千五十九生目 引力
空魔法"ミラービジョン"が思ったよりも決まった!
他の時あっさり分身を見破られたりもしていたが……
相手によってはかなり効果大きいらしい。
何より今は前と違って数も質も違う。
重ねがけする価値があるかもしれない。
ただそろそろ敵も……うん?
「なんだ、この光は!?」
インカの尾が敵にクリーンヒットした直後敵が大きく輝き出す。
そしてその光は身体のあちこちに集まって行き……
爆発ではなさそうだが敵は身体を縮こませる。
「「みんな、何が来るかわからないから離れ――」」
――私と私の分身が一斉に警告を出した途端。
敵は身体を思いっきり広げ。
集まっていった敵の体中にある光の点から。
大量の燃える赤のような光線が射出された!?
しかもそれは継続して敵が身体の向きを変えるたびにあちこちに飛んでいく。
「なっ、グワッ!?」
「ちっ!」
「ヤバッ!」「ゲッ!」「熱う!?」
「ひゃあ!?」
「分身を一斉に……わあッ!?」
私の分身たちが一斉に攻撃をすり抜けていれば……
当然その中に紛れ込む私達も当たる!
大量の本数とランダム的な射撃ッ……!
私自身も鎧で塞いだ身体の前側を斬るように焼かれる!
それと同時に"ミラービジョン"たちが消えた……!
うぐぐ……やっぱり重ねがけしている場合じゃなかった!
食らってしまって消えてしまったのはしょうがない。
戦法を変えねば。
敵は私達が一掃できたと見るやいなや短距離ワープして両腕を上げエネルギーを……現在パワーが7割近い!
「明らかにマズくないか!?」
「マズイよ! イタ吉頼んだ!」
「頼まれた!」
1体は小イタ吉が焼かれて下がってもらうしかない火傷を負っているがほか2体は大丈夫。
みんな焼かれて……というか私も正直生命力も痛みも半端じゃないので無事な彼らにいってもらうしかない。
とにかく生命力回復だ回復! 光魔法"ヒーリング"全回し!
私自身はいまのを含めて4割ほど減っているがみんなはより食らっているだろう。
小イタ吉1体は生きているのが必死という風に見える。
正直鎧があまり役に立たなかった。
私達の命を直接奪ってくるような……そんな光線だ。
あとやはり気のせいじゃなくさっきからの攻撃全て回復遅延効果がついている。
戦争魔法とかで用いられるやつだ。
ただ私は神の力として振る舞っているせいか回復遅延を上書きして回復をする! そのせいで気づくのが遅れたんだけれどね……
逆に言えばみんなの回復はアテにできない。自己回復を含めて。
イタ吉たちはためているところへ高速でかけてまた纏う光を置き去りにするような高速ジャンプ!
敵へと飛びつくように跳びそのまま尾刃イタ吉は横回転しながら何連撃も入れる。
小イタ吉も負けじと巨大化させた爪の光で乱れ引っかき。
敵もすぐに体制を変化させチャージをやめ腕をイタ吉たちに縦横無尽に振るう!
6本もある上どれも目にも留まらぬ速度で動くからこの時しのぎながら再接近して動けるイタ吉たちはすごいと思う。
回復の感覚は……あと少しでまともに戦える。
イタ吉2匹は壁に足をつきそのまま超高速で駆ける!
纏う光の軌跡がキレイに残り角がはとんどない外周を駆けつつ敵の腕猛撃を避ける。
そして猛撃のあとにできるわずかなスキを狙って飛びつき尾刃や爪で切り裂いていた!
連続攻撃を喰らえばイタ吉たちはひとたまりもない。
音速以上出すほどに駆け抜け一気に敵の攻撃圏内から離脱しつつ攻撃。
敵も飛びつつ速度についてくるが攻撃中はどうしても敵は速度が緩むからそこを狙って抜けるようだ。
よし回復だいたい終わり。
インカが今度は前に出る。
イタ吉は明らかに傷ついているしなるべく早く下げたいが……
「そう……こういう時は落ち着いて……修行でやったとおりに……」
こんな高速戦闘に割り込む修行をしたことがあるのか。
それでもインカは至って落ち着き冷静に逆回転側に身体の向きを揃え壁に沿い……
駆け出すと共に大きく跳ぶ!
槍を頭上から巨大に出して……
振り下ろした!
「そこだーっ!!」
高速移動している敵の背後に強烈な当たり!
そのまま地面へと打ちとばす。
イタ吉たちが急いで下がりインカは着地。
ダカシやグレンくんそれに私も落ちた敵へと急速接近をしかける!
「……なんだ!?」
今度は敵が片側だけ腕をあげだした……!?
急速に大きくおぞましいほどの力が敵の頭上に集まっていく!
銀河の球だろうが大きさも輝きも段違い!
それが腕振りと共に素早く落ちてきた!
「「うわわぁーっ!?」」
単に大きいだけならともかく凄まじい引力を持っている。!
全力で引力から逃れ……
けれど大爆発が起きた!




