スフィアボール
俺の授かったのは『神眼』、鑑定なんかより上の『神』のつくスキルだ。
さっそく『神眼』でステータスボードのスキルを見てみると、
『神眼』……神の名を持つスキル、なんでも見通す力がある。
「ハハッ!俺の目はどんな風になってるんだ?」
と鏡に向かうと、スキルを発動する時だけ両目が金色になるようだ。
「おぉ!すげぇな!」
さすが神の眼だな。
周りを見るとスフィアボールの中身が分かる。
「ウッ!」
とりあえず『神眼』を使いこなすにはまだ時間が必要なようで目の奥が『ズクンッ』と脈をうつと、スキルを解除する。
「クッ……ふぅー、こりゃ大変だな」
目を抑えながらカウンターにもたれ掛かる。
多分情報量が多く、魔力を使うらしいから長くは使えないか。
だが、それでも時間をかければ確認できるな。
小さな店内を見渡し、もう夜なのを思い出し店じまいの準備をする。
こんなん場所でもスフィアボール屋だから防犯には金がかかっているので色々と準備が必要なのだ。
最後に店の裏口から外に出るとシャッターを閉めて鍵をかける。
「よし、帰って一杯やるか」
と1人で近くのアパートに帰る。
親は2人とも東京にいるので一人暮らしは長い。
「うん、これはまだ食えるな!」
と冷蔵庫からバラ肉を出して野菜と炒める。
『ゴクゴクッ』
と喉を鳴らしながら飲む発泡酒が、いい感じに俺を酔わせてくれる。
アパートは1DKでテーブルに野菜炒めと新しい発泡酒を置いて座椅子に座る。
テレビをつけると、発泡酒を開けて飲みながら野菜炒めを食い、テレビを見る。
「はぁ、冒険者ばっかだな」
チャンネルを変えるが、話題は今の冒険者についてや、人気パーティーの事ばかりだ。
『神眼』を手に入れた事がまだ信じられないが、俺にも運が向いて来たみたいだし、これからだな。
なろうと思えばどんな冒険者にもなれるんだ。
大魔導士?凄腕の剣士?スキルの組み合わせで何にでもなれる!
夢が広がるが、まずは『神眼』を使いこなせなければな。
翌日は店を臨時休業にして、誰もこない様にする。
「よし、やるか!」
付箋とペンを持って青いスフィアボールを見て行く。
いっぺんに見るのは6個にした。
覚えておくのが大変だし、いっぺんに見ると魔力が底をつくので、回復させながらだからこれが最善だろ。
付箋にスキル名を書いて貼っていく。
神眼を使いすぎると目の奥が痛くなるので休憩しながら作業していく。
青玉は誰も開けないからこそお宝が眠っている。
時間をかけてようやく三分の一は見たがそのうち当たりは2個だけだ。
そしてその当たりのうち1個を開ける。
次に俺が取得するのは虹スキルの『インベントリ』だ。
インベントリ……時間の進まない異次元に無限に物を収納出来る。(生きている物は収納できない)
青玉を開けると虹に光り、俺に吸い込まれて行く。
「ふぅ、苦しくは無いな」
とりあえずはもう19時になっているので他の青玉をインベントリに入れて店のシャッターを下ろす。
家に帰ると飯を食い、休憩をしながらスフィアボールを神眼で見て行く。
俺は爺ちゃんの店を継ぐ為、こんな鹿児島の田舎街で暮らしている。
物価もそれなりに高いし、何故こんなところでと思うが、爺ちゃんの店がここ、鹿児島だったからしょうがない。
人口9万人くらいの少し過疎ってるくらいの街だ。
「よし!出来た!」
と全ての青玉を『神眼』で確認し、ざっと分けたが、赤が56個、銀が30個、金が12個で虹が3個だ!
その他は『編み物』や『料理』などのダンジョンに関係ない物だ。だが、中身がわかればそれだけ売れるからな!
コーヒーを淹れて朝の光を浴びる。
「朝までかかったが、いい仕事したな!」
それから昼まで少し仮眠してから店に向かう。
途中で昼飯を買ってシャッターを開けると俺の店の開店だ。
とりあえず仕分けの終わったスフィアボールをスキル名と値段を貼って棚に置いて行く。
世にも不思議な『青いスフィアボール』がズラッと並んだ店になったな。
そしてパソコンを立ち上げ、オークションに出すスフィアボールを厳選する。
スフィアボールのオークションは店を構えていないと出せないのでかなり人気のサイトだ。
やはりここは金スキルの『収納』だろうな!
『画像は青いスフィアボールですが、『収納』が必ず入っています。もし違ったらお金は返金します』
と書いてオークションに出すと、やはり『収納』は人気が高い。
ドンドン金額が上がっていき、最終的に2人の一騎打ちになった。
1人は冒険者で『雷龍』の二つ名を持つ人物。
もう1人は同業者の『マスターボール』の店長か?
「んー、出来れば店的には冒険者を応援したいな!」
そしてオークションが終わると『雷龍』の冒険者から連絡が来る。
「はい、こちら『青玉』です」
と店の電話に出る。
『私はオークションで落札した海堂雷人だ。受け渡しの話がしたい』
『雷龍』が競り勝ったのだ。
「はい、店まで取りに来てもらってもいいですし、私が持って行ってもいいですけど?」
『あはは、本当に『収納』なのだな!よし、ダンジョン探索は休みにしてそちらの店に伺いたい』
と気さくな人だな。
「わかりました、日時は、はい、はい、分かりました」
と言って電話を切る。
さぁ、忙しくなるかな。




