二幕 二生目 白獣
社員たちはバリバリ仕事していた。
そして……
「ホルヴィロス、また1体仕掛けてきたよ」
「えっ!? 大丈夫!? 見せて? ああ、顔に傷が……!」
味方の小神ホルヴィロス。
白い毛玉な大きめの魔獣……に見せかけた植物の神。
姿は彼のこだわりらしい。
そして今は眼鏡をかけて自称秘書ことホルヴィロスとなっている。
彼らの仕事ぶりは目をみはるものでとにかく私が自由時間のうまれるわけは彼らのおかげ。
最初どうなるかと思ったが任せてよかった。
「みんなもお疲れ様ー適度なところで休憩挟んでね」
「「オオー!!」」
若干熱が強い以外はとても優秀だ。
そして……というかしかしというかホルヴィロス自身は若干どころではない。
優秀さも熱加減もかなりアレである。
「ああほんと私以外がこんなにローズに傷をつけるだなんて許せないけどでもこういうローズの、汚れた身体っていうのもいいよね!!! はぁ〜好き!!
互いの血なんかで汚れちゃってまあ今回は相手分神だったから血はない、けれどそれにしても傷跡は絶対残さないようにしないと傷の姿がグッとくるのは完璧な姿に戻るからであってやっぱりわざと傷跡を残――」
「あ、治療終わった? じゃあおつかれ!」
「――けれどやはりどの姿もグッと来るのが心情として強くあるわけでそれと前見たけれど眼鏡ローズオーラ姿は本当に最高に思わずは??? かわいすぎか???? 私の内臓眼鏡目線で貫かれて死んだんだが???? っ自分の眼鏡のツル噛みそうああ!? ローズー!?」
とまあまともに付き合っていると正直聞いてはいけない気がする単語がなだれ込んでくる。
早口でまくし立てつつも彼のツルは正確に私に治療を施してくれた。
消毒や塗るものや貼るものちゃんと全身やってくれたらあとは奥の部屋に引っ込む。
こっちはプライベートルームでホルヴィロスもきっかけがなければ突っこんでこない。
そのかわり虎視眈々と常にその突っこんでくる理由を探しているのでうっかり汚くできない……
常に外向きも考えた感じにしなくちゃいけないのは結構維持が大変だ。
部屋の隅には生命の石というインテリアが輝きながら浮かんでいる。
ツンツンしたら美しい音色を奏でたりもする。
もっとお土産とか部屋に置いたほうが良いのかな……
少し休んで夕方になったらまた外に動こうかな。
それまではこの部屋でのタスクを終わらしちゃおう。
私は強く自身の姿をイメージして……変える。
ホリハリーと呼ばれる人型獣の姿……つまり2足になる。
気分で部屋着をまとい頭から生える長いたてがみ……つまり髪の毛に似たこれらは書類仕事の邪魔にならないよう後ろにまとめる。
色々整え机に座ってインクをとる。
今の出来事を筆記しとこう。
日記もかなりたまってきた。
誰に公表するわけでもないんだけれどね。
それとこっちの書類は……
私の冒険者ランクを表し認める書類か。
Aマイナスからはじまりいわゆる最終ランクであり存在のしないZ級まである。
なおローマ字なのは私が脳内変換しているだけで実際は似たようなものってだけかだが。
昔はLとかだったランクだが今やTランクだ。
こうなるともはや国や組織に縛られる。
皇国や冒険者ギルドは私の正体を知っていて利用しているとはいえ明らかにランクの上げ幅は異常だ。
魔王を結局どうにかしちゃったからたくさんご褒美上げるよ! とはされたものの明らかに担ぎ上げている。
オウカが特にそうなのだけれどランクが高いというのは単にえらいというだけではない。
権限と権力と金銭でがんじがらめにしてこちらが余計なことをしでかさないように縛ってくるのだ。
実際この書類の下にたくさんの国や冒険者ギルドからの依頼と言う名の命令がたくさんある……
帝国ならいつの間にか軍に編入されていてもおかしくない。
皇国は皇国でこのように遠回しの形を取るだけだ。
実際に私がこれらの書類に対してやることは少ない。
ほとんどはホルヴィロスたちが調整から記入まで済んでいる。
たださすがに私が書かないとまずい部分もあるし目を通さないとやはりまずいからね……
ほんと仕事が減らせば減らすほど増えるのおかしい……
私あっちこっちに顔を出さなくちゃならないらしいから。
まあその分アノニマルースとニンゲンたちの交流が進むのならやるけどね……
ただ私の顔をデフォルメした絵を商会から持ってこられた時はひっくり返るかと思ったけれど。
確かに急な成長で名は知られてきているがお菓子に焼印したり刷ったりする話は恥ずかしすぎるので勘弁してほしい。
もう気づいた時にはやったっていう書類がこの机に積まれていたんだけれどね!
その書類の絵は出来が良かったから余計に困る……
神さまって自身をガンガン知ってもらうことが基本らしいが……私は小市民出身だからまだそういう感覚がないんだ!