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千三十五生目 怨念

 タイムリミットは魔王が地上に地獄を広げきって世界の融合を果たし大気圏突破してしまうまで。

 いくらなんでもここまで大規模な魔術展開はどうなるかわからないが……

 小規模なものと理屈は同じはずだ。


 簡単に言えば展開しきるまではゆらぎの中にある。

 そして展開しきってしまえ世界の現象として確定してしまう。

 ゆらぎ状態なら簡単にキャンセルが効くが確定したあとは逆に消しにくい。


 完全に広がる前に消せれれば……なんとかなるはず!


「今どこらへんだ?」

「感覚が近い……おそらくそろそろ魔王の中心部に到達するよ!」

「ようやくお目見えか……」


 イタ吉やグレンくんそれにダカシ。

 勇者の力をまとい警戒しつつ敵を斬り裂き……

 狭い通路を抜けきる。


 いくつかの小部屋や通路を抜けてきたがなんというか生体だがまるで生体ではないように思えた。

 生体としては不要なつくりが明らかに多いのだ。

 これが神というものか。


 あと全体的に言うと無駄に快適というか……

 生体として必要であろう部分すらないほどに快適。

 大きな粘液生物やら微生物はウヨウヨして私達を排除しにかかってくるが……

 本来もっと外気と環境が違い多くしめり高温のはずなんだが。


「ローズ、なんかここ見たことないか?」

「おっと……うん?」


 小さいイタ吉が私の方に話を振って思考が戻る。

 今は目の前のことに集中だ。

 この広く薄暗い空間に既視感……あるかな?


 ただ……そうだ。

 このにおいはどこかで。


「つ……強い……魔王反応が……このすぐ近くに!」

「なんだか凶悪なにおいがするな……力に取り憑かれたかのようなにおいだ」


 グレンくんくらがりの奥を指しダカシはその方を見てギュッと目を細める。

 ダカシのは例えだろうが……

 確かに異質な音ににおいは奥からする。


 光神術"ライト"を向こうへと向かわせ全体を照らすように光量をあげて……


 明るくなるにつれその空間は確かに……どこかで見たものそのものだった。

 広い生体の空間。

 壁面には血管が走っておりその先につながる1つのもの。

 椅子だ。


 見たことあるなんてものじゃない。

 さっきまで見た破壊できずにいたあの魔王の椅子。

 こんなところに……!


 そしてその上に乗る不確かな形状存在。

 周囲の壁や椅子に粘液や糸みたいなものにひっついて全身が覆われたもの。

 邪悪が張り付いてしまってなにかが出られないようなそんなもの。


「なんだ……こいつ!」

「そいつだよ……! そいつから1番強い魔王の気配が!」

「なんなんだ……内臓を叩けば良いんじゃなかったのか!?」


 全員異様な存在に一気に身を固める。

 明らかに言われずともわかる。

 異常な存在感がそれから放たれていた。


 "観察"……!


[魔王 怨念の化身 Lv.?? 他情報:??]

[魔王 怨念の化身

 死霊術邪法により魔王自身の身に怨念体が乗り移っている状態。個体名はラキョウ]


「ら、ラキョウなの!?」


 魔王本体などの気になる情報はあるものの……

 あれはラキョウ自身なのか!?

 ほぼ原型などないというかまさに怨念そのもののようだが……


「オ……俺……俺ハ……自分僕私俺……!」


 私の言葉に怨念が唸るように反応する。

 意識が……!


「ラキョウ……! そんな形になってまでまだ生きていやがったのか!」

「いや、多分あれは死霊術師の無理やりこの世にしがみついているだけの姿……けど気をつけて、その分ニンゲンのときよりなにをしでかすかわからない!」

「グ……ガ……邪魔ヲ……帰ル邪魔ヲシオッテ……!」

「ラキョウ! 諦めろ、自分の魂だけ向こうの世界に転生しろ!」


 ダカシが歯をむき出しに吠え悪魔の紋様を全身に走らせる。

 グレンくんも勇者の剣を構え周りと目配せ。

 全員で近くまで走る。


「そんな身体があるのかもわからない姿で帰ったところで何になるっていうんだ!」

「故郷デ死ヌコトスラ許サレヌ、ソンナ身ノ上ナドオ前等ニハ理解……理解デキマイィー!!」


 インカが真っ先に駆け寄って距離を活かしつつ身体からいくつもの槍を伸ばす。

 それが怨念に当たる……前に強く弾かれる!


「クッ!」

「わかる気も、わかりたい気も無いな! お前は家族を、村のみんなを、多くの命をいたずらに扱った! 報いとしてその醜い姿のままこの地で散れ!」


 何らかの追撃を避けインカが下がりダカシがかわりに前へ出る。

 今の攻撃の正体は一体……


 ダカシはクロス状に剣を合わせ空を切るとそこから(エフェクト)の衝撃波。

 大きくラキョウの怨念を斬り裂く!

 だがやはり斬撃は空中から突如現れる斬撃に防がれ弾かれる。


 ダカシは気にせず接近。

 3連撃を叩き込んだあとにさらに2連。

 その攻撃のどれもが謎の斬撃に弾かれた。


 だが。


「1手遅かったな」

「ゴ……!?」


 さらに入れていたひざ蹴り込みは入った。

 ダカシはすぐに引き空間から追撃で飛び出る刃を避ける。

 あれが先程から防いだり攻撃してくるもの……

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