二幕 1生目 撃退
「これで決めるぜ! ローズ!」
「うんもちろん!」
私は顔から流れ出る血を拭い取る。
相変わらず黄色で少し安心した。
4足で駆け敵のビームを避ける。
こんにちは私ローズオーラです!
異世界から転生したというだけの記憶と前世の知識を持ってるだけで魔物の獣としてこの世界に産まれた!
青っぽい毛皮を持つ私はなんやかんやあった後小さな神にまでなれた。
そして……いま!
ちょっと強烈なバトル中!
あたりは焼け野原と化し空からは巨大な隕石が落ちようとしている。
私の隣に共に駆けているのはイタチのイタ吉たち。
3体で1体という変わった種族。
尾が刃で大きくスラリと伸びている1体に小さいのが2体。
私から"神魔行進"というスキルを受け全身に光をまといとても強くなっている。
共に飛んでくるビームを避け……
さらに加速する!
そしてイタ吉たちは尾刃や爪を私は背中のイバラを集中させ大きなイバラを練り上げる。
光を纏い最高に威力を上げ……
駆け抜けると同時に振り下ろす!
「「やあぁっ!!」」
敵の……神に対してキレイに入る。
まるで足のない大きな老人が全身布をまとっているかのような姿の神は大きくそり返り硬直する。
よし!
「があああっ!! バカなあぁ!!」
神の身体が構成されていた光が私達の攻撃と反応し大爆発を起こした!
あたりに輝きが落ちてゆき燃え荒れ果てた大地は消火され草の息吹が芽吹く。
さらに空の隕石は消えて澄み渡る空だけが残った。
天変地異を起こしていたのはヤツだったからね。
魔法じゃなく神力頼りだと本人の出力が切れた途端こんなものだ。
神たちは行動力と呼ばれるエネルギーの他に神力と呼ばれる特殊なエネルギーも使いこなす。
神力はそれこそ現象や概念をいじってしまうほどに危ない存在なんだけれど……
イタ吉への"神魔行進"もこれを使ってイタ吉の格を上げており使い方次第。
また1度起こしてしまえば現象として成り立つ魔法なんかと違い……
神力は最後までマニュアル運転だ。
どちらが良いかはその時次第だろう。
"神魔行進"解除!
「まったく、"分神"で襲ってくるのは面倒だなあ」
イタ吉が肩の腕を回す。
"神魔行進"を解くとまた強い脱力感に襲われているようだ。
私もひとつ御守のようなものを取り出して胸に輝く埋め込まれた赤い宝石に当てる。
すると全身から不思議な力が抜けていく……
最初はひどくつらさを伴ったが慣れてしまえばむしろ大きすぎる力が抜けて肩が楽だ。
私は普段神力をこうして封印し隠蔽……危険な神から隠れているはずだったのだが。
今さっきも新参が気に食わないから隕石落とすとかいわれて戦っていた。
隠すのも限度はあるらしい。
蒼竜いわく本体が続々やってくるよりだいぶマシ……らしいが。
"分神"という神の写し身はたいてい神本体より能力が落ちる。
それなのに仕掛けてくるのは舐めているのかゲーム感覚かということらしい。
ゲーム感覚で空から隕石落とさないで欲しい。
「とりあえず帰ろうか、アノニマルースへ!」
「ああ!」
空魔法"ファストトラベル"を使いイタ吉と私の姿はその場から消えた。
アノニマルース。
それは魔物たちの魔物たちによる魔物のための街。
魔物とはニンゲンも含む。
荒野の迷宮内に作られたここはこの世のパラダイス!
……を絶賛めざしてまずはふつうの街を作ろうとしている段階。
結構他の迷宮に私達が行くとその迷宮内なら噂が走りやすく今や転入手続きで役所があたふたすることも多い。
さらに意外なことにニンゲンの転居手続きがかなり多くなっている。
確かに私達は魔王を打ち倒しニンゲンたちの国帝国の帝都を取り返したとしてともにパレードなんかもした。
広告もあれこれ打ったがいわゆるニンゲンとの友好アピール第1段みたいなもので敵対して焼かれたり少しでも交易を有利に運びやすくしようとしたものだ。
ここまでニンゲンが住んでみようと思ってくれるだなんて考えの外だった……
そのため現在急いでニンゲン用物件増設中。
骸骨たちは死霊術師で作られたゴーレムの一種でとても頑張ってくれているがそれでも間にあわないよこれは!?
それはともかくとして流石に今の神を倒したのはかなり疲れた。
身体の治療も行わなければならないし……
イタ吉と別れ自宅へ戻る。
「ただいま」
「「おかえりー!」」
私の家なのに複数の声。
もはやいつもどおりだがまず手前の部屋は仕事場になっていて複数の魔物たちがバリバリ仕事している。
彼らは私の自称秘書に雇われた社員たちだ。




