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「な、何だとお? 太郎兵衛を見逃したあ?」


 驚くハットリ様に、緑丸が毅然と


「でも、背景に甲斐の国がいるのはわかったでつから」


「あ、ああ」

 ここでハットリ様、部下の顔を見ながら


「じゃがな、緑丸。おまえの、その優しさがいずれは致命傷にもなりかねぬ」


「そう思いまつ」

 素直に認めた緑丸、懐から何やら紙切れを出し


「で、今回で足を洗いまつ。これ退職届でつ」


「え? あ、いや、おまえの言うのにも一理、いや二理もあるって!」


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