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千三十七生目 魔王

 グレンくんが怨霊ラキョウに斬りかかる!


「さまよえる魂よ! 魔王と共に眠りにつけ!」

「勇者アァァーー!!」


 怨霊ラキョウは震えるような音圧で邪魔をされた根源の名を呼ぶ。

 グレンくんはそれに応えるように見えない勇者の剣を構え大きく大上段から振り下ろす。

 敵もいきなり空間の裂け目を作り出しそこから大きな刃を生み出すことで受け止める。


 互いの見えない攻撃同士が弾け合いわずかにその正体を火花で照らしていく。

 わずかに輝く剣身も敵のノコギリ状な刃が見える。

 ドリルとかじゃない普段瞬時に消えていた刃はああなっていたのか。


 回転するノコギリ刃とグレンくんの勇者の剣が激しく(エフェクト)の火花を飛ばし対抗!

 そしてグレンくんの剣が形代わり光の奔流のようになっているのか敵の刃を力で押し込んでいく。


「ここだぁ!!」


 そして瞬時に刃が消失する。

 当然敵の刃は空振りし……

 グレンくんは完全に振り下ろしてから突きこむ。


 見た目は空振っただけだが敵の粘体らしきところに穴があく。

 瞬時に大きくした刃により貫かれたのだ。

 当然追撃されるのでグレン君はすぐに跳び退り私達と足並みを揃える。


「……おかしい」

「ガアアアァァ!! 帰ルゥゥタメ死ネェ!!」


 空いた穴はすぐに塞がり怨念ラキョウは吠える。

 グレンくんは手応えの奇妙さを確かめるように自身の手を見ていた。


「なあ、なんなんだろうな、あの変ーな感じ……おっと!」

「手応えがあるような、ないような……わからない」

「やっぱりみんなも同じことを……」


 また空間が避けて突然大鉈が飛び出てくる!

 私はこういうの避けるの苦手なんだって!

 鎧をうまく展開しつつ胸部装甲で受けつつ飛んで下がる。


「ウクッ!」

「まだいけるか?」

「そこは……大丈夫!」


 ダカシが横目で私を見つつ安全を認めると敵に向き直る。

 多少血が出るがこの程度なら問題ない。

 魔王外側に比べればだいぶヌルい……そう意識混濁しているとはいえぬるすぎる。


 明らかにまだ出していない力がある。

 それの警戒を怠る瞬間が怖い。

 気を引き締めちゃんとこの傷も光魔法"ヒーリング"で治しておかないと……


「ア、ガ、グガ、ガガガ! アガガガガ!!」

「な、なんだ……?」

「ラキョウめ、何で笑っている……!」


 怨念ラキョウが不気味なうめき笑いを上げる。

 先程まで何もかもに苦しんでいた様子だったのにだ。

 さすがにこれは何かあるとダカシすら踏み込みをためらう。


「グヌヒヒ……! 貴様等ハ……絶対二……勝テナイ……文字通リ……次元違イヲ……教エテヤル!! グ、ウオオオアアアァ!!」


 怨念ラキョウは再び苦しむような声を上げると大きく繋がっている3つの箇所から莫大なエネルギーを吸い上げる。

 当然みんなただ見過ごすわけがない。


 目配せをしたのちに一気に突撃。

 私は危険に備え距離をとりつつもイバラと鞭剣ゼロエネミーに追撃を向かわせる。

 あの怪しい動脈を斬り裂く!


「ガッ! ハァー!!」

「「うわあっ!?」」


 だが刃はギリギリ届く前に凄まじい衝撃波!

 私を除く全員が吹き飛び私もゼロエネミーとイバラが跳ねられる。

 なんというパワー……!


「フ、フハハ、我コソ、我コソ魔王……! 地球ヘ帰ル者ナリ……!」

「な、なんだ……? いてて」

「魔王なのか、ラキョウなのか……?」

「もしかして最悪な形で意識が混ざっていないか……?」


 魔王とラキョウの意識が混ざったまま定まった……?

 さらにエネルギーを吸い上げたためかラキョウ怨念の力がおぞましいほどに高まっている!

 外側の魔王と対峙したときのような強大過ぎる力を感じる……!


 私以外転がっていたが再度立ち上がる。

 生命力が削られたわけではなさそう。

 そして粘液は姿かたちを変えてゆく。


 粘液は美しく輝く肉体を持ちその座椅子に座った。


「我こそ魔王ラキョウ!! 神をも超えし王である!!」

「アイツ……!」


 それはニンゲンのように2足歩行のような形姿。

 しかし全身はエネルギーの塊としか言えないような光沢を持ち長い尾を身に纏わせ堂々と座っていた。

 意識混濁が好機と見ていたのに逆にピンチになっていないか!? "観察"!


[魔王ラキョウ Lv.?]

[魔王ラキョウ 魔王とラキョウの意思が最悪の融合を果たし新たな意識を作り出した。これは敵を滅し地球に帰ることのみを考える生命体だ]


 ……うん! これはすごく面倒なことになっているぞ!


「小手調べは終わりだ……全てを終わらせる!」

「こっちのセリフだ、ラキョウ……いや、魔王!」


 グレンくんが剣を構え魔王ラキョウは全身から激しい威圧を放つ。

 これは……思ったよりマズイ状況なのかもしれない。

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