『マスターボール』
家に帰り着くと1ヶ月が経っており、久しぶりの我が家を掃除する。
飯を作って食い、のんびりすると、今度は大量の青玉を分ける作業に没頭する。
今回は集めた青いスフィアボールは旅の途中でも仕分けていたので、仕分けられなかった物を分けると赤が325個、銀が132個、金が69個もあった。
流石にこれだけ見ると疲れるな。
虹もこれで11個になった。
さすがにこれだけ大量の青いスフィアボールが捌ききれないので、神眼で見て、虹スキルでも初めて見た『融合』を取得した。
『融合』……別のものを融合するとどちらかに偏り、同じものを融合するとランクアップする。
青いスフィアボールの場合、青と青で赤にランクアップすることがわかったので、これでいけば金と金で虹になる。
流石にビックリしたが、虹スキルだからな!
作った虹スフィアボールは中身はランダムに決まるらしい。
だが、16個の青いスフィアボールで虹になるのだからやりがいがあるな!
とりあえず480個使い、虹玉に変える。
30個の虹スフィアボールになり、店に行き『青玉』には虹のスフィアボールが41個ある。
店のカウンターに飾っていく。
宣伝なんかはしていないので、客が来るわけもなく。
まぁ。いつもの様に閑古鳥が鳴いてあるが、別にいつものことだからゆっくりとしている。
「ごめんください」
と胡散臭いスーツを着た男がやってきた。
「はい、何のご用でしょうか?」
「私こう言う者です」
と名刺を差し出してくるので俺も名刺を出して交換する。
「『マスターボール』の代表さんですか」
『マスターボール代表取締役 仙道 大和』と書いてある。
センドウは店の中を見渡すと、
「はい、こちらの店には虹のスフィアボールが沢山ありますね」
「はぁ、まぁそうですね」
細い目をしたオールバックのセンドウが言う。
「どの様にして集めたんですか?」
真っ直ぐ聞いてくるが、誰が教えるか!
「それは企業秘密ですね」
「教えていただけませんか?」
と食いついてくるが、
「無理ですねー」
笑顔で返す。
「それでは、取引しませんか?損はさせませんよ?」
神眼で見通すと嘘をついているのが丸わかりだ。
「結構です。あまり舐めないで貰いたいですね?」
とこちらも強気で突っぱねる。
「……後悔しますよ?」
「はぁ。今のは録音させてもらってますから何かあれば警察に出しますよ?」
とレコーダーを目の前に出す。
「……分かりました、では」
と睨みつけて去って行った。
「さて、どうしようかな?」
俺は店のカウンターから虹玉を俺のインベントリに移す。
代わりにカウンターには金のスフィアボールを並べる。
これでいい。『青玉』は閑古鳥が鳴いているが、こんな田舎にある店だ。
ゆっくりとした時間が過ぎる。
まぁ、虹玉はオークションにかけるけどね。
ノートパソコンを操作して今回出品したのは『全属性魔法』と『インベントリ』。
これらは虹玉になってるからもう画像からでも判別できる。
オークションが始まると、値段が釣り上がっていく。
また『マスターボール』が競り合ってるけどやっぱり冒険者を応援しちゃうな。
二兎追うものは一兎も得ずで、結局二つとも冒険者が買えることになった。
気に食わない奴よりも冒険者に買われたのだ。少し気分がいいな。
落札者とメールでやり取りをする。
受け渡しは東京でと言うことなので店を空っぽにして東京まで行く。
センドウが諦めると思ってないからな。
まぁ。空き巣に入ったところで警察に捕まるだろう。
久しぶりに飛行機に乗って羽田に到着し、そこからバスで東京に行く。
父さん母さんは歳とっただろうな。
と、その前に受け渡しをする。
事前に代金は振り込んでもらってるから、あとは渡すだけだ。
指定された喫茶店で待つと、防具を着た女の子が2人で来たので手を挙げると嬉しそうに寄ってくる。
「貴方が『青玉』の店長?若いわねー」
と金髪の長い少し垂れ目の可愛い顔をした女の子が言うと、
「いまいくつ?」
茶髪でショートカットの元気な女の子が聞いてくる。
「36ですよ、それより座りましょう」
いくつに見えたんだ?俺はスーツ姿だぞ?
「へぇ、すごい落ち着いてますね」
「私達すごい頑張ってお金貯めたんだ!」
と席に着いてコーヒーを頼む間も話している。
「『マスターボール』に取られなくてよかったですね」
とオークションのことを言うと、
「「ほんとそれ!」」
2人とも声を合わせてそう言う。
「嫌味にジワジワあげてくるから」
「そうそう!性格悪いわよ」
「あはは、そうですね。では、こちらが『全属性魔法』で、こっちが『インベントリ』です」
虹色のスフィアボールを出すと2人とも時間が止まり、涙を流す。
「頑張った甲斐があったね」
「うん!早く開けよう!」
髪の長い子が『全属性魔法』でショートカットの子が『インベントリ』の様だ。
スキルボールを開けると虹色の光がこの子達に流れて行く。
「これで私達、ステータス」
「ステータス……やったね」
とステータスボードを確認しているようだ。
「あはは、お二人ともお買い上げありがとうございました!」
やはりこういうこと素敵なことに出会えるのは爺ちゃんのおかげだな。
「私の奢りなんで、食べてください」
虹のスフィアボール、『全属性魔法』は8億、『インベントリ』は9億だ。それくらいは奢ってやらないとな。
「ほんとに!やった!もうお金無いから助かる!」
「私、オムライスとボンゴレ」
とよく食べ、よく喋り、よく笑う。




