千九生目 虎馬
インカやハックと合流した。
夜をこえ朝になり3匹でよく眠り……
朝方に気になって私は少し出かける。
場所はアノニマルース病棟。
野戦病院と化しているところではなくアノニマルースの入院患者室だ。
面会手続きをして入室。
ここにいるのは……
「おはようダカシ。アカネちゃんは?」
「ローズか、おはよう。アカネの容態は安定している。奇跡的らしいが……悪魔に言わせれば奇跡でもなんでもなく悪魔の力で保っているようだな。今は寝ているが……起きているときは変なものを見ると言うことが多いらしい」
ダカシは魔人にトランスしより深く悪魔とつながった。
アカネに無理やり取り憑いてもらった悪魔はアカネの容態をちゃんと安定させるのに1役かっているらしい。
それならば良かった。
「変なものを? 幻覚か何か?」
「らしいな。まだ俺たちのことも認識は曖昧だろうな……だが医者によると驚くほど快方に向かっているらしい。そこは……アカネ自体のガッツが凄かったんだな」
「良かった……そうか、彼女も家族のためにら戦っていたんだものね。そりゃあちょっとやそっとじゃないか」
アカネが受けていた衝撃は相当なもののはずだ。
それでも快方に向かっているのらそれはアカネが1日も早く元気になりたいのだろう。
兄と元気に言葉をかわすために。
ダカシはアカネの顔を見つめながら手と手をあわせる。
「アカネ……本当に生きていてくれてよかった……ローズ、妹をありがとう」
「どういたしまして。アカネの姿も見れたし、私はおいとまするよ」
「ああ」
アカネの寝顔はおだやかでダカシはこれまでにない融和な顔を浮かべていた。
ダカシずっと表情が厳しかったから……
ならば私がいつまでもいるのは野暮だ。
その場をあとにして来たるべき時をまつことにした。
昼間。
ついに呼び出しがかかった。
魔王討伐のために作画を練っていた面々がついに作戦実行準備の号令を出したのだ。
「ローズ! とインカにハックも!今日はやってやろうぜ!」
「イタ吉くんおはよう〜!」
「ああ、決めよう!」
イタ吉3体分もあくびしつつ合流したし……
「ううん、なんか新しい身体で寝るのはまだ慣れないな……」
「大きなわらベッドから、人間用の敷物に変わったのもあるんじゃないか?」
前日トランスし魔人となったダカシやダンダラ王子……
「勝てるかなーどう思う?」
「勝たなくてはなりませんよ」
「まあ、俺に任せておけ!」
光の鎧が眩しいオウカに弓使いの人狼風ニンゲンゴウそして拳使いでミノタウロス風のニンゲンダン。
「主、我々も合流しました」
「ローズ様ー! 僕の本体は大きいので、クワァコロロと共に遠くで待機してますねー!」
「僕もきました! ゴーレム準備万端です!」
山伏風カラスのアヅキに今は1%だけのミニな竜ドラーグそれにたぬ吉。
「ユウレンはどうしたじゃん?」
「向こうでダウンしています。世界が救われたら起こしてほしいそうです」
ウロスさんにカムラさんも。
多くのニンゲンや魔物たちが歩み広場へと集まる。
もう敵は魔王ひとりだから警戒とか空襲警戒とかそんなんじゃないからね。
もちろんニンゲンや魔物兵は多数いるものの全員集合は無理なので私達だけでここへ集まったわけだ。
「ふわぁ……なんとか間に合った」
「そーくん! やっと来たの!? ふたりは先に行ってて」
「うん? うん」
「知り合い? わかったぁ 」
蒼竜……やっときた。
インカとハックから別れ蒼竜に合流。
あの感じ起きてからそんなにたっていないな。
相変わらず朝に弱いらしい。
「ん……? ……助手! もう呼び出しておいて! 魔王だって見たくなかったんだよ!」
「あんたの信者と助手と土地がピンチなときになにを言っているんだ」
今蒼竜は最初出会ったニンゲン姿をしている。
いつもの帽子に特徴的なツノがあるので知っていれば見分けがつく。
「はあ……そうなんだよね……特に土地がまずい。僕の本体が巻き込まれかねない」
「山だもんねぇ……それより、このあと"進化"したら神のエネルギーをもらうからね」
蒼竜の本体は帝国に埋まっている巨大山脈だ。
地獄との融合が起きればどう悪影響があるかわかったものではない。
さすがに蒼竜も自分のピンチには動くか。
「うん? 使い切ったのかい? そうか……まだ自覚が……」
「うん?」
「いや、まあ分かることさ。それは良いよ」
「あと、他の神がそーくんの信者たちに干渉していいかって。具体的には魔王を倒すために、ここにいる者たちにあれこれするんだけど」
蒼竜は少し考えるそぶりを見せる。
まあ大事なことらしいからね。
ここはアイスを――
「ああ、あの3柱の神たちか。いいよ。全然問題ないし」
「――えっ!? 何も要求をしない!?」
「それだけ魔王は嫌なんだよぉ! 察してくれよ!!」
そんなに。




