喋ったことない先輩とは話しにくい
「俺は"分ける"ことができる……何もかも。」
その力は三本鎖でも異様であった。
星屑加那太は簡単にいうと、お湯に氷を入れ0度になった水からお湯と氷に"分けられる"。
しかも、ある物とある物に分けるという条件に合えばなんでも出来る。
例えば、プラスの電気を帯びた原子とマイナスの電気を帯びた原子に分け、電気を発生させる事が出来る。
例えば、後方の空気を圧縮する代わりに前方の空気を膨張させて衝撃波を作れる。本人はそれを"風波"と呼ぶ。
第6次報告書を読み終えた村雨にあったのは自分が倒さなければいけない相手の、大きさを知った。
「警察に言えばいいんだろうか……こいつ。」
星屑は目の前にいるさっきまで自分と闘っていた男を見た。
「ハッ!」
その男が起きた。
「安心しろ、怪我はそんなひどくないから。」
星屑はそいつにいった。
「お前……なんで俺を…生かし…た?トドメをさせたはずだ。」
「俺は……………」
その男を見て星屑はいった。
「グロいのは好きじゃないんだ。」
それを聞くと、男は
「お人好…しめ………。」
なんて言ってまた気絶した。
「それぐらいの方がいいだろ…悪魔になるぐらいだったら。」
ふぅ。とため息を出すと星屑は口にした。
「FMS……か。なにかありそうだな。」
そして、自分の"原因"が関係してると悟った。
「やっと終わった……」
授業も終わり、最後にやるSTも終わり、星屑は図書室に向かっていた。
ある確信があるからだ。それは…………
「どうしたんですか?星屑さん。」
「っうわぁ!……って四宮先輩ですか。」
「ごめんなさい。おどかしてしまいましたか?」
「そういえばあまり先輩と話してないですね。」
「そういえばそうですね。」
四宮先輩はにっこりと微笑み言った。
「先輩ってどんな事調べてるんですか?」
うーん…、と少し考えると
「私はどちらかというと雑務だからね。」
と言いながら苦笑いした。
星屑はふと思い出し、聞いてみた。
「FMSって聞いたことありますか?」
それは知ってたらいいな。ぐらいの考えだ。
で、ある意味予想どうり………
「一度鍵矢さんが調べてましたよ。」
………やっぱ鍵矢か……直接聞くしか……。
「で、それは図書室に置いてあります。」
部室じゃねぇか!ますます見にくくなった…。
「で……なぜFMSを知ってるんです?」
「鍵矢先輩が言ってたんで。」
はぁ。部室か…。仕方ない、ばれないように…
とか思ってたら
「私が教えてあげましょうか?」
にっこりと微笑み言った。
星屑にはその笑みが女神の微笑みに見えた。
FMSは三角形の中に目のマークがある紋章、通称"ヤーハウェマーク"をシンボルの一つとし、世界で最も古く、最も謎に包まれた組織です。FMSの行っている活動内容が一切謎で彼らに関係した(と思われる)人々が歴史を動かした人であったりするため、<なんらかの権力>を持っていたと言われています。
噂では"鳥羽山病院事件"に関わっているといわれてます。
鳥羽山病院事件?………。
「あぁぐ…あ……な…なんだ……頭が痛ぇ!」
「だ…大丈夫ですか?!えっ…どうすれば?」
突然星屑の頭に激痛が走った。それを見ていた四宮はオロオロするばかりだった。
「もう……大丈夫です。すいません、急に。」
「別にそんな事は…で本当に大丈夫ですか?
」
はい。というと星屑は鍵矢の元へ向かった。
「いたぞ!こっちだ!」
竹内組と呼ばれているヤクザのグループの一人が叫ぶ。
追っていたのは中高生ぐらいの少年だった。
少年は持っていた剣の柄に機械のついた武器で
「"斬音"!」
竹内組のヤクザの頭と体を二つに分けた。
ゴトッといい頭が落ちる。そしてそれに合わせ体が倒れた。
少年は呟いた。
「第18次報告書……本当にあと"二つ"で…」
そこにいたのは、村雨だった。