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千十一生目 顕世

「「顕世回帰(けんせいかいき)!」」


 私とグルシムの声が響く。

 魔法陣の(エフェクト)は一気に収束してゆきグルシムを覆う。


「ど、どうなる!?」

「す、すごい……闇系統の気配しかなかったグルシムがこんな光系統の力を!?」

「「うわあっ!?」」


 凄まじい光がグルシムを中心に発せられる!

 爆風に似た風圧に思わずおされる……

 ぐっと頭を下げて耐える。


 そして少ししておさまり……

 そこにいたのは。


 まるで半獣半鳥の美しい存在。

 さきほどまでのアンデッドらしさはまるで消えていた。


 背中の羽根は生え揃い豊富な翼になっている。

 四肢に力みなぎり体中から生気を感じる。

 頭部から背に向けてあった鳥の骨すら生気を取り戻し豪華な鳥の飾りみたいに見える。


 前足の片側や飾り羽根なんかにもアクセサリーが施されどことなく漂う気配は気品ある神。

 生前のグルシムですと言えば騙されるが実際は生前鳥なわけで。


 あの世へのレース時にも見せなかった安定してふたつが混ざった状態。

 それがこのグルシムだ。

 瞳を開けば瞳孔が煌めく星のように十字になっていてまるで死とは遠そうだった。


「グルシム、これで成功なんだよね!?」

「太陽は未だ高く地の底からか俺を求める声がする……愛してやまない答えこそがここにある!」

「……んえ?」


 な……なんだ?

 テンション高め早口なうえパターンがまた違うぞ!?


 ホルヴィロスも固まっている。


 なんだこのキラキラした会話下手。

 さっきまで翻訳できていた私も思いっきり止まった。

 ええと……


「なあホルヴィロス、アイツ今度は何と? やたら調子が高くないか?」

「ええと――」

「みな輝きを目指せる、この姿ならば! さあ、あの輝きを打ち破り、光を掴むんだ!」


 さっきまでのダウナーな感じのグルシムが変わったとおもったらハイテンションにこっちが圧されるグルシムになった。

 凄まじく生き生きしているのは良いがさらに何を言っているのかわからなくなった。

 これは新たなグルシム翻訳思考がいる……






 ホルヴィロスとグルシムが話しつつあるきナブシウは意味の分からない会話についていけず混乱している。

 私も若干しかわからない……

 スキルでわかるのは合っている言葉であってひねくれた言葉の使い方ではない。


 この難読っぽさはグルシムを称える遺跡に書かれていた言葉たちを思い出す……

 それはともかく私達は呼ばれていた作戦伝令受けのために広場に集まった。

 私達はほぼ最後だ。


「少し早いが集まってくれたようなので話を始めよう」

「ええ、では――」


 ウォンレイ王がそう発令すればリユウ指揮官長が話を始める

 私達は説明を受けにきたわけではないので少し遅れても問題なかったのだがちょうど良かったらしい。


 作戦はざっくりいうとこうなる。


「えー、まず我々は勇者一行を出来得る限り無傷で魔王体内に送り届け、勇者たちが魔王を内側から撃破するのを大目標とします。なので――」


 グレンくんや私あたりで魔王の中へ入り(たお)す。

 シンプルながら難しいことだ。

 そして……


「――で、つまり判明している弱点を総攻撃し怯んだスキに勇者たちは左頭の口に飛び込んでもらいます。我々は――」


 呼吸器系の魔法や敵の消化液対策はいるだろうが書物によるともっとも左頭から入るのが現実的とされている。

 すべて攻撃や能力が違うためらしい。

 当時の資料や伝承そして起こったことが一通り揃っていたために答え合わせが出来ている状態だ。


 だが……それでもあのずっと大きな巨体は近づくのさえ苦労する。


「――と、しかし方法としては非常に困難。そのため、我々は蒼竜様に祈り、蒼竜様からは力を貸してくれる神を紹介してくださった。どうぞ」

「ん、呼ばれたね」

「何! 我が神ならともかく蒼竜とやらの――」

「さあさあ、その存在を示す日! 日輪の輝きをあまねく世界に広める機会だ! 天に轟く輝きを打ち破る光こそがな!」

「――おっ!? グルシム!? お、押すな! 分かった! 歩く! 何を言っているかはまったくわからん!!」


 グイグイとグルシムの大きな翼で押されナブシウはしぶしぶ歩きだす。

 多分今のはナブシウを説得しようとしていたんだよね?

 だとしたらナブシウの主を引き合いに出してその力を示してあげようみたいなこといってたのかな。


 3柱とも前に出てみんなに注目される。

 ナブシウから「ひっ」という声が聞こえたもののホルヴィロスとグルシムががっちり周りを固めている。

 アレでは逃げられないだろう。


「不思議な感じの魔物だ……」

「本当に神なのか……?」

「だが雰囲気は結構……」

「静かに。彼等に重大な支援をお願いすることになります。命を預ける相手のことをよく覚えておいてください」


 彼等を……特にグルシムを柱にした支援で行われる作戦。

 それは――

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