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1-12

視点は、ここから登場人物が3人以上の場面が増えますので、第3者目線で行きます。

「ナイスボール!」

世奈が大きな声でそう言った。その声に反応した夏妃は、転がってきたボールを基本通りの動作ですくいあげると、声を上げた世奈の方を向いた。

しばらく沈黙の時間が流れた。冬なので、虫の声なども聞こえず、全くの無音と言ってもいいほどだった。しかし、世奈は少し緊張していたのか、夏妃も緊張していたのであろうか、二人の息づかいだけは少しだけ聞こえていた。

「世奈…」

「夏妃…」

二人はお互いの名前を呼び合うだけで、それ以上何を言っていいか分からない様子であった。その二人の様子を谷野は静かに見守った。

 そのうち、夏妃の視線が谷野の方にも向いた。その時、夏妃は少し眼光が鋭くなったような目つきをしていた。谷野はその視線を感じ取り、ある素質を少しばかり感じ取っていた。

「どなたですか?」

「俺、た」

「谷野隼介さん、私の師匠、今日から野球を教えてもらうの」

世奈が谷野の声を遮るように話した。

「そう…コーチか、よかったね世奈」

「夏妃…よかったて…」

世奈は、夏妃の予想外の一言に不意を突かれた様子であった。

「だって、まだあきらめてないんでしょ、部活動の野球」

その言葉を聞いた世奈は大きく息を吸い込んだ。そして、谷野の方を向いた。谷野も世奈が次に何を言おうとしているのかが、うすうす分かった。谷野も世奈の決意を感じ取り、笑顔で頷いた。

「夏妃、野球しよ、夏妃をあきらめたくない」

夏妃はその一言を聞くと、右手のグローブの中に入っていたボールを左手に持ち替え、力強く握りしめた。


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