千十七生目 猛攻
「『各自通達! 敵武器の色に注目せよ! 武器の色が抜けている間、相手は神がかかった攻撃は放てない!』」
槍から極太ビームが放たれ振るうたびにそれでは距離とか対策とかそういう問題じゃない。
だが再チャージに時間がかかるなら別。
その間こいつは単なる敵だ!
念話と声で同時に通達する。
周りの顔が一気に変わる。
どうしようもない呆気から……引き締まった戦う顔に。
『武器……そうか、あの斧の色か!』
「ならば、早速あの翼を狙う!」
『こっちは剣だね、光の剣で斬り合ってやるよ!』
「俺たちが攻撃を引き付ける!」
『ダブルナイフ……私の弓なら!』
念話と言葉が入り乱れる。
私は急いで上昇しつつインカの突撃に合わせ土魔法"クラッシュガード"の準備。
そしてそろそろ……ゼロエネミーをだす時間だ!
槍は腕なんて無いから振り回しに構え直しがいらない。
回るようにさらに勢いをつけて斜めに私達を狙い切り払ってくる!
「速い……けど!」
「遅い……!」
光を纏ってはいるものの結局は恐ろしく強力な一撃でしかない。
私は様々な武器で変幻自在に操り見えるものすら越えたそれを見てきた。
単に大きくよく見えるものが迫ってきているのなら……
「「避けられるッ!」」
身体を回転させ槍の勢いを流すようにしつつ飛ぶ。
斜めに振り下ろしと見えてから到達するまでこれだけ時間があれば……
大きく範囲が著しく大きくともいくらでも抜け出せる!
まさにひらりと。
その槍を避ける。
耳には轟音が残り目線は1つの先へ。
「いくぞー!!」
「ゼロエネミー!」
インカと私……そして兵たちが突っ込む。
それに私の腕に輪っかとしてくっついていたゼロエネミーが飛び出して形を成す。
鞭剣と化し大きく振るわれ飛び込んでいく。
みんな……あの翼に!
「「ウオオオーッ!!」」
果たして攻撃は。
どれも。
なんら防がれず刃たちは次々翼に刺さっていく。
ゼロエネミーの切り裂きは大きく翼をえぐるように傷つけインカは巧みな槍捌きで翼を全力攻撃。
兵たちは1撃大きく入れて追属した兵たちを引っ張られるように全力撤退し……
ハックからサイコキネシスでハニワ達が飛んできてハニワが炎ビームをはなっている。
あれがハックは離れていて良い理由。
避けなかったのはわかる。
なぜならおそらくそんなことはできないからだ。
なぜなら私達の攻撃はどれもこれも大きく入ったはずなのに翼を1つも汚すことに成功していない。
効いていないわけじゃない。
ただ蚊の刺すような1撃なだけだ。
そして振り払うかわりの槍がある。
急いで離れた兵たちのもとへ……
槍が大きく突きこんでくる!
「させねえぜ!」
「そこだ!」
「間に合えッ!」
その時どこからか来たイタ吉の部隊が槍の前に割り込みインカが横から尾を叩き込む。
私は急いで空魔法"ベンド"を発動させ進行方向を曲げようとする。
ひとつひとつは大した力ではなかったが……
イタ吉の気配そらしとそこからの回避が間に合い魔法と物理で槍の方向性がわずかにズレる。
組み合わさりで結果的に兵たちとはまるで違う方へと槍は導かれた!
「やった!」
「なんて重さだ……!」
「じゃあな! うまくやれよ!」
「イタ吉も無理はしないでー!」
イタ吉たちは即場から離脱する。
今のは運が良かった。
次はどうにかしなくては。
「次だ!」
「本当に効いているのか……?」
「ああ、手応えはある!」
「私もそう思う。あまりに膨大なだけで、繰り返せば魔王の弱点は潰せる……!」
6枚の大翼は私達よりもかなり大きい。
だが魔王自体はひと山ほどあるのだからずっとこちら相手の方が現実的。
魔法がもっと適した環境ならなあ……
高度が高いため得意な土魔法を発生サせる場所や火魔法の威力を底上げする酸素と燃えやすいもの。
それらが揃っていない。
……うん? 大地?
「おっらぁ!」
「ハァッ!!」
「「ウオオオー!!」」
イバラを多く伸ばし"猫舌打ち"をして細くささくれたイバラたちが大翼へ撃ち込む。
あの翼はまだ動かないから不気味だが……
ズタズタに裂いて少しでも防護能力を落とす。
もちろん光で描いたズタズタ部分は見た目純白さを維持したまま光が消えるが……
感覚はあった。しっかり能力低下が通っている。
次々とみんなの白刃のきらめきが翼の肉を裂いていく。
「下がれ下がれ!」
「カバー!」
「この、邪魔だ!」
また振り払ってきた槍を私とインカで体当たりするようにそらす。
兵は大丈夫だったが……私達の"クラッシュガード"が砕け取れる。
だからすぐかけなおす! 全体化して私達はまた土のまもりを手に入れた。
「よし! ローズ、ここは任せてもらって他の支援を!」
「わかった!」
ハックに任せ急速離脱。
まだ全然削りきれていないが……
それより前に私達が削れないように治しに行かねば。
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