千二十八生目 暴走
翼を倒した。
次は弱点自体を叩く!
私もゼロエネミーを鞭剣モードで叩き込む!
ダカシも双剣を輝かせ大振りで何度も斬り付け……
たぬ吉は高いところから草ゴーレムごと弱点へプレス!
兵士たちも各々武器を低く構え全体重乗せて必死に刺す!
「「グオオオオォ!!」」
「「うぐっ!?」」「「うわっ!?」」
凄まじい咆哮と共に身体が吹き飛ぶような圧力!
咆哮で風が起きてまた吹き飛ばされてしまう!
飛んだらその先には網もあるから危ない……!
「やッ!」
イバラを伸ばし魔王の身体を掴んで……
吹き飛ばされている兵士たちに次々イバラを伸ばす!
必死に巻きつけさらに"千の茨"によって分割し次の兵士を掴む。
同時並行作業なら慣れている!
(それっ!)
(飛ばされんな!)
アインスとドライがいるからね!
"時眼"で自身に加速を適用。
多分まだ頭痛は大丈夫。
1つ1つにそれなりに時間かかろうとも全部同時に伸ばせば大丈夫!
数百いけまーす!
よいしょと!
「うぐ……! おさまった!」
「立て直すぞ!」
「みんな! 大丈夫ですかー!」
たぬ吉があちこちに飛んでいった兵たちを呼びに行っている。
私は"時眼"解除。
とげなしイバラに掴まった兵たちや掴まれずに飛んだが地力で復帰してくる兵もいる。
私はイバラを回収しつつ目の前の弱点を叩かねば!
『来るぞ、雷鳴の時により蠢く怒りがな!』
『えっ!? あ、うん、わかった!』
相変わらず何言っているかわからないグルシムから見張っていた事により動きを念話で伝えられた。
ニュアンスはなんとか伝わったが。
つまり……
「『みんな! 大暴れがくるよ!』」
言葉と念話で一斉に知らせる!
直後から全身に震えが起き……
ゆっくりと。だが大きく動きが始まる。
「出来る限り引っ付け!」
「クワァコロロ、気をつけて!」
「……パパ、少し離れよう」
「うわあ!? 光が……!?」
ドラーグが緊急離脱。
同時に尾の全体に光がまとう。
攻撃や先ほどの咆哮関係でひっついていた私達はその光の内側にいる。
普段光は身にまとったり外でぶつけることが多いからなんだか不思議な気分だ。
強いエネルギーを全身で感じるが痛みはない……
"鷹目"で少し離れた位置から見る限りどうやら大きく尾を振りかぶっているらしい。
「……来るよ!」
「来るって……うわっ」
「「ワアアァーー!?」」
大振り!
明確に攻撃として放つ大きな尾の1撃。
それを振られる間私達はジェットコースターに振り回されるようなものだ……!
「ぐあううう……!!」
「ひゃあああー!!」
「今までで……いちばん早い……!」
ダントツに早いスピードで真っ直ぐ打ち払うように動く。
魔王との比率でもかなり大きく長めなこの尾。
当然加速度は他とくらべものにならない……!
地面をエグり土を弾き飛ばし私達を乗せてグルリと回るように吹き飛ばしにかかってくる!
うぐぐぐぐ……!
吹き飛ぶ……!!
……少しの時間。
しかし体感はあまりに長く。
光が消えた時には全身こわばっていた。
「ハァ、ハァ、生きてるか!?」
「な、なんとか〜!」
「兵士のみんなは……?」
「無事……かな」
「つ、疲れが……」
「死ぬかと思った……!」
兵士含むみんなの生存を確認。
ただ兵士たちはいい加減体力の限界が見える。
ここで決めてしまいたい……
身体の方を見ると腕や脚に光をまとい攻撃し周囲の山に打ち付け破壊しているのも見える。
アレに巻き込まれるのはえげつないな……
尾もそれに合わせ動くものの先程より断然にゆったり。
「剣が折れてないものは突き刺せ!」
「拳もたたきこみます! せいやあ!」
「俺たちも……!」
「まだ、まだやらなくちゃ……家のかあちゃん守れねえんだ……!」
ダカシが先頭で剣で刺す。
たぬ吉なんから草ゴーレムの拳を叩き込み……
兵士たちも満身の力を込めて武器を刺しこんでいく。
私もイバラを丸く集め……
大きな拳を作って……叩く!
ゼロエネミーも鞭剣モードで斬る!
そしてスキあらば火魔法であぶる!
『た、大変です! 今ので地面が平らに……設置兵器とニンゲンたちがみんな吹き飛んでしまって……!』
『……わかった、ドラーグは吹き飛んだみんなの搬送をおねがい!』
『了解しました!』
今の尾払いで空から見た地上は平らにならされてしまった。
当然兵器たちも砕かれたものが多く……
ドラーグの救援が間に合ってホルヴィロスの治療ができればいいんだけれど。
だが明らかに攻撃を嫌がっている。
追い込むまであと僅かだ!




