を掴んでいる毒は当然トゲだらけなため……
ほぼ直接流し込みだ!
「ぐうっ!? この感じ、毒か!?」
「そうだよ! はあっ!!」
また振り払われる前に地面へとぶん投げる!
ほぼ受け身不可の叩きつけをくらい吹き飛ぶリーダー。
だがすぐに身を立て直して立ち上がる。
距離が再度いい感じに離れた。
っと! 右側の水砲撃が放たれた!
凄まじい水量が光とともにビーム状に来た!
展開した鎧で受けるものの結構……強い!
わりと痛かった……!
けどこの程度回復は必要ない!
「やああぁ!」
「こいつ、まともに喰らったはずなのに!?」
潜入前にかけていた補助魔法で切れそうなものを再度かけつつも残りの枠で攻撃準備。
気にせず大量のイバラで叩きつけ斬り込んでいく!
リーダーは身体から毒に焼かれた部分をかばいつつ水で打ち払ってくる。
リーダーの殴りや蹴り全てに光のついた水が射出される!
あれがイバラたちを結構な勢いで吹き飛ばしてしまう。
あれがさっきイバラで取り囲んださいに吹き飛ばされた理由か……
だがリーダーは結構それで必死になっている様子。
おそらく借り物の力を使いこなすには戦い方が普段とあまりに違いすぎるのだろう。
こちらもそろそろ本格的に仕掛けよう!
一気に駆け横に跳び倉庫の機材を蹴る。
電気魔法! "スパークエンチャント"と……
[サンダーランス 目の前に槍状の大きな雷を射出する]
私のイバラに電撃が纏われ……
ほぼ同時に私の目の前から雷の槍が飛び出るように生まれていく。
敵に食いかかるように飛びつき……
「させるかっ!!」
リーダーが両手を合わせてから大きく腕を広げる。
手が開いたスキマに大きな水の盾が生まれ……
それが光をまとって私の槍を防ぐ!
「な、なんだこの力……! 今の私の力を……! 超えるというのか……!」
「その程度!!」
私の槍と勢いで水の盾がどんどん侵食されていく。
そして……
周囲にあったイバラを振り回す!
「ガッ!?」
当然敵が盾をはっていたのは正面のみ。
雷撃をまとったイバラにぶつかれば相手は感電し……
思いっきり水盾が砕ける。
そして雷撃の槍が敵をつらぬいた!
「ひ、卑怯な……!」
「キミ、明らかに戦い慣れしてないねッ!」
相手は私の雷槍に貫き吹き飛ばされた勢いで大きく吹き飛ぶ!
結局は光を持っただけの完全な実体を伴わない槍。
大きな穴があくわけじゃないが……よし準備できている。
さらに駆け込み背のイバラを伸ばしていく。
相手はしびれる身体をふりはらいさらに水魔法や水攻撃を出して私のイバラを追い払う。
同時に大きく跳んで攻撃を避けつつ下がり……
壁に背がついた。
「しまった!?」
「そうれっ!」
壁に追い詰められない立ち回りそのものは基本中の基本……
相手も気をつけてはいただろうが気をつけただけでは押し切られるのが基本というもの。
さらにイバラで両側から同時に攻め込み感電の力で防いだ上から痺れさせ……
(このコンボ喰らいやがれ!)
そこに武技"ズタ裂き"で赤い光をまとったイバラの1撃!
敵の腕から身体にかけて大きく切り裂けば体液が吹きでた!
そして痛みで思わず身体を引き無防備になった身体に。
尾のイバラ先を一気に近づける!
そのまま勢いよく頭上から尾先の花みたいになっている部分を広げると中から溜まった毒が射出された!
反射的に防ごうとするが反対側の腕や水は間に合わない。
思いっきり頭から毒をかぶり…、
さらに私の尾先トゲで思いっきり身体を刺す!
1番濃い毒が身体の中に直入れされるわけで……
「ぐああぁ!! み、水! ガアッ……!」
「水の刺激も痛むからオススメしないよ」
トゲが離れたらすぐに跳び離れ水を生み出し自分にかけて毒を流そうと空中から落ちてくる。
水の刺激すら毒におかされた皮膚は痛むのだろう。
まあすごいなんか水蒸気上がっているしね。
「……! ッ……!」
そのまま激痛らしく転がりながら身体の毒を落とそうと足掻き……
そして今度は全身の震え。
うずくまりだした。
猛毒が回ったのだ。
例え生命力に余裕がまだあり……
そして通常この毒程度では相手が死なないだろうとしても。
戦い慣れしていない相手がこれをたえることはできない。
(ふう……なかなか良い暴れ方できたなぁ)
「リーダー、キミを捕縛する!」
「う、うが、が、ど、どくを……ぬいて……どくを……!」
もちろん毒は抜く。
捕まえて病院でだけれどね!
……姿が変わっていく!?
まるで溶けるように全身の姿が溶け……
中から元のリーダーが出てくる。
戦いは終わり……かあ。このなぞの力……今後も気をつけねば。
そのためには彼には聞きたいことは山ほどある。
よし……自分への全身毒も切ろう。
ふう……頭が冷めてきた。
体液出血もしつづけているし……少しやりすぎたかな。
死んでしまわないといいけれど。
まあ回復はするけどね。