老舗
翌日は朝から出かける。
めぼしいスフィアボール屋をピックアップしといたので、そこに行ってみる。
青いスフィアボールが山になっているので全部買って行く。
俺にはお宝の山に見えて仕方がない。
ピックアップした店の在庫まで全て買い切ってしまう。
さすが東京、一日じゃ回れないくらいスフィアボール屋がある。
帰ってくると母さんが久しぶりに料理を作っていた。
「ただいま」
「もうできるから手を洗ってきて」
「はいよー」
と洗面所にいき、髪を整えてから席に着く。
久しぶりの唐揚げにテンションも上がる。
「やったね、唐揚げじゃん」
「あんたがいる時くらいわね!」
「ただいまー」
と父さんが帰ってくる。
「おかえり父さん!唐揚げだよ」
「お!ご馳走だな!」
「貴方も早く着替えて来なさい」
「はいはーい」
と父さんも上機嫌だ。
それから飯を食いながら、今日は何をしたか聞かれ、
「なに?青玉なんて集めてるの?」
「そうだよ、俺のスキルで何が入ってるかわかるしね」
「へぇ、『青いスフィアボール』の話題が一時期トップになってたのは貴方なのね?」
へぇ、まぁニュースくらいにはなるかもな。
「そう言うこと、母さん達も欲しいスキルがあったら言ってね」
「そうだな、『鑑定』はあるか?」
父さんが言うので、
「あるよ、金だね」
と青いスフィアボールを出すと、
「ほ、本当にこれが『鑑定』なのか?」
「まぁ使ってよ」
「あ、開けるぞ」
開けると金の光が父さんに入って行く。
「ステータス……凄いな」
「『鑑定』取れたの?」
と母さんが聞くと、
「間違いなく『鑑定』だよ、これでスキルアップだな」
「そうね、人事に言っておくわ」
父さんも部署が変わるのかな?まぁ、スキルアップしたなら良かったよ。
「私も『鑑定』は欲しいわね」
「そーなの?なら、はい」
と青いスフィアボールを渡すとすぐに開ける母さん。
「へぇ、凄いわね!貴方の力」
「爺ちゃんが俺に残してくれたんだ」
「そう。お爺ちゃんが」
「近いうち墓参りに行こうか」
「そうね、お礼を言わなきゃね」
鹿児島にお墓はあるから鹿児島に久しぶりにくるのだろう。
亡くなった爺ちゃんも喜ぶと思う。
さて、明日もまたスフィアボール屋を巡るか。
タクシーを一日使ってスフィアボール屋を巡る。
「青いスフィアボールを全部下さい」
「え!は?『青玉』?いや、失礼しました。すぐに持って来ます」
「……やっぱ『青玉』って呼ばれてるんだな」
奥から三人がかりで持ってくる青いスフィアボールは一個千円だ。
だが俺にかかればその内の一個でもあれば数億になるんだからやめられないよな。
一際大きな店構えの『マスターボール』にいく。代表のセンドウの店だな。店内をざっと見て、店員に聞くと青いスキルボールは売っていなかった。
「なんだ、つまんねぇな」
と言うと踵を返して外に出る。
『マスターボール』もまだまだだな。
「んーー」
と伸びをしてまたタクシーに乗る。
「次、お願いします」
大体回って最後のスフィアボール屋は老舗の様で俺の店と店構えは五分五分だろうな。
「こんにちはー」
「はい、いらっしゃい」
とお婆ちゃんが接客をしてくれる。
「ここはお婆ちゃん1人で?」
「そうだよー、お爺さんが残した店だからね」
「そうなんだね」
青いスフィアボールは山積みになって埃をかぶっている。
「これを全部もらうよ?他に青いスフィアボールはある?」
「まぁ、『青玉』さん?あるわよ、今出そうかね」
ビックリした。お婆ちゃんにも『青玉』と呼ばれるとはな。
「いいよ、俺が収納持ってるから一緒に行くよ」
「はいはい、それじゃ手伝ってもらおうかね」
と倉庫の方に行くとまた大量の青いスフィアボール。
「す、凄い数だね」
「ここに売りにくるのは初心者ばかりでね、売られると買わないといけないでしょ?そしたらこんな多くなっちゃって」
青いスフィアボールだって売ったら500円にはなるのにこんな沢山。
「生活厳しいでしょ?」
「それほど?私1人だからね」
とお婆ちゃんは悲しそうに言う。
「よし、収納っと、2086個だね」
「まぁ、そんなにあったの」
と店に入りながら喋る。
「それじゃこれも収納っと、699個だね。全部で2785個だ」
「まぁ。そんなにあったのね」
「うん、一個千円でいい?」
「はい、いいですよ」
「じゃあ、はい、278万5千円ね」
「はい、たしかに!スッキリしてよかったわ」
そりゃこんだけ溜め込んでたら大変だろうね。
「また溜まったらここに連絡したら引き取りに来るよ」
「あら『青玉』さんに名刺を貰うなんてね」
とお婆ちゃんは嬉しそうだ。
「あはは、またね!」
とタクシーに乗って家に帰る。
まだ母さん達は帰って来てない様なのでとりあえず部屋で仕分けをしていく。




