十一生目 関連
カエルの姿が変化していく。
進化でもトランスでもない。
なんなんだこれは!?
「アッハッハッハ、いいねえ! 帝国のカエリラスも良い研究データを残してくれたよ!」
「なっ!? カエリラス!? お前たちも……!?」
「アタシたちかい? 正確には違うさ。アタシたちは影のみんなのおともだち、タップリ稼げるからねぇ、ハハハハ!」
「ボス、そろそろ」
なんかまずい気がする……ニンゲンのほうに"観察"!
[ミューバット Lv.?? 比較:妨害]
[ミューバット 個人名:アルセーラ
ニンゲンからの進化体の1体。夜行性で魔法を操るほか吸血なども行う]
よし覚えた!
攻撃も吸血ならイバラは関係ない。
全方位から飛びつかせる!
「ウオラアアアァ!!」
「なっ!?」
変貌をとげる『リーダー』から凄まじい圧力が放たれた!?
凄まじい咆哮……!
思わず私含めてイバラごとひるんでしまう。
……しまった!
「じゃあ、また遊びましょう?」
「ではな」
「ああ、もう!」
さらに今ので結界もはられたらしくイバラが侵入できない。
その間に黒い穴なようなゲートを空間にうみだし……
ふたりはその闇に消えていく。
一方カエルだった『リーダー』はその面影がかなり変化していた。
姿勢そのものは前傾的なのだが大きさがニンゲン大に。
さらに姿が全身に青い硬質な鎧でも纏ったかのようなものに変化している。
覆われた顔の片目が輝く瞳のマスクに覆われていた。
「な…、なんなんだ!?」
「力が……溢れる……! これは素晴らしい……! 力を一時的に取り込め発動できるとは……フフフ……さあ、行くぞ……!」
バリンと大きくガラス質の物が割れる音と共に結界が破られる。
向こうが解いたらしい。
そして声がくぐもり低く擦れるようになった。
敵『リーダー』は勢いよく突撃!
くっ……イバラたち今度こそ!
敵の全身を囲め!
「無駄……!」
一気にトゲありで巻き捕らえた……とおもったら中で膨れ上がって押し返した!?
なんて力だ!
「切り飛ばしたつもりだったが……まあいあ……本体を叩けば……!」
こっちに来る!
背のイバラを戻しつつ尾のイバラを伸ばす。
前へ突撃し『リーダー』を迎え撃つ!
目の前に来ると突如そのカエル独特の足を駆使して高く飛び上がり……
そのまま鋭く蹴り落としをかましてきた!
……針を生やして受ける!
「ぐっ!?」
「カッカッ、良いなあ、良い力だ……!」
針ごと光をまとった蹴りでぶっとばされた!
地面から離れないように耐えつつも凄まじく後ろへ滑らせられる。
針は折れて敵の足に刺さったがすぐに抜け落ち体液がわずかに出ただけで平気そう。
尾のイバラをリーダーにまで伸ばしさらに駆けて来ようとするところに伸ばし牽制。
互いに殴り合う間に"観察"!
[ゲコビッドLv.35 比較:少し強い]
[ゲコビッド 個体名:リーダー
多くのカエルを率いて自分の世話をさせる。自身が戦うことは少なく、そのときは歌の力を使う]
うわ比較以外ほとんど意味がない!
つまり……種族が変わったわけではないのか……!
対処可能だが激しい戦いになるな……
「みんな気をつけて! あいつかなりやるよ!」
「分かった、こちらは先にこいつらを捕縛して下がる! 警備隊到着まで持ちこたえよう!」
ボディガードたちも大半は抑え込んでいる様子。
思いっきり戦わないと!
そのためには……
「わずらわしい!」
「ウグッ!」
尾のイバラが強烈に弾かれた!
私の方へと叩き込まれリーダーは改めて私に接近。
今こそ自身に毒の力を使う時か……!
ロゼハリー自体に自身の毒をパワーに還元するというものがある。
今の私なら常時それができるが……
ようは常に元気ハツラツエネルギーイン! してテンションも上がってしまい普段や潜入任務には向かない。
ストレートに言うと凶暴性が増すと思う。
まあ言っている場合ではない。
背のイバラを身体近くまで戻せたので武技"蛇の構え"でとぐろをまかせるようにして構える。
そして……自分の毒を自身の全身に回す。
意識でオンオフ可能だがさらに"疲れ知らずの魔毒獣"で出来るようになった全身から毒纏いを出来る。
リーダーが最接近して右拳……
いや本命は左側からの水魔法!
右側に鎧を展開しつつ前方は"蛇の構え"で受ける!
「何!?」
殴りはイバラでうまく受けられビシッとイバラの先で弾き……
そのまま武技"縛り付け"で引き込む!
(きたきたきた、全身に力が来た!!)
私のもうひとつの人格ドライも騒ぐ。
体全体が毒に濡れだし……
めぐる力……体中の細胞が目覚めている!
「もうコレ以上はさせないよ」




