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千七十九生目 医療

「やあ! ローズ、どうやら何もかも解決できたみたいだね!!」

「せいやあ!!」

「ゲフゥッ!?」


 拠点の片付けをトゲなしイバラを"千の茨"で分割して荷物を運んだり"獣の賢者"の力で魔力を射出する念力で運び練習ついでに手伝っていたらニンゲンみたいな姿をしている蒼竜がいた。

 なのでそれらを保ちつつ高速で跳ぶように駆けホリハリー型に変化。

 そして単なるパンチを繰り出した。


 派手に吹っ飛んだり何だりは当然しないがうまく腹部に命中。

 体をくの字に曲げてその場にうずくまる。


「お、おおっ……えっ、何……?」

「ちょっとそ―くんのせいもあって死んだしそれ以前からこっそり利用されていたし、このぐらいはしておかないとと思って」

「い、いや、でも気づけたし、成り上がれたんだろう? 僕はほら、君を信じていたのさ! それに、わざわざあれこれ言うのはこう、野暮じゃないか……!」

「ああ、うん、色々言いたいけど差し引きいまのでチャラにするね……」

「フフ、フ、たっぷり稼がせてもらったし、今後ともよろしく」

「やっぱりそうなるか……」


 蒼竜は立ち上がりそれでも笑みを浮かべる。

 それもそうだ。

 蒼竜にとって私は未だ神使なのだ。


 私が小さな神に成ったのとは別で未だ蒼竜の神使なのだ。

 頭の中でなんとなく理解はできている。

 ただこうもちゃんと蒼竜が姿勢で表してくるとなんか腹立つ……がまあ暴力ばかり振るっていても仕方ない。


 それに蒼竜の神使でマージンを持っていかれるのは悪いことばかりではない。

 まず蒼竜の神力に関するにおいがつくということ。

 私は鼻が利くのでにおいと表現するがニンゲンとかなら見えるとか言うのだろうか。


 私自身は単なる小さな神で1も2も知らないし蒼竜も教える気はまるでない。

 今までの感覚でいてうっかり大神やらそれ以上をキレさせると割と洒落にならない損害を被る可能性がある。

 だが蒼竜とのつながりが相手からわずかにでも見えれば『うっかり領地を踏んできたので殺す』とかの被害は受けにくくなるだろう。


 たとえ何かあっても最悪クレームはすべて蒼竜にぶん投げられる。

 神同士の暗黙の了解はどう考えても今までのことからして面倒でしかない。

 今までは利用されるがままだったが今後は竜の威を借る狼でいよう。


 差し出された手に私も腕を伸ばす。

 そして。


「……よろしく!」

「うん、よろしく! ……ねえ、力強くないか……な……?」

「いやあ……そんなことはないよ……!」


 めちゃくちゃ腕に力込めてきている……!

 互いに(エフェクト)すらないし戦いのようなパワーはないが……

 交わされる握手とは言い難い力が込められあっていた。


 



 片付けが終わりやっとの時間で帰宅。

 帰宅した時間は真っ昼間で誰もいない。

 久々の我が家な気がする。


 気がするだけで実時間は短いのだが……

 疲れた。

 小神になろうが肉体を変えられるようになろうと誰がなんと言おうと疲れたよ。


 奥の部屋に行きいつものように身綺麗にする。

 そしてケンハリマ姿でポトンとわらベッドへ。

 ああ〜! この瞬間が至福の時だ!


 明日には派手なニンゲンと魔物……正確にはどっちも同じらしいが表向きは別々の存在が入り混じった帝都奪還成功祭りの計画をするらしい。

 そして私達がそのとき担がれるのはほぼ確定で……

 疲れるけど悪い事じゃないからちゃんとやらないとと思うと今がやはり至福。


 まあ……1番たいへんなのは勇者であるグレンくんだろうしね!

 とりあえずいまだけは。

 おやすみー……






 ホルヴィロスたちはまさに三日三晩の奮闘の後手術室を後にした。

 ホルヴィロスは明るい面持ちながら周りの者達は医者を含め暗い顔。

 皇帝は目覚めるまで隔離され……


 そして今。

 皇帝が隔離部屋から出てくるとのこととで私含め数名が部屋の前で待機していた。

 本当は色々と極秘なのだがホルヴィロスは明らかに疲れながら私に伝えてきたので行かないってわけにもいかない。


 それに私も気になるのだ。

 ホルヴィロスが果たして魔法と医学を携えて人体をどこまで治せてしまうのかが。

 皇帝自体直接助けた身としては生きてほしいしね。


 扉が開かれ付添のホルヴィロスが先導する。

 そのまま後ろへ回り込むと……

 そこには簡易的な医療行為を行いやすい服を着ている皇帝がいた。


 それは前よりずっと血行が良くなり私達のことをまっすぐ見られる姿があった。

 まだ手押しの車椅子に乗っていて健康からはほど遠いのだろうが少し笑みを作る余裕が見られるだけだいぶ違う。


「すごい……」「これは……」「おお……」


 みんな嘆息の声が漏れたもののすぐに静かになる。

 皇帝の言葉を待っているのだ。

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