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掌編

お菓子の詰め合わせ

作者: 綴 詠士
掲載日:2025/12/27

 目の前にはお菓子の詰め合わせがあった。

 

「ハッピー! やったね」

 

 私は喜んでお菓子の詰め合わせを手に取る。

 

 箱の中に沢山のお菓子が入っている。

 

 私の愛と努力の結晶達。これ一つ一つが私にとっての勲章なのだ。


 詰め合わせお菓子を一つ手に取った。

 

 箱を開けるとスティック型のクッキー生地にチョコが塗ってあるお菓子だった。

 

 私はそれを食べる。

 

「おいしい。ハッピーすぎる」

 

 感謝の気持ちが溢れ出ているかのように、お菓子たちは甘くておいしい味を私に味合わせてくれる。

 

「おいしい、おいしいね」

 

 そして思う存分食べると、私は外に出た。

 

 今日も街を歩く。

 

 これがいつもの私の習慣だった。


 薄暗い路地に入っていく。日の光は建物に隠れ、グレーの石畳が更に黒くなる。


 そこには今日も子供がいた。

 

 初めて見る子供だ。

 

 ぼろぼろの服を着て、泣いている。


 ……なんて可哀想なんだろう。助けなきゃ。

 

「ハッピー。どうしたの?」

 

「……お母さんがいなくなっちゃったの。どこにもいなくて。おかあさーん!」

 

 子供は大泣きしてしまった。

 

「そっか。ならこっちにきて? うちで休もう?」

 

 そういうと子供の手を取り、家に向かった。

 

 そして家にはお菓子が沢山ある。

 

「うわあ! これ食べていいの?」


 さっきまで元気がなかった子も、これには大喜びだ。

 

「勿論どうぞ。お腹いっぱい食べていいからね。それでハッピーになれるよ?」

 

「ありがとう!」

 

 子供はもうお菓子に夢中だった。

 

 お母さんのことも話さない。

 

 ただお菓子を食べて、お腹いっぱいになって。

 

 そのまま寝てしまった。

 

 ソファの上でぐっすり寝る子供。

 

「ハッピー。おいしいお菓子を食べれてよかったね。これで私もあなたも皆ハッピー!」

 

 そうしていると、子供の身体が溶け出した。

 

 その体は溶けて丸い綿菓子みたいになって。チョコレート色の泡がブクブク膨らんでくる。


 そしてゆっくりと形を変え、見慣れた姿に形を変える。

 

 そこには一つのお菓子ができていた。

 

「ハッピー! やったね!」


 私は喜んでお菓子を詰め合わせの入った箱に入れた。









 

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