千五十四生目 無敵
私のトランスと共に私の基礎能力も当然のように向上していた。
普段の感じで火魔法"フレイムボール"の"二重詠唱"で放ったらマッハいくつかで飛んでいった。
うわコントロールちゃんとしないと!
その速さにもかかわらず敵に命中した瞬間火の魔力がほとばしる。
瞬間的に火力が高熱として場を包み5連の2倍でその場を溶かし燃やす。
前までは青白い炎で焼け焦がす感じだったのに今の赤紫な炎は何もかも地面ごと溶かしてしまうかのような……
こんなのとりあえずで使う規模じゃないぞ!
だが……その熱と煙で出来た壁が破られる。
攻撃予測で読めたが構えが見えなくて遅れた!
「ウグッ!」
銀河でも閉じ込めたかのような黒い輝くエネルギー弾が私の横腹に当たる。
それでも砕けずえぐりこむようなパワー!
重い……!
針の鎧化で致命打は避けたが球は私を跳ね飛ばした!
すぐに空中受け身をとってそのまま浮く。
いった……! イタ吉たちと共に"ヒーリング"で治しておこう。
敵は平然とその場にたっていた。
手応えはあったからまるで効いていないわけではないが……やはり生物のように痛覚等を期待するのは間違いか。
平然とお返ししてくるとは。
全ての破壊者……敵はあの"天地消ゆ"という天空に溜めているエネルギーを消費する大技さえ決まれば私達をまるごと破壊できる。
さすがに一方的に攻撃されつづければ死なないにせよ妨害されると踏んだのだろう。
反撃は意識しておかないと。
「大丈夫か妹!」
「なんとか! でも気をつけて、あれメチャクチャ重い!」
「どれをとっても規格外みたいだな!」
再度両腕を上げたところにインカが突撃!
まるで全身を光に変えたかのように強力そうな具現化した形を持つ。
あの威圧や光の姿……まるで父のようだ。
衝突と同時に敵は6本腕で殴り衝突!
激しい光で火花が散り……
「戦いは1対1ではないんでな」
――いつの間にか接近していたダカシが刃を振るう。
まるでハサミのように2つの剣を上下から挟み断つ。
敵の右腕が大きく切り裂かれた!
確かな傷跡を残すもののそれで落ちるほどヤワではない。
しかしわずかに力が揺れた。
インカが力勝ちしスライドしつつ槍のように斬り突く。
空中に吹き飛ばされた全ての破壊者はそのまま滞空。
ダカシが逃さないよう跳びかかった。
もはや跳躍が空をかけるかのような勢い。
空中で互いに衝突しダカシは武技を使っているのか相手を斬るたびに浮く。
斬って殴られ着地してすぐに跳んでを繰り返し激しい空中戦。
ここに加わるには……
「そこだぁ!」
グレンくんがそこへ飛びついて勇者の剣を振るう。
見えない刀身は伸びて敵を真正面から斬り伏せる!
空中から叩き落されて私とインカそれにイタ吉たちが追撃へと向かう。
身体はそこまで巨大じゃないから囲めて3者。
互いの攻撃がかち合わないように私がイバラを連続で振るいインカの突撃に合わせて力をタメて。
相手の拳とインカの頭から変化させた槍がかち合えば大振りでがら空きの身体に叩き込む。
それで崩れたところにインカの槍が押し込み吹き飛ばすのではなくその場の地面に叩きつける。
これで更に崩れたところをイタ吉たちが滅多斬りした!
当然敵は何も気にしないように体制を立て直して回転蹴り込みしてくる……攻撃予兆が見えたため"同調化"で思考共有し回避。
「おまけだ!」
……と全員避けたと見せかけ小イタ吉2匹が飛び去るように爪で斬り裂く!
攻撃誘導でスキが多少はある回転蹴りを回避しカウンター気味に攻撃したらしい。
胴体は爪により大きく裂かれ……
ついには大きく身体の作りが崩れダウンした!
足が半分なくなりゲル状と化して倒れないように腕で支えている。
色もやや褪せて明らかに弱っている。
(いまだ! 行くぞ!)
「ここは私が!」
ドライの掛け声通りチャンス。
一気に接近してスキル選択。
イバラで相手を"縛り付け"だ。
這わす感触はなんだか心がゾワゾワする。
単にあまりに生体的なのに頑丈というだけではない。
異常な嫌悪感がある。
けれどやるのは……"無敵"!
私が直接触れた状態でスキルを送り込む!
この能力はつながりの力……
「ラキョウ! それに魔王! 全てを見失ってこんな風になるんじゃなく、せめて自分の目的を思い出すんだ!」
「グワァ、ギャアアアアァ!!!」
敵の全身が震え声のような大きな音があたりに響く。
まるで苦しむかのような叫び!
これは確実にコイツが嫌がっている!
「もっと……ウワッ!」
危険な動きの予知!
イバラを自切しつつ高速で離れる。
直後に敵の姿が爆発した!




