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九十九生目 三目

「え、そんなことが!?」


 私としてはそんな記憶がまったく無くてうおー凄い! 快感! と思ってたら終わったんだけどなあ。

 化物みたいになったから鎮静剤かけられたら今度は見知らぬ幼い少女キャラで私が話しかけて来たとな?

 そんなのしらないよー少なくとも私ではないよー。

 弁明はしておいた。


 何なのその、一難去ってまた一難みたいなの。

 うーん、大丈夫かな私。

 で、だ。


 トランス大成功!

 誰がなんと言おうと大成功。

 まず身体の感覚としてはグッとくる。


 "進化"で一時的な強化での変化時は異常な高揚感や万能感に包まれた。

 ちょっと危ないので自制心で抑えてちょうど良かったのだが。

 "トランス"で恒常的な姿の変化をとげた今は意外と落ち着いている。


 元気ハツラツで活力が満ちているとは思えるが異常な興奮や過剰な思考は無い。

 ドーピングみたいなものじゃなくて基準そのものが大きく上がったからだろう。

 楽しい。


 肉体の変化。

 実は感触はあまり変わってない。

 それもそのはず見た目があまり変わっていない。


 色も同じだけれど進化時の姿みたいな薔薇のツタのような黄色い模様が横腹に出た。

 何か模様が出るのはホエハリ族のおとなの証だ。

 それと針が無くなり背が軽い。


 しかしこれは通常時の姿。

 私がグッと力を込めればなんと背中中どころか耳の先尾の先まで背面なら全て針が出せる。

 スキルをみると"針操作"が加わっていた。

 進化時しか使えなかったスキルだ。


 水面で確認すると目の色は赤っぽくなっていた。

 しかし特徴的な変化部分は額か。

 ぐっと閉じ、ぱっも開いて。

 うん本物の目だ。


 第三の目。

 これは元の目のエメラルドグリーンになっている。

 縦開きじゃなくて横開き。

 なんだか奇妙な気分。


 別に見え方には大差ない。

 ただこれはスキルを行使するのに色々と役立つようだ。

 トランス時に自動的にいくつかスキルを手に入れている。


 スキル"鷹目"はなんと一部の視界を外へ飛ばせる。

 三つ目部分の視界を変化させるわけだ。

 私の脳の処理が変わっているらしく同時にまるで違う映像を見ても混乱しない。

 目の前でマルチモニターして同時に2つのカメラ映像見ている感じだね。


 どこでも見られる視界は私を背後から映す事も可能。

 ある程度なら上空も見られるし正面からなら隠れる部分も見られる。

 遠くも少しならばズームインしてみれるよ!


 物理的に塞がれていたり魔力を纏ったものなどの向こうへ視界を飛ばしたりは出来ない。

 そんな感じの例外はいくつかあって見られないもののレベルが低くとも便利スキルだ。

 さらにこのスキルは異常に行動力消費が少ない。

 常時発動しておこう。


 さらにこのスキルはもう一つの目スキルと組み合わせることでとても便利になる。

 それは"止眼"。

 時でも止めそうな名前だけれど少し違う。


 ホエハリ族は元々早く動くものほどよく見えていたがこれはその究極版。

 数秒間だけ時が止まったかのように周囲が異常にゆっくりに見える。

 ちなみに速度はある程度調整可能な模様。


 ただこの時は私の体感時間が引き伸ばされまくっているだけであって私が超高速で動けたりはしない。

 思考と、思考を使うスキルの一部。

 それに"鷹目"が使える。


 ゆっくりに見える視界の中を"鷹目"でよく確認して危険の避け方を理解するのに役立ちそう。

 ちなみに"止眼"を使うと行動力はそこまで使わないが負荷が大きいのか脳がオーバーヒートする。

 "火魔法"クールダウンを使わないと脳が焼けるように痛む。

 要レベル上げ。


 一旦確認作業を止めて九尾たちと共に身体チェック。

 詳しくみてもらったが健康体そのものに復活した。

 医者にも太鼓判押されてやっと一安心。


 さらには私が覚えていない暴走とやらも原因が分かった。

 トランス時に謎のキメラみたいな姿になったのは私の不調がメイン。

 もちろん無理やり新しいトランス先になったというのもある。


 その不安定要素に加えて私が実はかなり不調だったらしい。

 紫色の薬は強力だが『もう元気になったんじゃ?』と錯覚させるほどの力を持つ。

 念のため一晩あけたけれどまだ病状が安定期に戻っていなかったのに私が紫色の薬パワーで大丈夫だと勘違いしていたようだ。

 クスリ、危険。


「とりあえずもう大丈夫なのですか?」

「ああ、そうみたいじゃな。一時期おかしくなったのが嘘のようじゃ。

 これならもう解剖しても問題なかろう」


 それは問題あります。

 九尾の冗談とも冗談じゃないともとれない発言は受け流す。

 イタ吉は面白がって額の目の前を前足で揺らしている。


「おーこれちゃんと見えてるのか! 面白い変化だなー」

「見えてるよー」


 両目瞑ってもこの目があるから見えるのは……便利なのかな?

 あまりその点は大きいメリットやデメリットはなさそう。

 アヅキとユウレンはやっと終わったという感じで別室でお休み中。

 あとでお礼言わないとなー。


 (……)


 うん?

 声が聞こえるような?


(……し……わたし……私!)


 え、何、"私"!?

 どうして、もう治ったから私と"私"は側面の1つに治ったハズ。


(私、それは"私"にもよくわからない。とりあえずあれだ。

 ファミチキください)


 こいつ、直接脳内に……?

 なんでか知らないけど前世の知識が鋭利に引っかかってのこのやり取り。

 前世のネタを触れるやつなんて間違いなくこの世界では私ぐらいしかいない。


 私は"私"と乖離してもやっぱり自分以上ではないんだなぁ。

 ちょっと安心した。

 それにしても思考と"私"の声が混ざりなんともややこしい。


『あー、あー、まあこのぐらい声高くしたら考えと混ざらないんじゃないかな』


 テンションちょい高い私みたいになった。

 まあ"私"はそれで良いとして、なんで普通に会話が出来るようになってしまったんだろう。

 考えられるのは……


(かなり乖離が進んでいてギリギリだったせいで別れた状態で安定した……のかな)


 そんな感じかなぁ。

 うーんまあ安定しているのならこれはこれとして大丈夫なのかな……?


(まあ安心して。普段は引っ込んでるから。別に"私"がいても支障はないはずだよ)


 あらそう?

 なんか悪いね。


(めんどくさいからね、普段は殺し合いしないし)


 理由がひどかった……

 まあそれよりも、だよね。


(うん、私と"私"以外のわたし……記憶は無いけれど一瞬こどもみたいなのが現れたって、言っていたね)


 九尾たちから聞いたけれどなんなのだろう。

 さすがに記憶もなく子どもっぽい私がいるというのはちょっと怖いのだけれど。


(私と"私"はほぼ同じ側面だったけれど認識出来ない別の何かがいるとすると……厄介かもね。ちょっと裏で探ってくる)


 え? そんなことも出来るんだ。

 ……あれ?

 行っちゃったか。


「ローズ、何さっきからコロコロ表情変えてるんだ?」

「え、そう?」


 イタ吉に見られてた……





 やっとひとり落ち着けるようになった。

 大事をとって今日は私はゴロゴロしていていいらしい。

 わーいモフモフな布の上で寝られるぞ!


 改めて私を"観察"!


[ケンハリマLv.6]

[ケンハリマ ホエハリが遥か昔の過去に魔の力を多く秘めていた頃の姿とされ一部に土着信仰がある。時代の移ろいと共に不必要な機能が淘汰されホエハリへとなった]


 これ、いわゆる先祖返りというやつかな?

 豚が猪にいきなりなるくらいのびっくり変化。

 ついでにレベルも減っている。

 いや正確には増えているのかな。


 ログをみる限り私はトランスした時に一度レベルが1になっていた。

 今までレベルが増える事が無くくすぶっていた経験値が一気にレベルに変わったらしい。

 ムダにならずにすんでよかった!

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