夏は泳げない奴の天敵だ
夏休みだ。でも俺は夏が大嫌いなのであまり喜べない。
俺は好きだぜ。夏。
そりゃ"表裏一体"だからな。
と星屑は奴と"話し"てた。
「さぁ、泳ぐぞ!」
「お姉ちゃん日焼け止め塗らないと。」
情況説明
部での合宿をすることになり海に来た。つまり合宿じゃなくてただの海水浴。以上!説明終わり。
「ってなんだこの状況?」
なんか起こりそうだな。
「空野さんは塗らないの?日焼け止め。」
月美が永遠に聞いた。
「あんまり焼けないタイプだから大丈夫。」
「いいなぁ……私、凄い焼けるから大変。」
この二人はこの間から仲が良い。
「お前は泳げるタイプか?」
三浦先輩が聞いて来た。隣には鍵矢先輩もいる。
「いやー、鍵矢がこの部で一番速く泳げる、とか言い出してな。」
なるほど、それで勝負を。………でなんで俺まで?
「んで、"この部"で一番ならお前にも勝てなきゃな。ってことになり強制参加確定。」
「あの……俺に拒否権は……?」
「この部では拒否権は存在しない!」
三浦先輩、ひどいっす…………。
というわけで、位置についてヨーイ。
…………………どん!
ルールは向こうにあるこれ以上行ってはいけないよ、ってかんじのロープをタッチして、先に戻ってきたら勝ち。
ふと鍵矢先輩を見る。速っ!凄え速い。でも………なんか違和感が…………なんだ?
三浦先輩は俺の半分も進んでないな。……………あいつ、使えねぇ!
やるしかないな。
流れを変える。バタ足の衝撃を空中から水中へ。
一気に星屑は加速し、鍵矢に少しずつ近づいていく。しかし………。
「クソっ!」
鍵矢先輩が目の前から消えた………ように見えた。それほど一気に速くなった。
勝ったのは……………。
「なんで負けてんだよ〜。」
「ビリの先輩には、言われたくないんですが……」
「ギクッ!まぁそれを言われると……」
勝ったのは鍵矢先輩だった。それはまるで泳いでいる、というよりも水中を飛んでる感じで、別次元の速さだった。
しかも全く息がきれてなかった。
その時から、なぜか俺は鍵矢先輩を人と思えなくなった。ある疑問が出来たからだ。
「三浦先輩、ちょっと………」
「ん、なんだ?」
星屑は鍵矢をトイレの裏に呼んだ。
「先輩、単刀直入に聞きます。あなたも………あなたも"三本鎖"ですか?」
「"三本鎖"?もしかして、あの力の事なのか?」
「あなたは多分、空気を体から出せるんじゃないですか?または、水を操れるのか……」他の予想も言おうとしたがその前に鍵矢先輩は言った。
「お前、スゴイな……俺は水を操れるんだ。」
「やっぱり………」
「なんでわかったんだ?」
「簡単ですよ。息がきれてなかったからです。あれだけの速さで泳いで平然としてられるはずがありませんし………俺も、なんで」
しかも言ってなかったけど、泳いでる時目が開いてましたよ………。
「お前は何が出来るんだ?」
「ややこしいので見てもらおうかと。」
両手を合わせ、開く星屑。
「よっと。」
星屑は右手に炎、左手に氷塊を創り出した。
「や………ヤバイな………」
「まぁですよね。」
手を握り締め、炎と氷塊を消した。
「俺はこんな感じですね。」
「おま…………スゲぇな。」
「まぁ戻りますか………」
昼
「みんななに食う?」
ハイジョが腹の音を出しながら言った。
「あの、お姉ちゃんいきなりどうしたの?」
いきなり「なんか食おう」宣言的なのにみんなぽかんとしてしまった。
「腹減らない?」
つまり「何か食おうぜ」という事らしい。
永遠の要望
「私、焼きそばがいい。」
鍵矢先輩の要望
「なんでもいい。」
月美の要望
「私はみんなと同じのでいいよ。」
三浦先輩の要望
「さっさと食おうぜ……。」
四宮先輩の要望
「私もなんでもいいです。」
ハイジョの要望
「腹減ったー!」(それは要望じゃねぇ!)
俺の要望
「とりあえず、買いましょうよ…。」
んで…………とりあえず海の家へ。
全員が焼きそばを買った。
「うーん…………月美の方が上手いな。」
ハイジョは月美に言った。
スゲぇな、この微妙な味。
美味くも不味くもない………さすが海の家。
ハイジョが焼きそばを食べながら言った。
「渋滞が嫌だから食べたら行くよ。」
珍しくハイジョがまともなこと言った……。
で、食べ終わると、解散になった。
「鍵矢先輩。ちょっと………。」
「なんだ?」
俺はこの間、修道服を着た男が襲ってきたことを話した。
「………FMSか…………。」
「はい?」
FMS?なんだそれ?なんか知ってんのか?
……まぁいいか。
「ありがとうございました。また、聞いてもらっていいですか?」
「あぁ、俺でよければな。」
俺たちは家へと向かった。