千八十四生目 帰郷
家に新しいインテリアが増えた。
それはともかくとして。
今日私はちょっとした決意を持っていた。
インカやハックとも声をかけている。
わたしたちが向かう先それは……
「なんだか長かったような、短かったような……みんな元気かなあ」
「全員時間が取れる日が今日しかなかったとはいえ、ゆっくり出来ると良いなあ!」
「き……気が重い……大見栄きって出ていったあとだし……でも帰る……私達の故郷へ!」
私達は森の迷宮の1ポイントにいた。
この先に進めば私達が隠れ住んでいた生まれ場所。
私達の帰る場所のひとつ。
ホエハリのすみかだ!
「ところで妹、なんでこんな大荷物を運ばなくちゃいけないんだ……?」
「お土産ってやつだよ!」
「僕も持ってきたよ〜!」
「いやそういうことじゃないが……まあいいか」
私は空魔法"ストレージ"に入り切らないお土産を板の上に乗せとげなしイバラで引っ張ってきていた。
ハックは"進化"して何かハニワらしきものがはみ出ているのが見える。
インカは対して空間拡張されたカバン1つと省スペースだ。
森の視界がひらけて行き……
とても見覚えのある景色がそこにあった。
ホエハリのみんなたちがそこらへんにいて……
あの時からほとんど変わっていないにおい。
それでも新しさもあるにおい。
帰って来た!!
「「ただいまー!」」
「「誰!?」」
おおう。
思いっきり若手たちに詰め寄られた。
というかもう威嚇である。
私達は全員オジサンから訓練を受けていて自然と気配を柔らかく……つまり弱く見せられる。
これのおかげでどんな相手にも逃げられにくいのだが……
こうやって見知らぬ相手になめられやすくもある。
とはいえ相手はほぼ弟と妹だからいいけどね!
「わ、わあー」
「あはは」
「おーい、大丈夫だよ! 彼らはかぞくだよ!」
「子どもたち、元気すぎるよー!」
遅れて掛けてきて若手を制したのは……
とても馴染みのある声。
「あっ!」
「ふたりとも! 元気そうで何より!」
「ハート隊のおふたりとも、お土産持ってきたよ〜!」
そしてハート隊……私達の育て係だ。
今もハート隊をやっているのかと思ったらしっかりやっていた。
なんだか少し雰囲気が変わった気がする。
「おお! これはうれしい! はなまる!」
「なにかななにかな〜!」
……あまり変わってないかもしれない。
「な、なあかぞくって……? こんなにおいのやついたのか……?」
「クローバー隊にこんなのいたかな……?」
「いんや、彼らは独立者でね。はなまるな成績を残して新しい群れを作りに行っていたんだ」
「というか教えただろう? 伝説の英傑がいるんだって」
「こ、こんな弱そうなやつらがー!?」
私達はみんな苦笑いするしかなかった。
ただ……
私自身は少し理由があってぐっと弱くなっている。
あれは群れに帰る少し前のころ。
蒼竜とたまたま出会い……
出かけるならとなにかを手渡された。
「これは?」
「つけてみればわかるさ!」
「怪しい……」
とても怪しみつつもその鱗と宝石でできた飾りを胸の石に当てる。
するとそこから不思議に力が抜けていく……
少しフラッと来たところで変な力の感覚がなくなった。
「い、今のは!?」
「今のは神力封印措置。キミみたいなあっちこっち出かけるタイプの神が、それこそ神の力丸出しで出歩かれるとかなり困ったことになるんだよね……厄介な神は因縁つけて絡んでくるし、その力で戦闘はわりとシャレにならない規模の破壊を生み出せちゃうからね……」
「ええっ!? せっかくの力なのに!?」
なんと神力が封印され今の私は神として認識不可能になっているるしい。
しかも蒼竜は笑顔でまだ続ける。
「もちろん使いどころと踏んでくれたらさっきみたいに使って封印解除すればいい。ま、ようは神力とそれに伴うパワーの乱用はやめてくれってことだね!」
「そんなあ……! まあ、わかるけれど……わかったけれど」
「まあ、悪い話ばかりじゃない! 封印はさっき言ったメリット以外にも、神力がどんどんためやすくなるというものがあるよ! 制限するかわりにより強く力がたまるんだ」
これは……なんとなくわかる気がする。 神力とはつながりの力を変換したもの。
そして今私の器は……一体どこまでチャージ出来るか底が見えない。
おそらく物質的な水の器とは違うからだ。
こちらはどこまでもたまり続け私の力になってくれる。
だからためることに越したことはないのだ。
ということで。
私は実際多くの弱体化をくらっている。
まあそれでも彼らよりは強いが……
でもそのような気配を出していないしナメられるのは仕方ないね。




