2 桜の下の女の子
「えっと……誰ですか?」
「『人に名前を聞くときは自分から名乗る』とは、テンプレートだが重要なものだと思わないか?」
独り言……じゃないよな、多分。
「中島宏太です。一年生で…別にサボってるワケじゃ……」
「では何故ここに居る?」
名乗られなかった。
俺名前言ったのに……
「資料室探してて……その…なんというか……」
さすがに高校生にもなって[迷子]というのはキツイ。
口の中でごにょごにょ言っていると、彼(か彼女かはこの距離では判別出来なかった)
は大体の事情は察したのか、
「阿呆め」
鼻で笑われた。
「ぐっ……別に、初めて来たんですから仕方ないでしょう?
ていうかあんたこそサボリなんですか?」
腹立ち紛れにそう言い、彼(?)が座っている木へ歩いた。
「さっきから偉そうに物言って……サボりだったら俺の立場を笑えないと思うんですけど!」
木の影の端ギリギリのところで立ち止まる。
そして、改めて立派な木だなぁと思った。
遠くからでも分かる木の大きさ、花の色、幹の太さ。
近くで見ると、太陽の光に当たってさらに美しく見えた。
太陽?
あれ……俺いつの間に外に出て…?
木の下に座っている人が、不意に立ち上がる気配がした。
「県立南野高等学校一年二組、マホだ。言っておくが私はサボリではない」
…マホさん?
「マホって名前ですか?」
初対面なので名前のみを言う、ということはないだろうが一応聞いてみる。
「苗字に決まっているだろう阿呆め。真っ直ぐの真に保健体育の保で真保だ」
俺フルネームで言ったんだけどな……いやそれはどうでも良い。
「あの、資料室ってどこか知ってます?あとサボりじゃないってどういう意味ですか?ていうか俺、こんな立派な桜の木知らなかったんですけど…」
「そう質問ばかりするな。全部答えてやるから急かすなよ」
…どこか中性的な雰囲気のする女子だった。
読者の皆様、お読みくださり本当にありがとうございます!
文章が拙い私ですが、精一杯頑張ります。
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