序章
世界観の紹介話です。
1
西暦2258年
世界は荒廃し、深刻な資源不足に陥っていた、急速な人口爆発と、科学技術の進歩、森林伐採で衛生から見た地球に緑の色は少なく空も大気も綺麗な青色ではなく、薄い茶色に染まっていた。
この時期を機に、日本および米国は地球からの大規模移住を提案、そして移住計画が始まった。
が、これを真っ先に反対したのはロシアとヨーロッパ連合だった。そして米国側とロシア側は激しく対立。その2年後人類最後の西暦大戦争に発展した。
戦争は十数年ずっと続いたという。
戦争の結末に、賢人は最後にこう記し重い瞼を閉じたという。
『神は愚かな人類に制裁を与えた。神が、人類を滅ぼし尽くした。この愚かな生物を生み出した神も、患者なり。そしてこの地に神など存在していない。それこそが神話の結末───。 オーギュスト・バーン著』
そこから、人は生き残ったが、前の様な活気など既になく、歴史の無い空白が続いたという。そして、世界史から西暦は消え、地球は再生された。
西暦後、四百年後。
後に神官と呼ばれる事になる六人の人間が、ユーラシアと呼ばれていた大陸に、世界の中心となる国『玄国』を建国。世界を統べる存在となり、この史を人は創暦と名付ける。
創暦史(465年現在)
創暦元年 玄国(玄武)建国(旧ユーラシア全土)極東に極東領朱雀連合を配置。
創暦43年 極東領朱雀連合が極東国(朱雀)になる。(旧日本列島、旧朝鮮大陸)
創暦78年 ファルシオン国(白虎)創立(旧北アメリカ大陸全土)後に帝国となる。
創暦122年 英零国(蒼龍)創立(旧ヨーロッパからアフリカ)
創暦134年 ファルシオン帝国が英霊国に傘下命令を出すが、英霊国は却下。
創暦142年 ファルシオン帝国が英霊国を強襲、第一次帝霊戦争が始まる。
創暦143年 神官が統べる玄国が二国に強制停戦協定を提出。戦争は終戦する。
創暦163年 帝国と英霊国の関係が更に険悪になる。
創暦173年 停戦協定を無視した帝国が英霊国を強襲、第二次帝霊戦争が勃発。
創暦175年 帝国が英霊国に勝利する。帝国が弱体化した英霊国を強制的に傘下にする。
創暦243年 帝国が極東国に宣戦布告。同日、帝国が進軍を開始する。
創暦244年 帝国と極東国の第一次帝極戦争が始まる。
創暦258年 極東国の最終兵器『トール』発動、帝国が敗北、ファルシオン領に穴が出来る結果になる。
創暦268年 極東国が帝国領を植民地にしようと、進軍する。
創暦272年 玄国が戦争禁止令を発表。極東国が命令を無視したので、玄国が極東国を武装制圧。第一次帝極戦争終結。帝国傘下の英霊国が解放され、英霊国が独立。
創暦312年 玄国により世界四国の協力協定を発表、三国が同意したため協定は結ばれる。
創暦356年 急激な都市化が始まる。それに伴い文化も西暦に近いものになる(創暦の人々は西暦を知らない)
創暦378年 急激な人口増加問題が課題になる。
創暦382年 玄国を治める神官が、絶対王権を宣言。玄国改め厳国が発足。
創暦394年 神官を中心とした世界管理が確立される。帝国が反発するが、二日で帝国が壊滅。
創暦395年 国制度を廃止、物資管理、食料管理、人間管理が始まる。これを人々はディストピア《退化した世の中》と呼ぶ。
創暦406年 亡帝国残党が反乱を起こす、が旧アメリカ大陸ごと壊滅。抵抗不可能ということを証明する。
創暦412年 反発していた蒼龍が降伏、蒼龍と連合を組んでいた朱雀解体。『トール』を厳国が回収。国制度の廃止が達成される。
創暦450年 世界に革命が起こる。数名だけの少数革命軍は次々と管理社会にあった人々を解放、軍隊を倒し進軍、世界の希望を託される存在になる。
創暦452年 『ワルキューレ』を名乗る革命軍が厳国と激突する。大人数の厳国に対し、『ワルキューレ』はたった数名、『ワルキューレ』はこの戦いに勝利する。
創暦452年 改革寸前の『ワルキューレ』は厳国に突入する。が、『ワルキューレ』が敗北。リーダーは公開処刑され、革命は失敗に終わった。
2
『この世界は、絶望に満ちている、誰もが希望を失い、管理される中で生きている。神の代行をしている彼等神官こそが、全ての元凶としかいえない。彼らに抗うことは、魚達が陸上に上がってくることよりも不可能。
怒れる神に抗うことも、償うことも出来ない。希望の無い世界で生き続ける事こそが神への償いなのだろう。
しかし人だからこそ神を欺き、打ち破る事が出来る。
なら、牙は大切に磨かねばならない。神の使いなど只の人間に他ならない。神の威を借ると、どんな見返しが来るのかそれは彼らには理解出来ない事だ。───天野 宙』
3
とあるテープ(録音、452年8月4日23時56分32秒)
「──思えば、全部考えてみれば容易に理解出来た筈だ。
全部、全部筒抜けだったんだ!!
因果律を考えれば、おかしくない話じゃないんだ。偶然じゃないんだ!!
.....頭で理解しろ。
いいか、お前は....俺は決して賢い生き物じゃない。
人間は恐怖や非現実的な事象に鈍感なんだ。
だからもっと慎重に動けば良かったんだ。
そうすれば....そうすればあんな事にはならなかったんだ!
大切な人を目の前で無くす事なんてなかったし
あんなにもならずにのうのうと生き続ける事だって出来たんだ!!
自分の未来があんなんになってるなんて.....思わずに...っ!!
いいか?
もっと慎重に動け...!
軽率な動きをするな!!
迂闊な行動をするな!!
あいつ等はいつもお前を見ていて、その気になれば一気に俺達など潰せるんだ!!
自分の煩悩を断ち切ってやりたい...っ!!!!
俺は.........愚かだったんだ.....
ガザッ........ピー........──────」
4
厳国領の山脈。
美しい木々が立ち並ぶいい場所で、戦いが終わったらこのときとは違う気分で訪れてみたかった。
だがいまでは、火の海と化している。
「....敗戦か....」
彼は痛む身体を木にもたれ掛からせ、激しい痛みに耐えていた。
「最悪だな...」
もうひとりも大きな怪我を負っている。
「あいつはひとりで飛び込んでいったし...」
あの状況の中で、俺達を退路に導いた革命軍のリーダーであるあいつは、もう死んでいるかもしれない、生きていても、あの怪我ではきっと生きていけない。
そう考えたくなかった。
「くそっ....追手がくるぞ...」
「ああ......」
近づいてくるのは、死を呼ぶ足音。
あれが俺達にたどり着いた時、俺達の人生は終わる。
ならせめて、派手に散ってやる。
『いたぞ!!ワルキューレの残党を三名発見した!!」
『殺せ!一人残らずここで殺せ!!』
とても相手に出来る状況ではなく、圧倒的不利だった。
銃声が響き、軋む身体に命中している。
自分の鮮血と、肉の焦げた臭い。とても気持ちいい臭いじゃない。
体中が焼けるように痛い。
それもだんだんと鈍くなってゆく。
景色も、感覚も夢の中に居るようだった。
───このまま生きていられたらな。
それも不可能だった
そして彼の意識は、泥の中に沈むように消えていった。
この時代での下ごしらえは終わった筈だ。
あとは、彼が、やり遂げてくれれば。
管理の無い幸せな世界が待ってる。この世界に生まれて後悔せずに済む。
ああ、死にたくない。
死にたくないんだ。
だけど、『天国』ってどんな景色があるんだろう。
─────────────『レジスタンス』─────────────
ちょっと訳が分からなかったと思いますが仕様です
次話から話は始まります。
こんなヘッポコ作品ですが、良かったらアドバイス、評価などよろしくお願いします。