剣VS分断者
僕は許さない。父さんも、父さんを殺した組織FMSも!
そう誓い村雨はずっと闘ってきた。
第18次報告書を読むため……。
そこには父さんが追い求めた真実が有るのだから。
そうやって人を何人も殺してきた。
あの不審な男、つまり不審者もだ。
正直、辛かった。怖かった。逃げたかった。
でもここまで来た。絶対それを読んでやる!
あと……二人……。
星屑は多分、自分のことを部のみんなに話す。そう思っていた。
もう、俺一人の問題じゃない……。
信じてくれないかもだけど……。
「よくここに来たね。」
フードを被った男の"剣"が喋った。少なくとも星屑はそう感じた。
「その剣、どうなってんだ?」
単刀直入に聞いてみると、
「さぁ?」
と言い剣で切りかかって来た。
「ウォッ!?あっぶねぇな!」
剣撃をよけ、両手を合わせ、炎と氷をだした。
「ナッ…なんだよそれ!?」
村雨は素で驚いた。これまで、色んな三本鎖を見てきた。でもこんなの初めてだ…。
「クッらえぇぇえええ!」
氷を投げた。だがそれを剣で村雨は切った。
「俺の氷が…切られた!?」
そして村雨はすぐに剣を切り返す。
「ハァーア!」
炎を地面に投げ、防御の構えをする。
硬化と軟化。そういい、星屑は右の手の甲を硬くして肘を軟化させた。
「これで防げる!」
そうやって剣を弾こうとした。が………。
キィィィン、という音が鳴り、星屑の手の甲を斬った。
「斬音……」
ボトッ。
星屑の斬られた部分は地面に落ちた。
「ぐ……うぁぁぁああ!う……手が!?」
星屑が冷静じゃないこの瞬間を村雨は逃さなかった。
そのまま上から剣を振り落とした。
「終わりだ!」
「星屑!」
鍵矢が叫ぶとそれに応えるように星屑は動きだした。
「クッ……ソォォォォオオ!!」
なんと星屑は真剣白刃取りで剣撃を防いだ。そして剣を右手の斬られてない部分で弾き、左手で
「風波!」
思いっきり殴り、村雨を吹き飛ばした。
「お前の剣の秘密……わかったぜ……」
なぜ硬化しても防げなかったのか、それは
「手の甲を硬化しても防げなかったのは剣が超音波で振動を発してるからだ!」
なるほど、と鍵矢は納得した。
実は超音波で振動させ、切りやすいハサミなどが作られている。
あの剣はそれを応用し通常では斬れないような物でもすんなり斬れた。
さらに剣は喋った様に見えたんじゃない。
音を発していたんだ。
まぁ、そんなところか。
つまり、フードの男の三本鎖は......
「お前の三本鎖は音を発することだ!」
なら……左手で右手をつかんだ。
「ぐ……アアァァァアア!」
痛そうに叫び、左手を離した。
「右手が治った……………。」
村雨は驚いてそう呟いた。
治った右手と左手を合わせる。
「く……ッらええええ!」
星屑のてから電気が出る。
電気を見て、村雨は恐怖心で焦ってしまった。
「はァァァァ!」
剣で斬ろうとした、だが星屑の電撃の方が速かった。
眩しく光ると、村雨は倒れた。
「先輩……こいつは………。」
「……ちょっと考えてんだ静かにしてくれ。」
その正体を見て星屑も鍵矢も驚きを隠せなかった。
「まさか村雨が……不審者だとはな……。」
不審者のフードを外し、顔を見た二人は困惑していた。
「なぁ、星屑………。」
鍵矢が星屑に言おうとした言葉を星屑が先に言った。
「村雨、犯人じゃないですね。」
鍵矢は一瞬驚くとすぐに少し笑う感じで、
「どうやら考えてることは同じらしい。」
と返した。
じゃ犯人はどこに?そう星屑がきこうとした、そのときだった。
「キャーーー!?」
女子生徒が叫んだ。
チッ。と舌打ちし星屑は走って行った。
「う…うう…動くん…じゃ……ね…ねぇぞ。」
村雨は不審者の男を斬り殺した……はずだった。
男は死んでなかった。
人質として捕まったのは………。
星屑は校庭からシューズのまま校舎を駆け抜けた。
そして不審者を見つけた。
不審者の武器はナイフだった。
それだけならなんとかなった。問題は人質だ。
「と…………永遠……。」
永遠が人質として捕まったらしい。
捕まった永遠は<あの時>と違い、冷静だった。
あの時……つまり不良が襲ってきたときだ。
だって、だってまた、加那太が助けてくれる。
そう信じていた。
星屑は奴にある質問をした。
お前は"鳥羽山病院事件"で生まれたんだな。
少し間があったが一言、あぁ……。と答えた。
それが聞けて良かったよ。
両手を合わせ、炎と氷を出す。
そして星屑は氷を握り潰し、手を凍らせた。
「一か八か、やってやる。」
星屑は賭けに出た。