千八十三生目 復活
キュウビ博士にダカシを紹介した。
ここで作っているものを訪ねたが……
まるで発信器アンテナのようだ。
「今度はリングの音声のやり取りを利用してな、特定の地点から受け取りたい不特定多数のリング所持者に対して、あらゆる音を発信する機能を作ろうと思ってな。チャイムやサイレンの拡声器は便利じゃが、音をでかくすればするほど聴こえにくい。それにも使えるじゃないか……と作ってる途中でバローに言われてな」
バローくんとは同じ冒険者ギルド所属の子でアノニマルースで思う存分研究している。
普段は九尾博士なんかと話しながらアノニマルースジャングル地区奥にいる。
今日はこっちに来ていないようだ。
だが……まるでその言い回しで出来るのは……!
「無線放送局!? ら、ラジオ!?」
「ん? 何か心あたりがあるのか? まあいいわい、ワシは使い方はしらん。できたら勝手に使えい。さて……ダカシとやら、少し茶につきあってもらうぞ」
「え? あ、ああ」
ダカシは初の九尾博士開発トークにまるで頭がついてきてなかったが……
呼ばれてなんとか正気に戻った。
ダカシは歩み九尾博士の横についた。
「それじゃ、私はこれで。また出来たら見に来ます」
「ああ……最近若いのが多くいて若さを吸い取れるようじゃな! まず親たちのことから聞こうかの」
「あっ、えっと……そうだ、ローズ……その、ありがとうな」
「えっ? うん」
九尾博士は笑いながら先に歩み去り……
ダカシが私のほうをちらりと見てから早足で九尾博士の跡を追う。
……え。ダカシが割とストレートに私に感謝を?
結構レアなのでは……?
まあ……彼が死ぬのを止められて良かった気がする。
今から思えばもしかしたら九尾博士の昔襲撃した集団もカエリラスと通じていたのかもしれないなと今更ながら思う。
その後日やはりほぼそうだとわかり落胆半分喜び半分な九尾博士と……
なんだか少しだけ良い気持ちを持てたらしいダカシの姿が病院に向かう途中見られた。
こうして命はめぐる……
「できた!?」
すっかり私も作っているのを忘れかけていた生命の石。
いつの間にか出来たらしい。
すっかり忘れていて家で思わず声が出てしまった。
あっ! と思ってチェックしたらコレだったので……
向こうの部屋から足音が聴こえる。
正体は。
「ローズオーラ! 何があっブゥ!」
「大丈夫だから、特に用事があるわけじゃないから」
向こうの敷居からやってきたホルヴィロスの頭をとげなしイバラで的確に抑える。
もはやイバラ操作は手足より自由だ。
まあ拘束したいわけではないのですぐに引っ込める。
「もういじわるなんだから! 何があったんだい?」
「あー、ちょっとまってね」
生命の石は私の中でじわじわ作られ……
完成直前で止まる。
私の目の前でだして本当の完成となる。
まずは胸の石に気持ち力をこめ……
ゆっくりと胸の石内側から光が伸び始める。
そして目の前に集約しだし……
光り輝く黄色の透明石が私の目の前に現れた。
結構大きい。
サイズ感としてはタテ50cmの長方形と三角錐の組み合わせみたいなものだから岩とも言える。
光が出てくる時特に何も感じなかったが目の前に石が出てくると特別な力を感じる。
なんというか暖かい。
溶岩石の温かさではなくなんというか魂の奥に響いてくる暖かさだ。
「これは……なんだか凄くないかい?」
「私もできるようになったばかりで……」
今みたいに生み出してもうひとつというのはできない。
ただ制作途中までならなんとか大丈夫そうだ。
作っておこう。
そして目の前のものに"観察"!
[生命の石 チャージされている分生命力と行動力を癒し時間と共にリチャージされる。設置した場所から動かせず損壊に弱く本来の機能を失う]
なるほど……つまり。
移動できない加工できないと。
空中にふわふわ浮いているが見た目は重そうだ。
「これを使ったら……多分ホルヴィロスも生き返らせることもできるよ!」
「えっ、私もう死んでいないけれど?」
「えっ」
「だって、もう私はとっくに復活しているよ? みんなも多分そうじゃないかな」
えっ。
い……いつの間に!
これは今の所部屋のインテリアにしかならなさそうだ……!
「そ、そう……蘇っているのなら良いんだけれど」
「私は沼の力で体を再生したし、ナブシウは復活させてもらったと自慢していたし……グルシムはほら、ね」
「ああ……」
ナブシウはナブシウの主パワーで復活。
グルシムは戦闘後元の姿に死になおった。
グルシムが引き戻されるのはアンデッドな姿で勝手に戻ってしまう。
彼にこれを当てたら全身が腐りだしそう。




