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二幕 三生目 違法

 書類仕事を一段落。

 よーく伸びをする。

 おっと。そろそろ時間が……


「ローズオーラ? 食事が出来ているよー!」

「うん、今行く!」


 ひと昔前アノニマルースの食事の多くは食堂で一手に担っていた。

 しかしもう増え続ける人口または魔物口にアヅキたち食堂係では限度なのでより食事周りの自由化をはかっている段階だ。

 つまりは外食と家庭食をつくろうというだけなのだが。


 その政策の一環として私やホルヴィロスそれに社員たちはみな出来るなら我が家でたべることになっている。

 その時手があいているものたちがみんなの食事を作るのだ。

 もちろん生肉ゴロンで終わりにならないようたくさんの指導を受けながら。


 ただ……


「主、今回はこのように仕上がりました」

「アヅキ、もうちょっと休んでくれても良いのに……」


 ……向こうの部屋でホルヴィロスに調理指導をしていたのはカラスの身体を持ちつつ人型で山伏を思わせる姿を持つ魔物アヅキ。

 ゴールデンタイムでめちゃくちゃ忙しいのに私が家にいる時はわざわざこうして来てくれるのだ。

 私を慕ってくれるのはありがたいがせっかくの負担軽減政策を存分に利用して欲しい……


「いえ滅相もない! 主の胃に生ゴミが入ってしまわないかだけは心配ですので!」

「誰が作ったのが生ゴミだよ!」

「だから私が主のためにここにいる。主に出せる最低限はクリアした品だ、つくりだせることを誇りに思うが良い」

「あ、ありがとうアヅキ。ホルヴィロスも、ありがとうね」

「ううん! ローズオーラのためなら何だってするよ!!」


 ホルヴィロスとアヅキがバチバチとしていてた。

 アヅキは本当にアノニマルースでうまくやれているのか不安になるなぁ……

 まあアヅキへの悪評は聞かず逆に黄色い声はよく聞くので心配ないとはわかってはいるが。


 そもそもアヅキが不満がある相手には直接行くタイプで向こうの怒りも平然と受け止めるからそもそも噂を撒き散らすことにならないんだな。

 さすが過去は群れを率いていただけある……


 食事たちは今日もバラエティに富んでいる。

 特にアヅキは加熱調理に対しての指導が余念ない。

 ホルヴィロス含め火の料理は苦手だからね。


 ホルヴィロス自身はわりと何でも食べるが……

 元が植物なだけあって発酵料理を作るのも食べるのも得意。

 お酒も作れるのでアノニマルース内でも慎重な取り扱いが必要だなと思っている。


 今並んでいるのは酒類をのぞくものだ。

 ちなみに肉類がやや少ない。

 これはホルヴィロスの好みが大きいだろう。


 私は結構あれこれ食べられるから問題なし!


「それじゃあ……」

「「いただきまーす!」」








 私は日暮れ外に出る。

 ここからは夜の時間だ!

 私は昼も動くが"四無効"で睡眠をコントロールしているだけで元来夜行性である。


 2つの月は今日も空にうかんで……

 ……あれってそういえば片方地獄なんだっけ。

 詳しいことをちゃんと聞けてなかったなあ……まあ今すぐいる情報でもないが。


 元々昼イタ吉と出かけていたのは調査のためで……

 うっかり神が仕掛けてきたのでその場の戦力で対応したが本当にヒヤヒヤする。

 そこまで強くなくて良かった。


 あの時はイタ吉とたまたま同時行動していたが……

 別に別行動でも問題はない。

 特に追加連絡ないしね。


 極秘の依頼をこなさなくてはならないのだがその内容は……


 違法アイス。


 である。

 警備隊が手こずっているほどに割と重たい事件。

 アノニマルースに急激に数が増えるということは犯罪も蔓延るのだ。


「やあお疲れ様! また絡まれてた気配がしたけど、どうだった?」

「そうりゅ……そーくん! 気軽に言ってくれるけれど、やろうとしたことがこの迷宮を吹き飛ばそうとする勢いだったから、とんでもなかったよ……!」


 歩いていたらいきなりニュッと出てきたのは蒼竜の"分神"。

 似ても焼いても食えない大神の1柱であり今の姿はニンゲンをベースに帽子とツノがあるもの。

 彼はこうして色んな姿をとっては私の前に現れる……


 蒼竜の名は多くの者が知り迂闊に言うのは危険なため表ではそーくんと言うことになっているわけだ。


「アハハ、この場が無事ってことはなんとかなったんだろう? ならそれで問題ないさ! "分神"でちょっかい駆けてくる神だなんてイチイチ気にかける必要もないしね。キミは小神の中でもかなり強い、特にいざとなれば味方も神の力を纏えるというのはかなり興味深いね」

「は、はあ……」

「それよりも、こんな夜に険しい顔をして何をしていたんだい?」


 褒めてるんだかなんだか……

 まあ面白そうなものに興味があるだけなんだろう。

 そういう顔をしている。

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