千三十二生目 侵攻
魔王に一斉攻撃中。
イタ吉たちはいつものように攻撃誘導が必要ないため３匹全員で仕掛ける。
「「そうれっ！」」
まず挨拶代わりに３匹ドロップキック。
そのまま小さい２匹は種族魔法により巨大化した爪に大きな１匹は尾の刃に光をまとわせる。
そして目にも留まらぬ早さで連続斬り裂き！
さらに大きく強く３回振り抜いた後に。
「「シンクロアターック！！」」
大きな１匹に小さな２匹が乗り強く上昇回転アッパーを繰り出す！
同時に周囲に獣爪光が発生して魔王の左頭をグルグルと削り取っていく。
また新しい武技を覚えている……イタ吉も結構変わった技を多用するよね。
グレンくんは勇者の剣ナイフ……ではなく本来ある見えない刃をしっかり構える。
「魔王相手なら……！」
グレンくんは全身に対魔王加護をみなぎらせ剣を振り払ってから一気に突撃。
そのままダッシュ速度で振り抜く。
アグレッシブに動いて飛びまわりつつクロス状に切り払ってゆき……
一瞬で上空から落ちて落下切り！
再び飛行速度を上げ自身を中心としない回転をする。
つまり……足元を中心にして円状にスピン！
ダカシのがニンゲンゴマならグレンくんのはニンゲンプロペラ。
そのまま勢いで見えない刃を魔王に激しく斬りつけた！
勇者はめちゃくちゃな動きや武技に見えるけれど成立しているのが恐ろしいなあ！
もちろん私も叩き込んでいる。
剣ゼロエネミーを鞭剣モードにし私は魔法を唱えつつイバラを伸ばす。
避けられる心配も激しい攻撃が来る心配もない。
思いっきり大上段から重く加速するイバラと鞭剣。
当然トゲアリ"連重撃"あり！
身体の振りに合わせ大きくアタック！
重くしたイバラたちと鞭剣が魔王左頭にはたきつけられ……
すぐに身体をねじりイバラを武技"猫舌打ち"に切り替える！
イバラたちが多く別れより傷つけやすいよう引っ掛けるような棘が多数。
そのイバラたちで連続引き裂き！
追撃で鞭剣ゼロエネミーの振り下ろしを１発入れてから武技"拷問払い"！
"猫舌打ち"は魔王相手でも少し防御能力を下げる。
そして"拷問払い"は能力が下がった相手に大ダメージを与える！
コンボだ！
イバラたちが変化し執拗に敵へ打ち据える！
そして……火魔法！
火は他の属性と違いたとえ相手の大きさ的にピンポイントでも熱いものは熱い！
"フレイムピラー"！ もちろん"二重詠唱"！
魔王の傷あるところにふたつの火柱があがり炙る！
これは効くだろう。
そしてその間に……
武技"龍螺旋"！ イバラ６本と鞭剣ゼロエネミーで行う！
"龍螺旋"はまず予備動作としてまるで別の意思で生きているかのよう空にのぼりうねる。
そして火柱が消えると同時に激しく襲いかかり打ち付ける！
叩きつけた瞬間に溜まっていたエネルギーが相手に付着。
衝撃により急速反応を起こし……
大爆発した！
「グガアアア……！！ 帰ル……！ 帰ル……殺ス……！」
それらの攻撃は一斉に行われてやっと怯んだ程度。
それでも怯み明確に勇者へ敵意向けた。
１番痛みを与える原因だからね。
じゃなければ私達は魔王に刃が入ることすらない。
「ウオォォォー！！」
「グレンくん！」
「うん、いまだ！」
だがここまでは狙い通り。
魔王左頭が怒り狙いを右頭からこちらへ移し……
大きく口を開けて噛みつこうとしてくる！
だがグレンくんは逃げるのとは逆に突っ込む。
噛みつき位置をズラされただけでなく……
グレンくんが勇者の剣を口内に立てる。
そして見えない刃を伸ばして。
「グウッ！？」
「今だよ！」
「他の頭がブレスを吐こうと……急ごう！」
そう。
口内に刺し立ててつっかえ棒にしたのだ。
やられたくないことトップクラスに来る技。
当然ただの武器ならへし折るだろうが相手は勇者の武器。
魔王左頭は力込めているもののまるで折れる心配はなさそう。
だがのこり２つの頭は軽く口を開き大きく吸い込みながらとてつもないエネルギーがたまるのが見える。
このブレス種類で当時も左頭をチョイスされたのだ。
「乗り込めっ！」
「「俺たちが最初だー！」」
「おい危ないぞ！」
「妹、いくぞ！」
「うん！」
「……よし！」
私が最後乗り込んだ段階でグレンくんは勇者の剣を手元に戻す。
いきなりつっかえが取れたことで勢いよく口が閉じ……
閉じる直前に全てを溶かしそうな色合いの濁流と空気ごと感電させそうな雷撃がそれぞれの口から放たれたのが見えた。
「ッ、明かり！」
当然真っ暗なためすぐに光神術"ライト"を放つ。
夜目がなくともこれで見えるはずだ。
