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千六十八生目 赤石

 やっと戦いは終わった。

 私達は3司獣ナェウガィから帝都平原に降り立った。

 状況を把握した本部は勝利を兵たちに告げる。


 しばらくは割れんばかりの歓声が響いた。

 ……あまりにもこじれそうなことは隠されながら。







「こいつが弱いのは分かったが……本当に信用は出来るのか? 魔王なんだろ?」

「魔王だけれど、まあ、私も警戒はしている。だから……」

[自分は説明責任を果たそう。今回自分がどうなったほうが良いのか、未だ悩んでいるのだ]

「……喋って言ってくんねえかな」

[済まない、見ての通り声帯がないのだ]


 ジャグナー含むあらゆるガチガチの警備態勢かつ魔王に過剰な拘束をして運ぶ。

 スキルやら魔法やらを封じた状態でのおえらいさんが集まるテントで説明……

 正直魔王相手にするには本来としてはあまりに力不足だよねとは思うがないよりマシか。






 私達戦闘組はそこで別れ向かった先はというと。

 誘導された先に移動したら植物たちが生い茂りまるで環境が違う。

 というより太陽光すら防がれていてまさに別世界。


 ここは完全に1柱の神が支配している。

 ツタや木の合間から垣間見えるのは……兵たち。

 ニンゲンの兵が特にまるで保護された膜のような空間のなかにひとりずつ大量に眠っている。


 彼らは死んでいるわけではない。

 治されているのだろう。

 ……治されているよね?


「何となく入院しているようにも見える……」

「……あれが?」

「まあ、私も……」


 そして奥のテントにたどり着く。

 ここが必要なのだ。

 近づいたらテントの奥からそれが飛び出してきた!


「ローズー!!」

「うわっ!? イテッ!?」


 白い塊が私に突撃してきた。

 今のケンハリマ風の姿だと分神と言えど当然相手の方が大きい。

 あっという間に白さに埋もれさせられた。


「良かったー!! 生きていたね!!」

「な、なんとかね……」

「他のみんなもいらっしゃい、ここにくるというとことは……」


 何回も死んだり生き返ったりしたイタ吉たち。

 明らかに傷以上に体調が悪そうなダカシ。

 進化を解いて全身脱力しているインカ。


 もう寝そうなグレンくん。

 そして私。

 誰もがズタボロだ。


 ある程度は治したが根本治療ではない。

 筋肉は悲鳴を上げているし骨は苦しみにうめいている。

 戦闘中の興奮も無ければもはやそこには多大な疲労感だけだ。


「はい、お疲れ様! 詳しい話は後で聞くとして、今は順に並んで並んで!」


 テントの中に誘導され中に入る。

 そこは驚くほどの静かだった。

 戦争で大荒れする病棟とはまるで逆のイメージ。


 そこは清浄な地だった。

 消毒と血のにおいに溢れた場はなくそして患者もいない。

 正確に言えば患者はさっき通った時に見たが。


「……なあ、今更だけれどアンタ、治療とかちゃんと出来るのか? ぶっちゃけ毒で苦しめてくるイメージしかないんだけどよ」

「そこは安心して! 魔法にも科学にも頼り切らないから分神の身でも相当な医学力があると自負するよ!」

「だが、いくらなんでも色んな種類の生物はやりづらいんじゃないか……? かなりひとりひとり違うだろ」


 イタ吉やダカシの不安は当然だろう。

 私も本来は難しいと思う。

 そもそもなんでニンゲンだって治療できているのか。


「うーん、まあそういうみたいなのが能力があるけれど……結構こう見えて実践経験が豊富なんだよ? 大丈夫! 植物に比べれば哺乳類って断定できる範囲なだけで楽に調べて調整できるから!」

「哺乳類とか難しいと言葉知っているなあ……」

「とりあえずみんなから治してあげて、私はこの中では1番元気だし」

「……ローズオーラがそう言うならそうしちゃう!」


 早速イタ吉たちから診始めだした。

 私は……とりあえずこの体だ。

 自身がトランスした体をじっくりと観察しよう。


 私はとりあえず前になれた姿にプラスして髪の毛のようなたてがみが長く生えている。

 これでニンゲン世界に紛れ込む時にウィッグを無しで済む。

 気をつけないと額の目はバレバレなのでそこには気をつけないと。

 根本は色が濃くオレンジだが大枠では黄色色。


 あとでちゃんと結ったりしよう。

 そしてこの姿の変化は……

 胸の赤い石……神格。


 究極的に言ってしまえばコレが私(・・・・)だから進化やスキルを通さない姿の自由変化を成立している。

 外見の違いは前とは大きく変わらない生物ながら私の中身はまるで違う。

 私自身ですらこの中に詰まっているのが肉と内臓と血だとは断言できない……


 この異質なものにごっそり入れ替えられて感じ……

 そして私自身の置所がこの石となっている感覚……

 解らないのに分かるから恐ろしさもある。


 ……もし私があらゆる箇所吹き飛んでも石があれば生きていると言えそうだ。

 もちろん生命力が損失するからそれは死ぬんだけれど。

 今の私は頭にも腹にも実質的な即死の急所がない。

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